プロローグ2
「神域か……」
辺り一面に広がる白。見渡す限り白がこの空間を覆っている。
転移させられたみたいだな。身体にあった楔が無くなっている、死んだか?いや、あの楔は魂に打たれていたはず。そう易々とは外せないはずだが……。
「久しいね、棺。」
妙に中性的な声が聞こえる。この空間に呼び出された時点で誰かの想像はつく。随分とここの主は暇らしい。
「何の用だ?神、俺を呼び出すとは。英雄どもが黙っちゃいないぞ?」
「知ったこっちゃないね。勝手ができるから神なのさ。」
「あぁ、お前はそういうやつだったな。で、要件は?」
「話が早くて助かるよ、棺。ちょっと異世界に行って僕の上司である鬱陶しい女神を殺してきて欲しいんだ。」
「あ?」
「いやー、そいつがくそ鬱陶しくてね!つい今しがたも……」
「そんな話はどうでもいい。そいつの名前は?」
「流石〜♪︎、彼女の名前はエウロナ、向こうでは創世の女神エウロナって呼ばれてる。」
創世の女神…ね。名前から推測するに世界を創った神といった類か。面白い。
久々に体内の魔力を循環させる。循環効率が少し悪い、鈍ったか…。
「素晴らしい循環だね。3年前よりも効率は悪そうだけど、棺ならすぐ取り戻せる割合だね。おっと、もう時間だ」
俺の身体が光に包まれた。どうやら数秒後には転移させられるらしい。
「君を呼び出したい者は一刻も早く来て欲しいらしいね。ちょうど召喚したいものがいて良かったよ。しかも都合がいいことに魔族サイド。君から見れば弱者の部類に入る者たちだけど大事にしてあげてね。その中の1人は君のタイプかもね。あ、そうだ!言い忘れてたんだけどね、この神殺しの依頼ってね、ターゲットが僕の世界からいちいち人を盗んでいくことから始まったんだよね、ついさっきも君を呼び出す前にもってかれたんだよ。」
「後半部分の話は俺に関係あるのか?」
「『七剣』と『監視者』も巻き込まれてるから気をつけな。」
どうやらこのムカつく神はネタバレを最後にするタイプなようだな。
「それをある程度先に言え、クソが。」
言い終えたと同時に俺は異世界に転移した。
多分更新1週間に1回ペースでやっていく感じになると思います。
いつ更新するかはまたおいおい活動報告か後書きにでも書きます。