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第74話

今日も頑張って更新ですよ……('ω')


 翌日。

 着々と塔を上り、第十八階層に足を踏み入れた僕たちを待っていたのは、いつもの無機質なコンクリート床ではなく、ふかふかとした芝生に覆われ、木々の立ち並ぶ森のような空間だった。


「坊主、ここは少し警戒だ」


 普段のように通路や部屋に分かれているわけではない。

 どこから遭遇や奇襲があるかわからないため、先行警戒も十分に行いながら探索する必要がある。

 また、こういった野外系の階は通常階よりも数倍広いのが特徴であるらしい。


「オレが警戒に出る。ザイゲン、バックアップをたのむぜぇ」


 音も無くルーピンが駆け出す。

 その後ろを、ザイゲンが同じく音も無く追って行く。

 『ザ・サード』は、ケイブを除く全員が名うての『盗賊(シーフ)』だ。

 ただし、戦闘力も相当なもので斥候能力を持った戦闘者の集団というべきかもしれない。


「じゃあワタシとルリエーンは周囲警戒。男共はいつでも戦えるように準備しててね」


 ミーネの提案に頷いて、ルリエーンが周囲の経過に神経をとがらせる。

 僕は言われたとおりに、いつでも戦いがはじめられるように気を張って身構えた。


 僕とルリエーンはここまで戦闘らしい戦闘は殆どしていない。

 なぜなら、通路を発見するのは先行警戒をする『ザ・サード』の面々で、その道すがら邪魔な魔物はほとんど排除して戻ってくるためだ。


「向かって右手方向、やや正面! 大型魔獣、2!」


 しばらくして、ルリエーンが警戒を知らせる声をあげる。

 指定された方向から、見たこともない生物がこちらに疾走してくるが見えた。

 

 ライオンに似た体躯だが、頭部には板状をした複雑な紋様の描かれた仮面のようなものを被っており、尾は蛇だった。


「む、見たことのないやつですな」

「面妖な」


 ケイブが大盾を構える。

 ゴモンも刀を手にかけ居合いの体勢をとっている。


「ルーさん、先行で足止めしましょう! 僕は右のやつを!」

「了解!」


 迫る仮面の魔獣はすでに魔法の射程距離だ。


「──≪焼き尽くす熱線(ヒートライトニング)≫!」


 放たれた熱線が狙った魔獣の仮面と肩口を焼き穿ち、吹き飛ばす。

 バランスを失った魔獣は転倒し転がった。


 間髪入れずにとなりで「ドンッ」と鈍く重い音。

 ルリエーンが【バラの貴婦人(ローゼスレディ)】の引き金を引いた音である。


 放たれた魔法の弾丸は狙いたがわず魔獣の仮面の中央に拳大の穴を穿ち、魔獣はまるで歩くかのように徐々に勢いを失って、その場にドサリと倒れた。

 続いて引き金を引いたルリエーンの弾丸が、僕が打ちもらした魔獣の首に着弾し、命を刈り取った。


「よし、やったわ」

「お見事です」


 このやり取りを見て目を丸くしていたのは『ザ・サード』の三人である。


「昔はそこそこの冒険者ってイメージだったケド、成長したわねぇ」

「おーい。何かすごい音が聞こえたけど、それルリちゃんの武器~?」


 いつの間にか戻ってきていたルーピンが興味深そうに【バラの貴婦人(ローゼスレディ)】を見つめる。


「ええ、私の武器よ。ユウから借りてるものだけど」

「いひひ。いいねぇ、こりゃ戦闘で楽できそうだ」


 『ザ・サード』の面々としては正直、僕にしてもルリエーンにしてもそれほど戦力としてあてにはしていなかったのだろう。


「丁度いい。階段を見つけたが、少々厄介なんだよなぁ。戦闘メンバーが必要な場面だぜ」


 ルーピンに案内されて向かった先で僕たちが見たものは、同じく板のような仮面をつけた魔物だった。

 ……先ほどと違うのは、その仮面をつけているのが巨大な蛇のような生物であることだ。

 蛇竜(ワーム)かもしれない。


 その仮面からボタボタと滴る灰色の液体からは、先ほどの獅子のような生物が生成されていく。

 蛇の周囲には、すでに五十を超える数の魔獣が生み出されていた。


「生物系の召喚門だ。しかもご丁寧に階段前に居座ってるときてやがる。この階はここ数日で組成されたみたいだな」

「しかし、ルーピンよ。お前さん、こんなヤツとやりあったことがあるのかね?」


 ザイゲンが注意深く件の魔獣を見つめる。


「あるわけねーだろぉ……。さぁ、どうする、坊主」


 ルーピンが振り返り、僕を見つめた。

 判断次第では戦闘も撤退もある。


 しかし、放っておけばこの階の魔獣は増加し手におえなくなる可能性がある。

 そうなれば塔を上ること自体が難しくなるだろう。


「……やりましょう。まず、接敵前に僕が全力で魔法戦闘を行います。広範囲なやつを使いますからしばらくここで待機を。乱戦前に周囲のザコを全部片付けます」


 赤の魔法剣(ショートソード)を引き抜く。


「ユウ、またあの魔法を?」


 ルリエーンは一度だけ僕の全力戦闘を見ている。

 <偽りの天魔槍フェイク・ゲイヴォルグ>の事を言っているに違いない。


「あれは血の消耗が激しすぎるので、多色の混合魔法を使って敵を減らします。討ちもらしたヤツは申し訳ないんですが、ルーさんとザイゲンさんで処理をお願いします」

「あら、ワタシも攻撃可能よ?」


 名を呼ばれなかったミーネが心外そうな顔をして僕を見る。


「ミーネさんは突入班に防護魔法とサポートを……あの蛇、なんだか嫌な感じがするんですよね」


 それはただの勘に過ぎなかったが、それにルーピンが同意する。


「オレも同感だ。でかい図体だけじゃない気がするんだよなぁ、アイツ」

「なら、ここはお任せするわ」


 作戦を確認し、全員で頷きあう。


「では、行きます。──“さぁ、戦いを始めよう”」


いかがでしたでしょうか('ω')

月曜日はホゲホゲにつらいですね……

今週も頑張っていきましょう……


あ、よかったら☆ください('ω')

水曜日くらいまで生きられる気がします。

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― 新着の感想 ―
[一言] なんくるないさぁ~
[気になる点] ナンバリングが73話の次が75話になってます 74話の間違いではないかと
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