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第77話

今日も息切れしながら更新してます('ω')ハァハァ

「背中を預けるにゃあ、まず腹を割ってもらわねぇとな」


 そうザイゲンがニヒルに笑う。

 椅子を揺らしながら座る姿はリラックスしているように見えるが、視線の奥には油断ならないものがちらついている気がした。


「おいおい、ザイゲンよォ。ガキを脅かすもんじゃないぜ?」

「何言ってやがる。テメェがセッティングしたんだろ」


 どうするかと迷っていると、大きな手が僕の肩に乗せられた。


「お前達、ルリエーンとユウに失礼だぞ。我輩は、ここまでの道程でユウを見てきたが……悪いやつじゃあないというのはわかる」

「ケイブのとっつぁん、そんなことはわかってんだよ。ただ、坊主の存在はあまりにも変わってるだろ? 変わり過ぎだ。この先、塔を上るならよ、坊主の素性についてオレ達は知っておいたほうがいいってハナシさ」


 ルーピンの言葉の端々に、ルリエーンと共にいくのなら……という言葉が見え隠れする。

 もしかすると、メインはそれを確かめたいだけなのかもしれない。


「はいよ、お待たせ!」


 不穏な空気の中、ガハハハと笑いながら現れた店主が、僕の前にジョッキを置く。


「兄さんのはワインをジュースで割っておいたぞ。祝杯で全然酔えないのはかわいそうだからな! あと、お前ら。そんな空気でメシを食うな。酒飲んで腹を割って話せ!」


 店主は、来た時と同じく大きな声で笑いながら去っていく。

 やや、空気が緩んだような、どことなく気まずさの漂う雰囲気に変わる。


「ちぇっ、おやっさんには敵わねぇな。坊主、おやっさんの言ったとおりだ。腹を割って話そうぜぇ。お前のことをオレらに教えてくれ。きっとオレらはお前さんの力になってやれる」


 ルーピンはまっすぐと僕を見据えて、ジョッキを差し出す。

 その目には大人のプライドのようなものと、少しの興味が含まれていた。


 ルーピンのジョッキに、自分のジョッキをコツンと当てる。

 それに続くように、『ザ・サード』の面々がジョッキを当てた。


「では、少し長くなりますが……」


 そう前置きして、僕は身の上話を始めた。

 晩餐を伴いつつ、言葉と情報を選びながらこれまでの事を話す。


 この世界に来たいきさつ、旅の目的を。


 誰かの信頼を得る難しさは、ネルキド市で身に染みていた。

 こちらから腹を割って見せることで、自分に協力をしてくれる人がいることも、またバッソ達から学んだ。

 今まさに、背中を預けようという彼らに、何もかも秘密にしておくのはフェアではない。

 だから、ルリエーンに話したこととを同じことを話した。


 当然、黒竜王(アナハイム)や邪神のこと、竜人(ドラゴンリング)のことは伏せていたが。


「……ということで、何らかの『神聖変異(ディバインコード)』らしい加護を受けているみたいです」

「なるほどねぇ……それであの力か。正直うらやましいぜ。イヒヒ」


 ルーピンが興味津々といった様子で笑う。


「拙者もよいか?」

「はい」


 それまで黙っていたゴモンが、会話の切れ目に言葉を投げかけた。


「あの召喚門を吹き飛ばした一撃……拙者はあれに見覚えがある。あれは伏見流交殺法の『殺撃』ではないのか?」


 その言葉に驚いた。

 僕は伏見の男から、「伏見流交殺法はごくごく一部の人間が受け継ぐ戦闘技術だ」と聞いていた。

 それこそ一子相伝レベルの危険な技術であると教えられている。


「何故、あなたがその名を……?」

「やはりお主、伏見流の使い手か。拙者も同じ伏見流交殺法で戦場を駆ける者だ。『伏見一刀流』を皆伝まで修めている」

「ゴモンさんも!?」


 パタパタと長い耳を揺らしながら、ゴモンがこちらをちらりと見る。


「どうやって渡り歩く者(ウォーカーズ)のお主が『伏見』を得た? ヤパン島の奥地に住むコボルトの、さらに一部にしか伝わらぬ戦闘術だぞ?」

「師が保管していた古い『追憶の結晶』を覗きました。かつて邪神と戦った伏見流の記憶に、僕は伝承されたんです」

「左様か……。いずれ、役目が終われば拙者の里に来るといい。伏見とあらば、歓迎されるだろう」


 耳をパタパタを揺らしながら、ゴモンが口角を上げる。


「おい、ゴモン。そのフシミリューというのを覚えればオレもあんなまねができるのかよ」

「お主にはムリだ。落ち着きが足りぬ」


 にべもない返事に、ルーピンが突っ伏し笑みがこぼれる。


「さぁて、謎は大体解けた。坊主、オレ等のことは聞きたきゃ個々人に聞いてくれや。腹も膨れたし、喉のつっかえも取れたことだし、今日は解散しようぜぇ」


 各々が気の抜けたような適当な返事をし、席を立つ。

 ザイゲン、ゴモン、ケイブがそれぞれ僕の肩を軽く叩いて店の外に出ていく。

 ルーピンはいつの間にか扉の前に軽く手を振ったかと思ったら消え失せ、その後に軽くウィンクを飛ばすミーネが続いた。


「みんな、納得してくれたのかな?」

「あれで性根はいい人たちよ。きっとわかってくれたはず。その証拠にあのルーピンが食事代を払って行ったわ」


 気がつけば僕が手元に持っていたはずの伝票は、いつの間にかなくなっていた。

 どうやら、掏られたらしい。とんでもない技術である。


「さ、明日に備えて寝ましょ」

「うん。僕もなんだかすっきりしたよ」


 晴れた気持ちで店主に一声かけ、僕はルリエーンを伴って『地図の切れ端亭』を後にしたのだった。


いかがでしたでしょうか('ω')!


明日は祝日で休みですよ!

つまり……☆をつけるチャンスです!


何故かって?


何故でしょうね……('ω')スン

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― 新着の感想 ―
[一言] 久しぶりに見に来たらなんか新しく出てビックらこいた( 'ω') あと2~3話で前の方を抜かしますね、あれから展開が気になりすぎて昼にしか寝れませんでしたよ
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