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僕と不良少女の関係  作者: 東京 澪音
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彼女の新たな一面

美術の授業を終えると、僕は心愛に返信をして携帯をしまう。


「心愛からか?」


谷田さんが声を掛けてくれる。

以前は周りを凄く気にしていたのに、最近は自然と接してくれる様になってきた。


いい傾向で僕はそれがとても嬉しい。


「うん。どうやら試験は落ちちゃったらしいんだ。家にもう少し優しい参考書、"犬でも受かる原付試験"があるから、それあげるよってメールしたら、篠崎さんのとこでご飯食べたら後で取りに来るって返信来たよ。」


試験落ちちゃった訳だけど、残念パーティーとかやるのかな?やるんだろうな~金髪っちゃんの事だから。


先日はご馳走になっちゃったから、今度は僕がご馳走してあげよう。

そんな事を考えていると、谷田さんが質問してくる。


「なぁ、佐々木。篠崎さんて誰だ?」


あれ?谷田さんは篠崎さんの事しらないのかな?心愛のバイト先で時々ご飯食べてるみたいに聞いてたけど…。


「あ、篠崎さんてのは心愛のバイト先の店長で、いつもは3時過ぎ位から店にいるって言ってましたよ。」


そう説明すると、篠崎さんが誰だかわかったらしい。


「はいはいはいはい!あのちょっと冴えないパチンコ好きな!あの人店長なのかよ!?みるからにグーたらな感じがするんだけどさ…あの人篠崎さんっていうのか~。なに佐々木、知り合い?」


僕らはお昼を食べる為に、軽音同好会の部室に向かう道すがら移動しながら話を続ける。


「篠崎さんはね、僕がギターを始めるキッカケになった有名なギターリストでね。Jack in the boxっていうブリティッシュでイカしたスリーピースバンドのギター&ボーカルやってる人なんだ。今は活動休止中なんだけど、僕もまさかそんな人がラーメン屋の2代目やってるなんてビックリした。日本であんなにカッコいいギターを弾く人ってなかなかいないと思う。あ、後でバイト前にCD聞かせますね。凄いカッコイイギター弾くんですよ!」


谷田さんはちょっと疑いの眼差しを僕に向けつつも、僕の話を聞いてくれる。


「マジか!?全然そんな風には見えないんだよな~。ギターよりも、煙草咥えながらパチンコのハンドル握ってた方が似合いそうな気がすんだよな~。っか、今だから言うけどさ、私は最初ヤンさんの方が店長だと思ってたし。」


あ、谷田さんもやっぱりそう思ったんだね(笑)


「まぁ、佐々木が影響された位なんだから、イカしたギター弾くんだろうな。ちょっとばかし眉唾なんだが…OK、後で聞かせてくれ!」


谷田さんに信じて貰うも為にも、後で必ずCDを聞かせなければ!

でも、篠崎さんを知らない人から言わせれば、偉大なギターリストだって説明しても絶対信じないんだろうな~。


「しっかし心愛も馬鹿だな。折角佐々木が参考書くれたってのに、少しも活かせてない。参考書ってのは、ソレを参考にするから参考書って言うのであって、それをコレっぽっちも参考に出来てねーじゃん。そもそもアイツは思い立ったが吉日なヤツだから、試験勉強より試験受ける事に意義がある!的なヤツなんだよ。原付試験なんてそんな難しいもんでもねーだろうにさ、まったく。」


そう言えば谷田さんは原付免許持ってる訳なんだけど、どんな試験対策をしたのか少し気になる。


「ところで谷田さんは原付試験受ける時、どんな風に試験対策&試験勉強しました?もし良ければその辺を心愛にレクチャーしてあげたら、あいつも心強いかと思うんですけど…。」


谷田さんて学校の試験もそうだけど、勉強とか対策とか全くしてる様に見えないんだよな。でもそれでいて成績がとてもいい。


その辺の秘密を知る事が出来たら、僕も少しは成績が上がるかも!


僕は興味津々で谷田さんに尋ねてみた。


「あ?私?全然対策とか勉強とかしなかったし。強いて言うなら駅前留学を3日位したかな。」


駅前留学?

僕は谷田さんの言葉に首を傾げる。


「あっははは。分かんねーよな?ほら、駅前に本屋あるだろ?えーっと文教堂だっけか?私は当時佐々木みたいに出来た友人も金も無かったから、あそこに学校帰り通ってさ、3日間毎日原付参考書立ち読みして勉強したって訳。それまで標識やら交通ルールなんて無縁だったから若干苦労したけどな。まぁ、参考にならないかもしれないが、そんな感じだ。あ、因みに学校の試験対策もたまにそうしてる。図書館とか行けばいいんだろうけど、私しゃどーもあの空間が苦手なんだわ。静かすぎて逆に落ち着かない。」


谷田さんは笑いながら、僕ら凡人には全く効果がなさそうな試験対策方法を教えてくれた。


「勉強大好き!なんてヤツは稀な訳じゃん。そりゃあ、中には勉強が全てって奴も少数は居るだろうし、自分の趣味や興味がある事の為に一生懸命勉強するヤツだっている。佐々木だってそうだろ?アンタバイク詳しいじゃん。その知識だって勉強して身についたものだろ?だから私はそういう奴らを馬鹿にしたりしないし、寧ろ尊敬さえするよ。私には真似出来ない事だしな。私はそういうのが苦手でさ、出来れば試験対策なんかもちゃちゃっと済ませたい訳なんだよ。ならば集中して短時間で身につける。学校の授業でキッチリ覚えちまえば、後は無駄な勉強しなくて済むだろ?正直私の人生で重きを置くのは音楽やピアノだったり、自由だったりする。それと自分が思うまま本能に従って生きる事。学校で習う数字や歴史に多くの時間をとられる訳にはいかないんだよ。学校ではさ、最低限な教養なんかはそれで身につくかもしれないけど、そいつはあくまでこれから生きていく為の最低限の基盤。そこから先どういう道を辿るかなんて自分次第だろ?早い時期に自分がどういう道に進みたいか?って事を見つけられる奴もいれば、成人過ぎても迷って決め兼ねてる奴もいる。それは悪いことじゃないし、どんなに時間が掛かっても自分が好きな道に進めたら、それは本当にいい事だと思う。」


僕らは本当に同級生なのだろうか?

僕はそこまで考えて毎日を生きているのか?

ダラダラと無駄な時間を過ごしてやしないだろうか?


そりゃあ確かに谷田さんは年齢的に言ったら1つ歳上だけど、それでもたった1年だ。けど、その1年は埋めようがない、縮めようのない距離なんだろうか?


谷田さんは不良なんだろうけど、自分をしっかりと持っていたりする。話の内容から察するに自分が進むべき道をもう決めてたりするんだと思う。


僕はもっと谷田さんを知る必要がある。

まだまだ彼女の事で知らない事が多すぎる。


僕が彼女と対等であろうとするのならば、自分も相応

の考え方を持つべきだし、努力も必要だ。


谷田さんの新たな部分に触れる事が出来て、僕もそれに感化された様な…そんな気分にさせられた木曜日の午後だった。


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