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第28話

本日ラストの更新('ω')

「では、詳しく話を聞かせてもらっていいですか」


 僕の言葉に胸をなでおろしたのか、深い息を吐きだす二人。


「依頼料の代わりに一ヶ月、『鬼灯兵団』の……というより、俺の客分としてこの街の防衛を手伝ってもらえないかと思っている。『鬼灯兵団』に入ってもらいたいとは思うが、ユウの事情もあるからそれは、諦める……!」


 諦める、の部分にやけに力がこもっている。

 僕はそこまでの人間じゃないと、どうすれば伝わるだろう。


「その間に、私達はあなたの知り合いの情報を詳しく聞いたり、今のこの世界のことを学んでもらおうと思うの。それに『鬼灯兵団』雇いの冒険者として、ネルキド市の防衛に参加しているとなれば、それなりの実績と認められるはずよ」


 悪くない話だ。

 この大陸にミカがいる可能性がないでもないが、都市部に入れないのであれば探すことは困難だろうし、塔を上るにもそれなりの身元が必要なようだ。


(しかし一ヶ月か)


 それは異世界人にとって長いのか短いのか。

 異世界人であるミカちゃんにとって、その一ヶ月がどれほどの危険になるかは想像にかたくない。


「お友達が心配なのはわかるわ。でも一ヶ月間はこの第三層大陸(トロアナ)自体が停滞してしまうの。一人で探しまわるのに限界があると思うわ」


 僕の考えを表情で読み取ったのか、ミリィが諭すように説明する。

 無知なまま危険な状態のこの一帯を旅するのは、今回のような大事を招きかねない。

 ヘタを打てば、ミカちゃんにだって迷惑がかかる可能性はある。


「わかりました。依頼をうけます。半分は僕のせいですし」


 この世界(レムシータ)を旅してミカちゃんを捜索するためには、きちんとした基盤を作ったほうが確実だ。


「助かるよ、ユウ」

「よしてください、遠慮はなしですよ。そんなに年は離れていないでしょう?」

「だめよ、ユウ。年のことを言うと大隊長は機嫌が悪くなるから」


 ミリィがコロコロと笑う。

 昨日殺し合いをしたとは思えない和やかな雰囲気に違和感と後ろめたさはあったが、気は少し楽になった。


「じゃ、善は急げだ。ネルキド市へ入ろう」

 

 バッソたちに付き添われ、城壁に設けられた小さな通用口からネルキド市に入る。

 門付近は宿や馬車の停留所、それに旅用の保存食などを売る店がメインであるようだ。

 ずいぶん閑散とした様子ではあるが。


「この辺は今はほとんど休業中だ。俺らや他の防衛部隊が準備したりするから、危ないってもんで、人通りも少ないしな」


 僕の視線に応える形でバッソが説明する。


「まずは『鬼灯兵団』の宿舎に案内するわ。そこで今回のことをみんなに説明しましょう。その後、領主館に行こうと思うけど、どうかしら?」

「わかりました」


 心情的にはあのちょび髭に合うのは、面倒なので回避したいが。


「荷物は宿舎に置いて貰えれば……ってすごく少ないわね」

「この鞄、魔法道具(アーティファクト)なんですよ」

 

 鞄をパンパンとたたく。

 このショルダーバッグ一つで登山用バックパック五つ分ほどの容量が入る。

 そもそも、【隠された金庫室(ヒドゥンセイフ)】があるので、そう入れるものもないが。


「ホントに、すごいわね……」


 バッソとミリィが目を丸くしている。

 魔法道具(アーティファクト)の邪魔なヤツは燃やして処分しました、なんて言ったら卒倒しそうだ。


「そうは言いますけど、バッソさんの持ってる剣も風属性の魔法剣だし、ミリィさんが背負ってる弓も何らかの魔法道具(アーティファクト)でしょう?」


 指摘すると、二人は驚いた顔をみせる。

 ミリィにいたってはフレーメン現象を起こした猫みたいになっていた。

 竜血の影響か、あるいは過酷を極めた整理整頓の成果か。

 僕には魔法道具(アーティファクト)をある程度見分ける能力が身についていた。


魔法道具(アーティファクト)がわかるのか?」

「おおよそは? 詳しい性能までわかるわけじゃないですけど」

「『勇者』ってのはすごいんだな……」


 また新しい単語が出て来た。

 しかも、『勇者』ときたもんだ。


 残念ながら雷系の魔法は……使えるな。

 宝石のはまった頭冠でもつけてみせようか?


「『勇者』?」

「大隊長、その話は落ち着いてからと……」


 ミリィがバッソの尻を尻尾でパンとたたく。


「どういうことです?」


 道すがら二人が説明するのを黙って聞く。

 二人が言うには、僕は、おそらく何らかの加護を受けているのだと。

 もしかすると、その『隠遁魔法使い』は神に近い存在で、使命の為にユウに力を与えたのだろうと。


「あー……たぶんそんな難しい話じゃないと思いますけど。世間一般ではそれが通説なんですかね?」

「そうね。そうでないとしても、そうしておくほうが自然だと思うわ」

「じゃあ、聞かれたらそういうことにしておきましょう。その『勇者』って呼び方からして厄介ごとの原因になりそうですけど」


 僕はため息をついた。

 それもこれも自分が世間知らずなための事態だと諦めるしかない。


いかがでしたでしょうか('ω')

ここから本格的にネルキド編開始です。

新ヒロインまで後少し……


さぁ、せっかくの日曜日ですし……

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