interlude PDエンパイアにて
「もう少し時間があれば話を出来ただろうに……」
「アランドラさん、まだ言うんですそれ」
「言うに決まっとるだろうに」
「トップが止めに入ったんだから、そんな時間なかったんですって」
PDエンパイア、場内。
宰相位、アランドラ・ロキシーは前日から愚痴を呟き続けていた。
「あれは明らかに他世界人だった。敵対するかはわからないにせよ、対話は必須。それを、何故センターが」
「まあ、でもよかったじゃないですか。布告まで使ってアランドラさん回収するとか、やっぱり王様にはトップに座る才能がおありだとよぉくわかったはずですし」
「それはそうだろう。言動はすこ、いや、だい、まあ、幼いが、それでもドラゴンなのだから」
名乗りは変えていただきたいものだが、な。
「しかし、これからどうするべきか。こちらからの接触は禁止されてしまったからな」
「裏で人動かさないでくださいよ?センターに気付かれた瞬間、国丸ごとスキル剥奪でしょうし」
「わかっている。だが、ならば、どう守るかだ」
「あちらから来てもらえればいいんですけど」
軽く言い合いながら、書類に印を押していく。
押したはしから書類が燃え消え、徐々に机の上が空き始めた。
「便利っすねこれ。くれません?」
「やらん。お前のスキルにもほしいのはないし、これはコンバートものだぞ」
「コストでかいなぁ」
「……これ使って投書しても駄目だろうしな」
眉間に皺。段々と痛みだす頭に、さらに目をしかめる。
「なんで俺はこんなところで宰相なぞやってるんだ」
「久々に聞きましたよそれ。便利なスキルがあるからじゃないんすか」
「いやそもそも格安の異世界旅行プランが駄目だった。渡航費に宿代込みで8ドルと1セントだぞ。今考えたらあれはやばい」
「つまり自業自得なのでは?」
自業自得である。
そもそも指数になるようなハンバーガーを二個買い控えれば行ける旅行など詐欺以外ないだろう。
まあ、渡航だけは出来たようだが。
「本当我らが王に拾われなければどうなってたやら。当時はセンターもいなかったしな、攻撃無効なんてものもなかったし」
「あんた何歳だよ」
「センターが六百年は前だろ?で、建国がそこから百年は前で、あー、八百はいってないはずだ。不老化したのも王に出会ってからだし」
こめかみを、とん、と。
「まあ、気にしても仕方がないことだ。それより上かたすぞ。王がそろそろ来るだろうし」
「おやつ時ですからねぇ」
PDエンパイア。危機感は変わらずに、それでもいつも通りに暮らすのだった。
今は、まだ。




