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鳴き声の欲しかったキリンくん

作者: あいうえお

※この物語は未就学児を対象に、教育学に基いて保護者の方が読み聞かせる事を前提に作られています。

 ワンパク幼稚園にはお友達が一杯です。

 ここにいるのは皆元気な動物なので、誰もが素敵な鳴き声を持っています。


 ネコちゃんはニャーニャー。

 イヌくんはワンワン。

 カラスちゃんはカーカー。

 ライオンくんはガオー。

 ゴリラちゃんはウッホホ。

 ネズミくんはチューチュー。

 アルマジロくんはマジロマジロ。


 だけど、キリンくんは?


 キリンくんには鳴き声がありません。

 だから、いつも自分も鳴き声が欲しいと思っていました。

 キリンくんは言いました。

「僕も鳴き声が欲しいなあ。皆みたいな素敵な鳴き声があったらなあ。キリンになんて生まれなければよかった」


 そんな時、イヌくんがやってきて、キリンくんに助けを求めました。

「キリンくん、キリンくん。大変、大変。ネコちゃんが高い木に登って降りられなくなっちゃったの!」

「うん、分かった。僕に任せて!」


 キリンくんはそう言うと、長~い首を使って高い木の上に登って降りられなくなったネコちゃんを助けてあげました。


「ありがとう、キリンくん」

 ネコちゃんは言いました。

「キリンくんは良いなあ。僕もキリンに生まれれば良かった」

 イヌくんが言いました。


 キリンくんは疑問です。だって、僕はキリンなのに。

「僕はキリンだよ。皆みたいに素敵な鳴き声もないのにイヌくんはキリンに生まれたかったの?」

「そうだよ」

 イヌくんは言いました。

「キリンくんは鳴き声はないかもしれないけど、とっても素敵な首があるじゃないか」

「そうかなあ」


 次の日、キリンくんが通園すると、入り口に皆が集って困っている様子でした。

「おはよう。みんな、どうしたの?」

 キリンくんは聞きました。

 ゴリラちゃんは答えます。

「あ、キリンくん。おはよう。実は、入り口のところに大穴が開いちゃって、中に入れなくなったの」

「よし、じゃあ僕に任せて!」

 キリンくんはそう言うと長い首を使って橋を造りました。

 皆その上を渡って幼稚園に入ることが出来ました。

「ありがとう、キリンくん」

 ゴリラちゃんが言いました。

「キリンくんのおかげで皆助かったよ。キリンってとっても素敵な動物なんだね」

「え、なんで?」

 キリンくんは疑問です。

「キリンには鳴き声がないんだよ。それなのにキリンが素敵な動物なの?」

「鳴き声はないかもしれないけど、キリンくんはとっても長い首があるじゃない」

「そうかなあ」


 その日のお昼、ご飯の時間になるとライオンくんが泣いていました。

「どうしたの、ライオンくん?」

 キリンくんは聞きました。

「僕のお箸がどこかにいっちゃったんだ。あれがないとお弁当が食べられないよ~」

「よーしわかった。僕が探してあげる」

 さらに皆にも呼びかけました。

「皆もライオンくんのお箸を探してあげて」

「うん、分かった!」

 皆が答えます。


 キリンくんは長い首をいかして高い視点から周りを探します。

 キリンくんが呼びかけた他の友達たちも違う視点でお箸を探します。

 するとお箸はすぐに見つかりました。

 ライオンくんは大喜びです。

「皆、ありがとう。キリンくんもありがとう。これでお弁当が食べられるよ。キリンくんってとっても優しいんだね。ボクもキリンに生まれたかった」

 キリンくんは疑問です。

「え、どうして。僕はキリンなんだよ。皆みたいに素敵な鳴き声もないし、ライオンくんみたいなタテガミもないんだよ」

「だけど、キリンくんは僕達のことを助けてくれるじゃないか。とっても素敵な動物だよ」


 そこでキリンくんは気付きました。

 素敵な動物かどうかなのは、その人がどんな行いをするかによって決まるということを。


「そっかあ。また何か困ったことがあったら僕に言ってね。力になるよ」

 とキリンくんは言いました。


 その日の夜、キリンくんはパパとママに言いました。

「パパとママ。僕を生んでくれてありがとう。僕キリンに生まれてとっても良かったなあ」


 おしまい。

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