三ノ巻 『異形ノ影』
~前回までのあらすじ~
獣賀の里を焼き滅ぼした裏刃衆過激派を率いる鬼神斎は、片腕である修羅の九蔵の操る暗鬼、火焔掌を打ち倒した仮面のシノビである雲豹の牙丸こそがその生き残りと考え次なる手を差し向けた。翌朝、臨時ニュースに映ったのは、地獄と化した警察署内と牙丸への挑戦状。果たして、新たな暗鬼、影瞑裏の能力とは?
夜。人々が仕事や学業から帰宅し、辺りが闇に包まれた頃。街灯を避け、ただ月灯りの中を歩く影が一つ。そこに、もう一つの影が近付いて来た。
「ウェッヒッヒッ……儲けた儲けた、パチンコで勝った金で呑む酒は旨ェエ!」
酔っ払いの千鳥足が、危なっかしくすれ違おうとする影に近付く。
「うぉっとっと!? おいィにーちゃん気を付けて歩けよォ!!」
「…………」
そのにーちゃん、何も話そうとしない。フードを深く被ったまま、顔も伺い知ることも出来なかった
「おい聞いてんのかよォってえええ!?」
酔っ払いは気付いてしまった。相手の影の形に。それが、ヒトのモノではないことに。
「ヒィィ!?」
逃げ出そうとした酔っ払いの肩をもう一人の手が掴む。ヒトのそれより遥かに太い指が酔っ払いの顔を押さえると、自らの腹部を露わにする。そこにはヒトにはあるはずのない、"口"が付いていた。
「あぐ、ががが、がぼぼほぼ」
異形の存在は酔っ払いを腹部の口に押し付けた。たちまち獲物の体から白い煙が上がり、まるで空気が抜けるように着ているはずの服がしぼんでゆく。
「がぼ……ぼ……」
ぐしゃぐしゃと、まるでタオルのように酔っ払いの体が折り畳まれる。最早喋るのも悲鳴を上げることも不可能だった。無造作に捨てられた服からは未だに煙が立ち上ぼり、街灯に照らされてヌメヌメとした液体が異様なツヤを放っている。
「脂ぎった男だったな」
そう呟き、異形の存在はフードを取る。その頭部には先端に球体を載せた、特徴的な突起物が二つ付いている。
「これで今日、食ろうた人間は五人……」
腹の口が動き、少しだけ声を発すると、暗闇からヌウッともう一つ、男の姿が現れる。
「よし、今日のところは戻れ、影瞑裏よ」
「御意」
男が腰に下げていた瓢箪の口を開けると、影瞑裏と呼ばれた異形の存在は体を液状化させ、その中に吸い込まれるように姿を消した。その後は男の方もまた、夜の陰に消えていくのであった。二人が消えた直後、一つの影が降りて来た。仮面で顔を隠した奥に、山吹色の目が光っている。
「遅かったか……!!」
翌朝のことである。
「危ないので近寄らないで下さい!」
警察がテープで囲むその中には、粘液にまみれた服が横になっていた。そんな不気味なモノでさえ、野次馬達は覗き込む。
「本日、五人目だとのことです……」
「ごくろう」
あの粘液文字から、すでに二日が経っていた。宣言通り裏刃衆の刺客、影瞑裏は五人の命を奪ったのである。
「炭の次は汁かよ……引っ越そうかなァもう」
退院してきたユウが現場を見て呟いた。何せ、彼の住むマンションのすぐ近くだからだ。
「ユーさん! 大丈夫ですかね」
ショウが階段から降りつつ話しかけた。その背中には大きな釣具用のバッグを背負っている。
「ショウじゃねぇか! ……釣りかい?」
「うん、良いの釣れたら持ってくよ、それじゃ!」
ショウは休みになるとこうして釣りに出掛けるのだと言う。最も、きちんと釣れることの方が珍しいのだが。
「ショウさんって多趣味の割に、苦手なモノが多くないですか?」
野次馬に紛れていた、リョウがユウに近付きそう言った。
「良いんだよ趣味ってのは下手の横好きでェ。しかしこの状況に目もくれず出てったってことは相当好きなんだな」
「いや、上の階からガッツリ見てましたよ、まるで特等席」
「なんだよあのちゃっかりさん。ところでリョウは今日どうするのさ」
「ゲーセンです、昔のクラスメートと待ち合わせしてまして……そうだユーさんもいかがですか?」
「いや……今日は一日家で大人しくしとくよ……行ってらっしゃい」
リョウは原付に跨がると、そのまま颯爽と駆け出した。彼の向かうゲームセンターはこの近辺における唯一の娯楽施設と言っても良いとこである。アーケードゲームのみならず、カラオケや喫茶店も入っているため、若者にとっては一日潰せる便利なとこであった。
「よーリョウ! なんか近くで変な事件があったんだって?」
「うん、警察署の事件があったでしょ。それと同じような手口でね」
「それでよく出掛けて来たなぁ」
「引きこもるのは性に合わないもんでさ」
彼が待ち合わせたのは高校時代の友人達であった。ある者は大学へ、ある者は専門学校へ。進路もバラバラとなった旧友達が、こうして集う機会は滅多にない。だからリョウはこの日を楽しみにしていたのだ。しかしこの建物を、遠巻きに見つめる姿がそこにあった。
「今日は随分人が集まっておるな」
「左様で御座います九蔵様」
瓢箪を携えた男が物陰に紛れて声を出す。答える声はその瓢箪から響いていた。
「ヤツのことだ、ここで派手にやれば何処からともなく現れる。ひょっとすれば中に紛れておるだろうな」
「では何時頃に仕掛けましょうか」
「うむ……その時が来れば呼び出そう。出たら早速誰かを食らうと良い」
「御意」
夜になっても、ゲームコーナーの熱狂は冷めることはない。対戦ゲームで盛り上がる者、UFOキャッチャーにのめり込む者、ダンスゲームで華麗なステップを踏む者。その日の閉店時間が来るまでこの夢の空間は夢を提供し続けるのだ。だが誰が想像出来たてあろう、この夢があと数分で、悪夢に変わるということを。
「ブレンド珈琲を一つ、あと御不浄はどちらへ?」
「御手洗でしたら、そこの角を右に回ると扉があります」
「ありがとう」
リュックサックを背負った男は喫茶店のコーナーにてテーブルに案内されると、早速店員に注文した。教えられた通りに向かうとやはり、そこにトイレがある。
「間もなくだ、影瞑裏よ」
男はリュックサックからあの瓢箪を取り出すと中身を口に含み、目の前の壁に吹き付けた。
「照明の裏にて待て。そして合図と共に姿を現すのだ、良いな?」
「御意、直ちに向かいます」
液状の姿のまま、影瞑裏は天上を伝い、照明の裏に向かう。この液化しての行動は、シノビの行う隠密行動には大変適した能力であった。
「ごちそうさまでした」
パーカーの男、いやその正体である修羅の九蔵は珈琲を一気に飲み干し、レジに小銭を置いた。そしてその場を後にすると同時に、リョウ達一行は喫茶店に入って来たのである。
「カルボナーラ一つ!」
「オレ、ハンバーガーで」
「ナポリタンあるゥ?」
「あ、ミルクティー下さい」
席に付くなり口々に注文する元同級生達。その一方で、レジのいた店員はある異常に気付いていた。
「何だコレ、何でレジに小石なんて入ってるんだ?」
御察しの方もいるかもしれないがこの小石はつい先程、レジに入れるその時は確かに小銭の姿をしていた。それを払った張本人、九蔵はその様子を後ろにほくそ笑み、その直後!
「んごぁああッ!?」
ボトォンッ、という音と共に件の店員にヌメヌメした何かが降りかかる。音と悲鳴に驚いた客達がその方向に顔を向けると、店員はパニックと粘液質のそれに溺れていた。
「あがぼぼぼぼぼぼぼ」
声にならぬ声を上げる中、そのヌメりは人型の姿を成してゆく。やがて店員の顔と腹部にまとわりつく部分が手に変わり、背後に付いた部位がその頭と胴体となる。徴的な角が生えるその頃には喫茶店の制服だけがその手の中に抱かれていた。
「きゃああああああああ!!」
「ひぃぃぃいい!?」
「ひ、人殺しッ……!!」
喫茶店全体がパニックと化す。やがてその恐慌が施設全般に伝搬する。
「お、おいどうなってんだよコレ」
「アイツ、ひょっとしてこないだの警察署での犯人……!?」
「と、溶けてる……溶けてる!!」
「あ、あ、ああああああああ」
当然、リョウ達も平常ではいられない。その間にも影瞑裏は逃げ出そうとする客の一人に向かって、体に巻き付いた紐状の物体の一つをほどき伸ばして投げ付ける。
「ぎゃあああああああああ!!」
投擲されたモノが体に絡み付き、しかし離れようとはしない。更に徐々に締め上げていく。哀れにも捕まったその客は悲鳴を上げるしか出来ない。
「あと三人……」
唸るような声で影瞑裏は呟く。その角があちこちを向くと、やがて店の隅でテーブルの下に固まるリョウ達の姿を捉えた。静かに、近付いていく。
「丁度三人か」
「お、オレ達をどうするんだ!?」
「我が糧となれ」
「か、かて……!?」
「私は食事に来ているのだよ。ここは喫茶店だろう?」
「ぼ、ぼぼぼ僕達はメニューじゃ、じゃない……!!」
「若い個体は躍り食いに限る」
そう言うや否や影瞑裏の体から伸びた紐が飛び、三人まとめて縛り上げた。そして背中に付いた、「丁」の字の真ん中を長く伸ばしたような棒を取り出し引っ掛け、表に引きずり出す。リョウ達は何とか逃れようと手足をジタバタさせ、のたうち回る。
「やはり活きの良さがそそるな。あえて緩めに縛った甲斐があったというモノよ」
その太い指が迫る。哀れ彼らはその十八か十九年の人生を、このまま躍り食いという形で終えてしまうのか。その纏っている衣服のみを生きた証としてこの世から消滅してしまうのか。目の前の怪人の不気味な口がシノビ装束の間から姿を見せた。ここまでか、と思われたその時である。
「……何ヤツ」
突如乱入した物体がリョウ達を縛る紐を切り裂き床に突き刺さる。
「う、うわああああああ!!」
リョウ達がその場から逃げ出した。その一方で影瞑裏の角が手裏剣の飛んできた方を向く。そこにはいつの間に来たのか、稲妻柄の装束を着た仮面のシノビが座っていた。その面頬の隙間に差したストローを外しつつ、席を立ち台詞を響かせる。
「お客様、この店には『若者の踊り食い』というメニューは御座いません」
「貴様が噂のッ!」
「雲豹の牙丸、見参!」
パーカーを来て客に紛れていた九蔵の姿が、いつの間にかシノビ装束に変わっている。
「表に出るぞ」
「御意!」
窓ガラスを豪快に突き破り、三人のシノビが外に出る。
「名を名乗れ、お主の番で御座る」
「我こそは裏刃衆上忍、修羅の九蔵。ウンピョウとは名ばかりの、飛んで火に入る夏の虫よ。獣ノ巻を渡してもらおう」
「ダメだ、と申せば?」
「この影瞑裏の糧となるヒトが、ただ増えるだけのこと」
影瞑裏の腹部にある口が答える。
「修羅の九蔵、いくら過激派とは言え、裏刃衆の掟を知らぬワケではあるまい?」
「『暗鬼にヒトの味を覚えさせるなかれ』であろう?」
「その末路、覚悟の上で御座るか!」
「たわけたことを! やれ影瞑裏、牙丸を食らい巻物を奪うのだ!!」
「御意ッ!!」
影瞑裏は丁の字型の棒を構え、牙丸に向かってゆく。対する牙丸、渦巻く稲妻の描かれた手甲で受け止めると、もう片方の手が紫電爪を打つ。至近距離で放たれる手裏剣の威力は凄まじいモノとなる。
「ぐぉぉぉ……やるな牙丸……」
腹部に打たれた紫電爪が回転し、絡み付いた紐やあの口を切り刻み、電撃を放つ。
「しかし甲斐なきこと!」
刻まれた口がそう喋るや否や、紫電爪の動きが鈍くなった。粘液で絡めとったのだ。直後、巻き付いた紐の一部が牙丸に飛ぶ。
「ぐっ……」
「動けぬだろう、獣賀者よ。そしてその目で見るが良い」
牙丸の眼前で、紫電爪が切り刻んだ影瞑裏の体が見る見るうちに再生していく。
「我が体に刃は効かぬのだ」
台詞の後、影瞑裏はその棒で牙丸を打ち付けた。丁字型の横棒の箇所を使って絡めた紐に引っ掛けると、そのまま引きずり建物に投げつける。追い討ちをかけようと迫る異形の影、しかし仮面のシノビのいるべきそこにあったのはシノビ装束を着込んだ、丸太であった。
「……小賢しい」
急に振り返りその背後に棒を降り下ろす影瞑裏。しかし棒は、二本の刀を交差させたそこに捕らえられていた。
「刃の使い道、斬るばかりでは御座らん……」
既にその刃は赤と青の輝きに染まっている。
「慟哭絶叫剣!」
交差させた刀のうち片方を素早く引き、擦り合わせたその瞬間に衝撃波が走る。その振動が影瞑裏を弾き飛ばし、更にその得物を揺さぶり、砕け散らせた。
「おのれ牙丸!」
それを見た九蔵はまず腰から二つの刀を抜くと、更に背中や足、手甲にまで差した大小様々な刀や剣がひとりでに浮き上がる。両手に持った刀を牙丸に向けると浮いた刀は、剣は次々に周囲を飛び、取り囲んだ。
「これが九蔵の由来よ。我が九刀流の威力、その身で確かめるが良い」
更に群影の面を刀達に飛ばすとその影に取り付き、その武器を持った群影が姿を現し、立て続けに斬りかかる。逆手に持ったまま、斬撃を流す牙丸であったが、その奥で棒ごと吹き飛ばしたはずの影瞑裏の腕が元に戻りつつあった。
「影瞑裏が再生するまでの、時間稼ぎで御座るな?」
七体の群影、自らと同じく双剣の九蔵。まともにやりあえば影瞑裏の体組織が再生するどころか牙丸自身もやられてしまう。
(たて続けに慟哭絶叫剣は撃てぬ……ならば!)
斬りかかる九蔵を相手どりつつ、牙丸は紫電爪を群影の一体に放つ。しかし群影の持っていた九蔵の刀が弾いてしまった。
「我が修羅刃は常に九つで一つ。私が持つ限り、一度握れば群影をも剣の鬼へと変えるのだ」
だがその返された紫電爪に霹靂珠を打ち込み、更に紫電爪を打つ。今度は九蔵本人がそれを跳ね返す、だが牙丸はそれに先程の霹靂珠付きの紫電爪をぶつけ、合体させた。
「紫電霹靂斬!」
出来上がった紫電霹靂斬を雷鳴牙で引っ掛け手元に寄せ、刃を展開させる牙丸。円盤に見える程に回転する二重の刃を、足元を狙い自らも回りながら投げた。渦を巻く軌跡を描き、刀で防ぐ間も与えられず次々に群影達は切り刻まれ、消えていった。
「流石、群影では相手にならぬか。だがもう遅い!」
「何、うぅッ!?」
牙丸の口元の面頬、腹部の装甲に太い指が巻き付くかのように押さえ付けられる。
「敵に背中を向けるなど愚の骨頂、特に影瞑裏にはなァ!!」
背中から声が響く。牙丸、このまま影瞑裏の栄養となってしまうのか!? 否、彼の両手は既に印を結んでいる。
「……敵に易々と触れるのも愚かで御座ろう、特にこの雲豹の牙丸には! 忍法、一閃の術!」
印を結んだその手の中に電気を発生させる、牙丸の基本の術。それが一閃の術である。しかし至近距離で電撃をぶつけられ広範囲を焼かれた影瞑裏には十分致命的と言える威力を発揮した。その隙を逃さず、牙丸は拾い上げた二振りの刀、雷鳴牙の刀身に帯電させると激しく振り回し、逆手にそれぞれ持ったまま突き出すようにして十字型に交差させたのだった。
「必殺、雷鳴咆哮破!」
解説せねばなるまい。雷鳴咆哮破とは左右の雷鳴牙に込められた陰と陽二つの電気エネルギーをぶつけて爆発させ、その凄まじい力を光輝く衝撃波として前方の一点に目掛けて放つ必殺技である。その破壊力は、同じく雷鳴牙を用いる慟哭絶叫剣を超えるのだ。そして技の標的は、影瞑裏の口に絞られていた。
「ぶばァッ!?」
影瞑裏の口の奥から消化液が吹き出した。体内で爆発が起こったのだ。体中に巻き付く紐状の物体に火が着き、その場に倒れ込む。
「口惜しや……!!」
影瞑裏の最期の言葉が響くと、その体はたちまち四方八方へと弾け飛んだのであった。
「覚えておれィ!」
捨て台詞と共に九蔵は姿を消した。
『ゲームセンターでの惨劇、異形の怪物と仮面のシノビの正体は!?』
翌日の新聞にはこう書かれることとなった。
『店員一人を殺害した怪物のその手口から、警察署を襲った者と同一犯として捜査している』
「リョウ、大丈夫だったの?」
「ああ、なんとか」
新聞片手に、ショウはリョウに話し掛けていた。
「しかし目の前で人が食われるなんて……ああああああ」
あの事件の翌朝、この町の心療内科に予約もない患者が殺到、待ち合い室にもあまりにも多くの人がいたという。リョウとその旧友達も、まだあの悪夢にうなされていた。
「それにしても仮面のシノビねぇ……」
ショウは新聞を手に、防犯カメラが捉えたという映像を見つめていた。
「またも暗鬼を失ったか」
「申しワケありません鬼神斎様……」
病院とはうってかわって、黒く暗い空間で二人のシノビが話す。
「所詮は打って出られぬ裏刃の連中が決めたこと、掟を破るくらいは良い。ただしそれだけの結果を出せ、私とて右腕たるお主を失いとうないからの……」
「肝に命じておきます……」
「それともう一つ、我々に協力してくれる、念願の助っ人が用意出来た」
「助っ人で御座いますか?」
「入れ」
鬼神斎の声で、室内に入ってくる姿があった。
「紹介しよう。我が娘、羅刹のお妖」
お妖はその顔の上半分に仮面を被っている。炎のように赤い唇、生白い肌、そして鬼神斎の仮面にも付いたあの白い能面のような顔が、額にあたる箇所に付いている。
「本来はもう一人いるのだが……合流出来たら紹介しよう。今は牙丸の足跡を追っているはずであろう」
雲豹の牙丸は戦う。命をかける理由を胸に秘め、一人孤独に町に立つ。コンクリートの密林に、装甲を纏う獣が駆ける。彼に安らぎの時はあるのだろうか、仮面の下の表情は如何なるモノか。誰に明かすことなく、牙丸は今日も何処かの影を行くのである。
仮面のシノビ、雲豹の牙丸の素顔を割らんと迫る、修羅の九蔵と羅刹のお妖。その手鏡から顔を覗かせる、新たな暗鬼とはいかなる者か。夜空に展開する死闘の行方や如何に。
次回『仮面ノ下』 お楽しみに