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僕と不良少女の関係  作者: 東京 澪音
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待ち合わせ前のより道

二の宮駅に到着すると、時計は午前10時を少し回ったところだった。


篠崎さんいるかな?

そんな事を考えながら蒙古飯店の扉を開けようとしたが、扉は閉められたままだ。


まぁ開店前だし、閉まってて当たり前か。

どうしようかと悩んでいると、店内から誰かの歌声が聞こえてきた。


大ファンの僕には直ぐにわかった。

篠崎さんの声だ!


僕は裏口の存在を思い出し、お店の裏手に回る。


「I can't get no satisfaction〜♪Cause I try and I try and I try and I try〜I can't get no, I can't get no!」


何が納得出来ないと言うのだろうか?


どうやらストーンズのsatisfactionを口遊みながら、仕込みの真っ最中らしい。


うん。多分仕込みをしなきゃいけない事に納得出来ないんだな!と、勝手に納得僕は裏口の扉をノックした。


直ぐに僕に気がついた篠崎さんは笑顔で店内へ招き入れてくれた。


「どうした少年、こんな時間に?お!さては授業バックれたな⁉︎いーね〜不良だね〜青春だね〜。俺も学生の頃よく授業サボって小田原の楽器屋でギター弾かせてもらってたよ。」


どこか遠くを見つめたまま篠崎さんは語り出した。


「んで、用件はベンの情報か?それとも恋の悩みか?取り敢えずベンのマネージャーだった笹倉に連絡入れてみたんだけどまだ捕まらなくってさ。一応、メールも入れといたから連絡が来たら直ぐ少年に折り返す様にするから心配すんな。ベンの妹にも伝えておいてくれ。因みに恋の悩みなら他を当たってくれな。」


そう言って篠崎さんはコーヒーを淹れてくれた。


「ラーメン屋なのにこんなに美味しいコーヒーも出すんですね!」

僕は出されたコーヒーを一口含むと、その美味しさに驚いた。


「はっはっはっは!驚いたか少年?だがコイツは店のメニューには無いんだわ。俺のタバコ・パチンコに次ぐ嗜好品の一つさ。そして気に入った客か友人にしか出さない裏メニューでもある。」


ありがたい事に僕はどうやら篠崎さんの気に入った客か友人の部類に入ってるらしい。


仕込みを終えたらしい篠崎さんは、カウンターに無造作に置いてあったHeaven Starに火を灯す。


一息つくかの様に煙を吐き出すと、コーヒーを一口啜る。


「我ながら旨いね〜俺が淹れたコーヒーは。本当は豆がいいからなんだけどな!因みにこのコーヒーは秦野にあるCHANT(シャンテ)っていう小さいながらも名店と言われる喫茶店のマスターが俺の為だけにブレンドしてくれるスペシャルコーヒー豆なんだぜ。ガキの頃からよく通っててさ、マスターにはこうしていまだに世話になってる。少年もいつか機会があれば行ってみるといい。悩んだ気持ちを解きほぐす、優しい茶を出してくれるんだぜ。」


神奈川県には本当素敵な店や場所が多々ある。

篠崎さんが言う位だ、シャンテと言うお店はかなり素敵な店なんだろう。


いつか機会があれば行ってみようと思う。


「因みにJACK IN THE BOXのメジャーデビューアルバムのジャケットの写真、あれ無理言ってシャンテで撮らせて貰ったんだぜ。」


えー‼︎マジっすか⁉︎

とか言いながら、蒙古飯店が開店するギリギリまでお邪魔して色々な話を聞かせてもらった。


「少年、飯食ってくか?奢るぜ?」


大変ありがたいお誘いではあったが、この後谷田さんのお母さんとお昼に待ち合わせをしているのでお断りを入れて店を出た。


「すみません、今日はこの後人と会う約束があるので、また改めてランチ食べに来ます。」


そう言うと、篠崎さんは僕に小指を立ててニコニコ笑う。


「コレか〜?」


表現が若干古いが、僕は笑って誤魔化した。


「俺もこれから女と会うんだ。毎日会いに行かないと拗ねるからな〜アイツ。」


そう言いながら篠崎さんは右手でボールを掴む様に僕の目の前に出すと、それを右に捻る仕草をする。


あ、パチンコか!


「ワ◯ンちゃんとマ◯ンちゃんによろしくお伝え下さい。ヤンさんもまた!」


入れ違いで入ってきたヤンさんにも軽く挨拶する。


「再見アルよ〜!」


ヤンさんに向かって片手をあげ店を出ると、僕は谷田さんのお母さんと待ち合わせしてる場所へバイクを走らせた。



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