表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/102

第82話

今日も更新頑張りました('ω')

 昨日の騒ぎから一夜開けての翌日、僕はルーピンと共に魔法道具(アーティファクト)市場を当てもなくうろついていた。

 珍しい組み合わせだ、と自分自身でも思う。


 ちなみにルリエーンは、『女の話』をするといってミーネが朝早くに引っ張っていってしまった。

 彼女もよくわからない人だが、ルリエーンいわくああ見えていい人、らしい。


 ぼく自身が周囲に対してそうであるように、『ザ・サード』の面々にも語られない秘密があるのだろう。

 気にはなるが、それを探ろうとは思わない。人それぞれ、知られたくない事情があるのだろう。


 ……しかし、その中でも特にルーピンとミーネについてはその秘密主義の傾向が強い。


 おそらくだが、ケイブやザイゲン、それに同門のゴモンは聞けばいろいろと答えてくれるだろうし、はぐらかすことも余りないだろうという予感がある。

 しかし、ルーピンは違う。

 あまりにも秘密が多すぎるし、自分は何でも知ってる風なのに、そのくせ誰にも何も知られたくない雰囲気を醸している。

 飄々としたあの空気の中に、何もかもを煙に巻いてしまおうという意図を感じざるを得ないのだ。


「ルーピンさん、何探してるんですか?」


 散歩か、ウィンドウショッピングのように露天をうろうろと歩き回るルーピンをなんとか追いかけながら、僕は問う。


「いんや、特に。お前とちょっとサシで話がしたかっただけさ」

「大体のことはお話したはずなんですけどね」

「それ以外の隠してる部分についても、オレぁ、知りたいんだよなぁ」

「人間、隠し事も必要です」


 僕の言葉にニシシシと嗤うルーピンは一体自分の何を掴んでいるのだろうか?


 仕方ないとはいえ、不注意にも自傷魔術(スーサイドマジック)や無詠唱の魔法を見せてしまっているので、経験豊富なルーピンは何かしらアタリをつけてしまっていても驚きはしないが。

 

「確かにな。ま、オレだってそう思うぜぇ? でも、坊主は重要なところを隠し過ぎてるような気がしてなんねぇんだよな」

「例えば?」

「お前ぇ、(ドラゴン)と何か関係があんじゃねぇの?」


 ルーピンの言葉に、ぞっとした何かを感じる。

 一切、外では口外していない情報だ。


「ほーれみろ、すぐに顔に出る」

「なっ」


 ルーピンが指を鼻先に突き出す。

 いつものニヤニヤ顔に、何もかも見透かすような鋭い眼。


「隠すならもっと上手に隠せよ、坊主。オレは素直でいいと思うけどな」


 ルーピンは指先で僕の額をトンとつつく。


「あなたは……何でも知っているんですね」

「いいや、何も知らないからこうやって知りたいんじゃねーか。おっと、怖い顔するなよ。こう見えてオレはお前の仲間のつもりだぜ」

「僕もそのつもりですよ」


 ここまでの道中でそれはよくわかっている。

 何か含みがあるとしても、塔の案内役などを買って出るのはそれなりの覚悟がいるハズだ。


 だが……そうであっても、だ。

 

 僕にとって、知られたくない情報は多い。

 ルリエーンにすら黙っている、(ドラゴン)の眷属であるという情報を掴んでいるとすれば、やはり警戒せねばならない。

 それが悪意を以って僕に方向性を持つならば、例えルーピンに対してだって容赦なく戦うつもりだ。

 勝てるかどうかは別にして。


「ニシシシ、そうそう、よーく警戒しないとな。特に『白の教団』の前では気をつけるんだぜ?」


 『白の教団』についても疑問が多かった。

 あまりに一方的で狂信的なあの集団が、なぜ依頼の邪魔をしようとするのかが不明だったからだ。

 この世界の人間が竜族(ドラゴン)を警戒するのは当たり前のことである。

 多くの場合、竜族が人にとって圧倒的脅威になることは間違いないし、よもや交戦すれば大きな被害が出ることは間違いないだろう。

 しかし、だからと言って調査すら許さない、というあの異常なまでの執着は何なのかはわからなかった。


 そして『異界の勇者達』という単語である。


 この世界で『勇者』というのは『神聖変異(ディバインコード)』を授けられた、あるいは烙印されて、かつ何らかの使命を帯びた者をそう呼称する。

 多くの場合は人間離れした何かしらの能力を持っており、それは人では解決できない何かしらの問題を間接的に『神』──この世界では十二柱の神々のうちの誰か、が解決するために使う手段である。


 それを利用できるということは、彼らの言う『白き部屋の主』とやらは間違いなく神なのであろう。

 そして、異界という言葉が出るにあたり、どうやらその勇者とやらは『渡り歩く者(ウォーカーズ)』では無かろうか、と考える。


「坊主、何でもかんでも背負い込みすぎじゃねーの? ルリちゃんの身内ならお前ぇもオレの身内だ。つかえるモンは猿でもつかえってな」


 ルーピンがニヤニヤ笑いを浮かべながら肩を組んでくる。

 そういったスキンシップに慣れていなかったので些か驚いたが、すぐに理由がわかった。


「つけられてるぜ。そのまま前の路地に入るから振り返らずに気だけ張っとけ」


 耳元でルーピンが囁く。

 妙な雰囲気は感じていたが、尾行されていたとは。

 むしろ、違和感はルーピンから向けられる感覚とばかり思っていた。


 そのまま自然な様子を装って、買い付けたサンドイッチのようなファストフードを片手に市場から一つ入った路地へと僕らは入っていく。

 そして、これが罠だとも知らずに、追跡者達はまんまと僕たちの前に姿を現してしまった。

 その手首には白いバンダナが巻かれている。

 例の『白の教団』の連中で間違いないだろう。


「何か、御用ですか?」


 戦闘準備をすっかり整えた僕は、出来るだけ朗らかな顔で彼らを振り返った。


いかがでしたでしょうか。

良かったらブクマーとか☆ーとか感想ーとかお気軽にー('ω')


それまでゆるキャン△でも見てますので……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ