梅沢海岸にて
梅沢海岸にいた。
今日は朝から色々あって、少し波の音でも聞きながらゆっくりしたい気分だった。
ヘルメットを枕に砂浜に寝転がると、そこには雲ひとつない青空が広がっていた。
降り注ぐ太陽の光を浴びていたら、少しウトウトして眠ってしまった。時間にして15分くらいだったと思う。
ハッとして身体を起こすと、見知った後姿があった。
「起きたかハゲ!そのままでいいから黙ってあーしの話を聞け。…最近、あーしの事おざなりになってね?店長やアッコさんと3人でさ。」
何を言ってるのか一瞬わからなかった。
っかハゲてねーし。
「えーと金髪っちゃん、ハゲって…」
訪ねようとした所で金髪ちゃんの言葉に遮られる。
「シャラーップ!ウッセー、いいから黙って聞け!コジコジにとって、あーしってなんなん?ただの同級生?ダチじゃねーわけ?少なからずあーしは、大変不本意だけどコジコジをダチだと思ってる。アッコさんの事だって…」
凄く失礼な事言ったよこの子。
ついでに言うならさ、突然やって来て友達にいきなりハゲとか言う?
「ちょっと待って金髪っちゃん。金髪っちゃんこそ本当に僕の事友達だと思ってるの?不本意とか言っちゃってるけど?普通さ、友達にそんな事言わないよ?ハゲとかさー」
今日の金髪ちゃん、何か苛立ってるな。
「あー‼︎ウッセーうっせーウッセーわ‼︎うまく言えないけど、コジコジがあーしに対してやってる事はそれと同じ様な事なんだよ!分かれよこのバーカ!」
分かれっていわれてもな〜。
ハッ!ひょっとして金髪っちゃんそう言う事か⁉︎そう言う事なのか⁉︎
「ごめん、金髪ちゃん!そう言う事だったんだね。気づいてやれなくてごめん。」
僕はもっと女の子の事を気遣うべきだ。
「まぁ、分りゃいいんだけどさ…」
そりゃ言いにくい事だよな。
「大丈夫なの?重い子もいるって聞くしさ。金髪ちゃん、今日女の子の…」
金髪ちゃんの顔が、みるみる鬼の様な形相になる。
「ちげーわ‼︎全くちげーわバーカ。誰が女の子の日やねん!こちとら先週終わってるってーの!何度も言ってんべ?そんなんだからダメなの、コジコジは!あーもう面倒くせーから分かりやすく言うとだ、コジコジの中であーしん事をマブでダチだと思ってんだったら何でも言えって事!隠し事すんな!困った事があったらあーしにも相談しろや!あーしがいいたいのはそう言う事。ダチなら分かれよ!」
いやいや、ハッキリそう言ってくれないと分からないよ?
「金髪ちゃん、僕達ダチなんでしょ?なら周りくどい言い方せずストレートにハッキリそう言えばいいじゃん⁉︎金髪っちゃんらしくもない。」
何にそんな腹を立てているんだろうか?
女の子の日でもない。
うーん、謎だ。
「もうお前面倒くせーから◯ねよ!あーしらしさってなんなん?そんな事言える位コジコジはあーしの事知ってんわけ?」
何だか普段の乗りではダメな気がする。
「僕と金髪っちゃんは高校生になってから知り合ったからさ、昔の事はわからないよ。でもさ、いつでも思った事をストレートにものを言うのが金髪っちゃんだろ?僕が知ってる金髪っちゃんはちょっとお馬鹿だけど真っ直ぐでさ。まぁ、なんかちょっと不本意だけどもさ、黙ってれば顔だけは可愛い、そんな女の子だと思ってるよ。」
誰かを、それも友人をいちいち分析したりした事ないからうまく言えないけど、取り敢えず僕が思う金髪っちゃんをありのままに伝えてみた。
「お、おま…what the hell are you saying⁉︎You think I'm pretty?Oh my godからのJesus Christ!だ馬鹿野郎!」
わなわなと震えながら、金髪っちゃんが何を言ってるのか分からない。
「ま、まぁ、ちょっと落ちつこう金髪っちゃん。」
そう言って金髪っちゃんの肩に触れようとすると、凄い勢いでその手を弾かれる。
「Don't touch me‼︎」
いや、映画以外でしか聞いた事のないセリフを僕は今生で聞いたよ?実際。
「…な、なんだお前!あーしの事可愛いとか、さ。そんな目でいつも見てたんかよ⁉︎か、可愛いとかさ、全然嬉しくないかんな!馬鹿ぢゃねーの。」
お!なんかちょっと狼狽えてるぞ?
「いや、あのね金髪っちゃん。ちょっとお馬鹿だけど、黙ってれば顔だけは可愛いって言ったんであって、ストレートに可愛いとは言ってないんだが…おーぃ、金髪っちゃ〜ん?もしも〜し!」
ダメだ完全に聞こえてない。
と言うか、若干興奮気味で、鼻息フンガーフンガー言ってるけど大丈夫か?
しばらく様子を見ていると急に我に返ったのか、金髪っちゃんが僕に向き直る。
「いいか、あーしはそんな言葉にはコレッぽっちも踊らされたりしないかんな!あーしは安い女ぢゃねーから嬉しくねーし!っか、勝手にあーしの事をいい女扱いしてんじゃねーよ!このバーカ、このバーカ!お前のかーちゃんデーベーソ。お前の父ちゃんチンドン屋!」
そう謎の捨て台詞を吐くと、金髪っちゃんはダッシュで砂浜を走り去って行った。
「何だったんだ一体?でもちょっと最近、金髪っちゃんかまってあげられてなかったから寂しかったのかな?取り敢えず気に掛ける様にしなきゃ。あ!でも、母と父には金髪っちゃんの残した捨て台詞は伝えておこう。」
携帯電話をポケットから出すと時間を確認する。
「4時か…篠崎さんいるかな?」
携帯をまたポケットにしまうと、僕は蒙古飯店に向かった。




