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好きと言えるその日まで  作者: 桜倉ちひろ
ズルい思考と欲と
15/19

おまけ

 

 『弁当、また作れよ』


 おやすみなさい、と送った後に、いつもにはない言葉が付け足されていて、私は目を見開いた。何度か見直して、目をこすりなおしたけれどやっぱり同じことが書いてある。

 嬉しくてニヤニヤしながら『ハイ』って送ったら、先輩の笑う顔が浮かんできて……ちょっと調子に乗って、続けてメールを送った。

 『先輩、私って先輩にとっての何ですか?』

 怖くて怖くて、でも聞きたくて聞けなくて。それでも一日中気になっていたこと。

 今日の私は、ちょっと先輩に近づけた気がして。だから思い切って聞いてみたくなって、震えながらそのメールを送信した。

 5……10……20秒……そんなに早く返事が来るわけないと思いながらも、返ってくるまで緊張が止まらない。しばらく手の中に携帯を握りしめたままベッドに転がっていると、ブルルルルッと震えた。

 液晶画面には、メールの受信を知らせる通知が見える。恐々メール画面を開くと、予想通りに相手は尚人先輩。壊れそうな心臓の速さに耐えながら、私はゆっくりと文面を滑らせた。

 『ただの後輩











 よりは、ちょっと上』

 何、この空白。そうツッコみたい気持ちと同時に、先輩の優しさに顔が綻んだ。

 「ちょっと、上……ただの、後輩じゃ、ない?」

 嬉しくて顔が気持ち悪い気がするけど、そんな自分の顔なんて怖くて見られない。だけど誰が見てるわけでもないのに、両手で頬を挟んでわざと自分の顔を潰した。

 「ふふっ……えへへっ」

 先輩にとって、突然現れた私という後輩は、厄介以外の何モノでもないかもしれない。それでもやっぱり私は、先輩を追いかけたくてたまらなくなる。

 『じゃあ、もっともっと上になれるように頑張ります』

 そう最後に送って、私はぱたりと携帯を閉じた。

 先輩からの返事はないけれど――多分、先輩はバカって言いながら苦笑いしてるはず。月曜日も会えないかな……そう祈りながら、私は眠りに落ちた。



 (end)


 先輩が優しいと思っている友香は、多分幸せです(笑)

 

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