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デリート  作者: 和貴
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第6話 死

  

 アーヴィンは自動小銃を取り出した。弾倉(カートリッジ)を一旦引き出し、銃弾が正確に装填されているのを確認すると、複雑な表情のままそれをニアの目の前に突き出した。

「ニアだったな? これを渡しておく」

 ニアの表情が強張った。

「これ……って、本物?」

 問い掛けるニアの視線に答える様に黙って頷くと、彼はもう片方の手で彼女の頭に厳つい暗視ゴーグルを被せようとした。サイズ調節が出来ていないゴーグルは、ニアの頭をするりと通り過ぎて、細い首に落ち着く。

 それまで銃に気を取られていたニアは、ゴーグルの重みを感じて我に返って後退った。

 小型の拳銃ではあったが、ニアの手にはおよそ似つかわしくないものだ。初めて間近で見る銃に、ニアは手にするのを拒んでなかなか手を出さない。

「ほら」

 アーヴィンはニアの手を取ると、無理矢理拳銃を握らせた。背後に廻って一通り基本的な撃ち方を教えてやる。

「や、やだ。止めてよォ」

 見た目よりも違う実際の銃の重さに驚きながら、ニアはアーヴィンの強引さに抗った。

「護身用だ。ここから先は自分の事だけを考えろ。場合によっては逃げる事も必要だ」

「あ、あの……今、逃げ出したいんだけど……ダメかな?」

 終わりの方は小声だった。アーヴィンの気迫に押されてしまい、つい本音が出る。心なしか体が微妙に震えていた。

 既にニアは撃たれているし、今思えば死んでいてもおかしくは無い状態だった。怖くないと言えば、嘘になる。

「俺の船は別用でもう使用出来ない。今頃は『スター・ミューズ』から離脱している。逃げるのなら、この船の脱出用ポッドを使うと良い。無事に脱出出来ればの話だが……けど、兄か弟だか知らないがもう一人、まだこの船に居るんだったよな?」

「……そんなぁ」

 情けない声で不満を漏らすニアを無視して、彼は腕時計に眼を遣った。

「今、船の各所にセキュリティを散開させている。こっちは時間が無い。悪いが先に行く」

「でっ、でもぉ……」

 恐怖と不安でなかなか決心がつかない。

 アーヴィンは黙ってカメラ機材一式のバッグを肩に掛け直すと、ニアに背を向けた。


 薄暗がりの中、彼の姿が掻き消されてから間を措かずに銃声が響く。

 ニアははっとした。

 先程までの銃に対する恐怖と不安は、たちまち独りになった不安へと転嫁される。

「ま……待ってよう」

 心細くなったニアは渡された銃をベルトの間に挟み込むと、慌てて彼を追いかけた。

 途中、先程アーヴィンに撃たれたのだろう。頭部が消し飛んだセキュリティ・サイバノイドが数体、赤い疑似体液を撒き散らせて転がっていた。

「うぇっ」

 人体に限りなく近いダミーとは言え、余りにもリアル過ぎて吐き気がする。

(何よ、アイツ……カメラマンじゃなかったの?)

 セキュリティを一発で仕留めたアーヴィンの腕は、とても一介のカメラマンとは思えなかった。かなり銃の扱いに慣れているようだ。

「わ?」

 余所見をしながら薄暗がりを走っていて、不意に大きな障害物に足を攫われた。

 転びそうになったが、ニアは器用に体を捻って、猫の様に身体をしならせて足からすとんと着地する。

「ヲイ、ヒャンホマヘミヘハヒへヲナ(おい、ちゃんと前見て走れよな)」

「はあぁ?」

 間の抜けた台詞に拍子抜けして、ニアの緊張が緩む。

 見ると、アーヴィンが通路の真ん中に座り込んでいた。ペン型ライトを口に咥え、二五〇cc程度のタイヤの無いバイクの内部を弄っている。ライトを口に咥えているので、まともに喋れなかったのだ。

「半重力バイクに乗ったコト……」

 アーヴィンは作業を終えて両手を叩きながら立ち上がると、ちらりとニアを窺った。彼女は不安そうに、意味の無い作り笑いを無理に浮かべている。

「無いか。やっぱり……当然だよな」肩を落として、溜息を吐く。「前に乗れ」

「えー? 後ろじゃないの?」ニアは、ドラマとかでよく見る光景を思い浮かべていた。「普通、彼女が後ろよね」

 不満そうに言う。

「良いのか? それで。振り落とされたいのなら、別に構わないが安全の保障は出来ないぞ」

『誰が彼女だぁ〜?』とか言って突っ込んで来るかなと思っていたニアは、当てが外れた。アーヴィンは至って無表情に答えたのだ。

「う、ううん。嫌だ」

 慌てて首を横に振る。本気で振り落とされては適わない。

(トホホ……拳銃の次はバイクだってぇ? 校則どころか、法律違反だよう)

 ニアは涙眼になった。

(しかも、スター・ミューズに戻ってから、アーヴィンが怖いよう)

 とてつもなく心細い。拳銃を手にした頃から、彼が今までの彼では無くなっていた。表情が硬く、目付きも鋭くなっている。元々無愛想だったが、もはやとても冗談の言える様な雰囲気では無い。


 俄かに後方で人のざわめく気配がする。

 アーヴィンは素早く暗視ゴーグルを装着する。

「早く乗れ! ハンドルは常に真っ直ぐに保っていろ。何があっても絶対に放すな」

「う……うん」

 操作ハンドルよりやや中央部を握った。彼から『絶対に放すな』と言われても、ちょっと自信が無い。

「いいっ?」

 不安になり戸惑っていたニアが、突然変な声を上げた。

 見れば、アーヴィンの手がニアのウエストの辺りを触っているのだ。

「きっ、きゃあああ! 何すんのよっ!」

 ニアの悲鳴と右肘がアーヴィンを狙った。が、簡単にかわされる。これがマックなら完璧に顔面にヒットしている筈だ。

 彼は何事も無かった様に、平然としたままニアの着ているシャツの裾を、パンツの中に押し込んだ。

「って……え?」

「裾を出しっぱなしにしてると、豪いコトになる。しっかし……細いなお前は。内臓が本当に入っているのか?」

「???」

「そのままだと、風圧でシャツが胸の辺りまで上がって行くんだ。それとも、見せたいのか? ンなモノ、頼まれてもコッチだって見たくないぞ」 

「んんん」

 ニアは激しく首を横に振る。素が華奢でスリムなニアの体型は男の子と殆ど区別が付かないが、それでも会って間が無いアーヴィンには、恥じらう気持ちくらいは持ち合わせているようだ。

 ニアは一旦ハンドルから手を放すと、彼が入れたシャツをもう一度急いで入れ直す。

「良いか?」

「うん!」

 アーヴィンは手元のスイッチを入れた。バイクはふわりと十センチ程宙に浮く。

 右足でアクセルを踏み込むと、バイクは車体を震わせ急発進した。

 ニアの悲鳴の尾を引いて、バイクは見る々加速して行く。

 耳元で風を切る音が高くなった。ニアは必死にハンドルを握ってはいるが、風圧で首が仰け反り、目の端から涙が止まらない。

 前方で火花が散った。

 アーヴィンは右手でハンドルを握り、左手で器用にショットガンを操って応戦する。

 激しい銃激戦が続いた。

 銃声と物が炸裂する音と火花に、ニアは視覚と聴覚。そして感情までが麻痺し始めていた。


 何度目かの銃撃戦の最中、すぐ後ろでガラスの割れる鋭い音がした。アーヴィンが短く叫んだきり、動く気配がしなくなる。

 驚いたニアの肩が、大きく跳ね上がる。

「……アーヴィン?」

「前を見ていろ!」

 気になって振り向こうとしたが、頭の上から怒声が降った。ニアの肩がもう一度びくりと跳ね上がる。

「こっ、怖いよ~」

 彼に叱られて首を引っ込めたニアだったが、それでも気になってバイクのサイドミラーをそっと覗き、彼の様子を盗み見る。

(アーヴィン!)

 ニアの瞳が大きく見開く。

 アーヴィンが掛けていた筈のゴーグルが無い。しかも彼は右手で片目を覆ったまま動かない。覆った右の掌からは鮮血が溢れ出し、肘を伝って流れ落ちる。

 急にバイクのスピードが落ちた。アクセルを踏んでいた彼の足が自然と緩んでいるのだ。

 前方がまた鋭く光った。幾つものエネルギー弾が、光の筋となって二人に集中すると、そのうちの一つがニアが覗き込んでいたサイドミラーに着弾し、ミラーごと木っ端微塵に四散した。バイクの車体へも何発か当たり、ハンドルが大きく取られる。

(このままだと、二人共ダメだよ……どうしよう)

「くっ!」

 ニアは半ば自棄になって、アクセルを踏んでいるアーヴィンの足の上から裸足で思いっ切り踏んだ。そして、今まで彼が操作していた様に、両膝の内側に力を入れて、足に体重を掛ける。が、思う様にバイクは傾いてくれない。

 ニアは前のめりに立ち上がり、腰をシートから浮かせて体全体を遣ってバイクを傾けた。

 バイクは急激に加速しながらチューブ型の通路の壁面を、螺旋を描く様に駆け上がり、天井部を通る。パネル型のライトや指示標識、監視カメラ等をお構い無しに蹴散らした。

 攻撃して来るポイントがみるみる近付く。

 両膝でバイク本体を挟むようにしてバランスを保ちながら、ニアはハンドルから手を離した。渡された拳銃を言われた通りに両手で構える。

 薄暗くてよく判らないが、ゴーグルをしている余裕など無い。

 相手は人だ……そう思った途端、怖くなって手が固まり、引金が引けなくなった。

「……駄目! 出来ない!」

 今ここで彼等を倒さなければ、自分達が危なくなる。頭では理解していても、ニアはまともに目標を見据える勇気さえ出て来ない。

「座れッ!」

 アーヴィンは右目を庇っていた手でニアの肩を押さえ付けた。そして、間髪を入れず、腰に挿していた自動小銃で応戦する。

 ニアは固まったまま、すとんと素直に座った。

 正面からの銃撃が一時止むが、後方からの追撃との距離が縮まった。

 短く舌打ちしたアーヴィンは、手榴弾を取り出しピンを口で引き抜いて転がした。

 手榴弾はタイミング良く爆発する。

「前に人が! 人が居るよ!」

 ニアが悲鳴のように叫ぶ。

 数人の警備員それぞれが、銃を撃ちながら通路に出て来ている。装備が底を尽いて来ているのを読まれていた。

「構うな。真っ直ぐに行け」

「ええーっ?」ニアは耳を疑った。「そんな事したら、あの人達を轢いちゃう!」

「いいから行け!」

 アーヴィンは応戦しながら叫んだ。しきりに時間を気にしている。

「よくない!」

 バイクは相手の顔が判るくらいにまで近付いていた。人間か、サイバノイドかと言った区別は殆どこの状態では判らない。だが、アーヴィンの言った通りにすれば、それは彼等を轢殺し兼ねない事だ。

「そんなの、いやっ! ニアは、人殺しなんかになりたくない!」

 ニアはハンドルを切ろうとした。が、その右肩を血の付いた手で強く掴まれた。白いTシャツが彼の血で赤く滲む。

 彼の血を見たニアの表情が強張り、凍り付く。

「奴等の換わりに自分が死ぬぞ!」

「そんなっ、でもっ……でもぉ!」恐ろしくなって全身が震え、硬直する。「いやぁ! みんな避けてぇえ!」

 ニアの叫びが悲鳴になる。

 警備員達は、真っ直ぐに突っ込んで来るバイクに怯んだ。蜘蛛の子を散らす様に逃げ出したが、何人かが巻き込まれて宙を舞った。

 スピードが出ている為、僅かに掠っただけでもかなりの衝撃だ。

「!」

 微量の血飛沫がニアの白いTシャツに散った。

「これは……本物の、血なの?」

 一瞬、息を呑んで放心状態になる。

「違う!」

 次々と執拗に追って来る相手に辟易しながら、アーヴィンは敢えて強く否定した。

 一番手っ取り早い方法だ。事実、この忙しいのに、これ以上ニアのお守りは願い下げだった。元より、彼には命の重さについて論じる心算も無い。

 ニアのハンドルを握る手がまだ震えている。

「人を……人を轢いちゃった。ニアが……」

 バイクの車体を通して感じた鈍い感覚が、今も手に生々しく残っている。

 ぞっとした。アーヴィンは人では無いと言い切ったが、果してそれが本当なのかどうかニアには判断出来なかった。あの状況下で相手を殺すかも知れないと判っていて躊躇しなかった彼に対して、恐怖は勿論だがそれ以上に怒りすら覚える。尤も、殺意を持って接してくる相手に対して自己防衛するのは当然の事だ。彼の言っている事は正論ではあるし理屈では判るのだが、どうしても感情が伴わない。


 アーヴィンは軽く舌打ちをすると、銃を収めてハンドルを握った。自然、彼の体がニアの上へ覆い被さる形になる。アクセルから足を離し、左足元にあるブレーキを掛けた。

 強力な制動が掛かり、バイクが悲鳴を上げて軋む。

 体が前方へのめり込みそうになるのを抑えて必死でバランスを取った。ニアは投げ出されそうになったが、彼の両腕でしっかりとガードされている。

 ニアは固く眼を閉じて頭を伏せた。

 アーヴィンは、バイクの前方を軽く左へ向けた。車体は前方にロックが掛かってドリフト状態になり、右側面を進路方向へ向けて停止する。

 ニアは恐々頭を上げた。

 目の前数メートル先に、それまでは無かった壁が出現してた。隔壁が降りて来たのだ。

 彼等のバイクが停まる寸前に、後方から追掛けて来た二台のバイクが、彼等をもの凄いスピードで追い越し、二機とも隔壁に激突して大破し、炎上する。

 進路を塞がれた以上、閉じられた隔壁を解除するより他に術がない。

「此処までだ」

 肩で荒い息をしながら、アーヴィンはバイクから降りた。ニアも彼に促されて続く。

 不用意にニアはアーヴィンと目が合い、悲鳴を上げた。

 右の眉辺りから斜め方向にざっくりと切れている。眼球が無事かどうかは確認出来ないくらいだ。尤も、彼の右目は義眼だと聞いてはいたが……。

 ニアは慌てて顔を背けた。

「痛ぅ……さっきからキャーキャーと……っせえな。恐怖映画(ホラー)でも見た様な顔するなよ。こっちはなりたくてこうなったんじゃないんだ」

 右手で傷口を覆い、顰めっ面をしながらそれでも彼は軽口を叩く余裕さえ窺える。

「痛く……ない?」

「ばーか。痛てーに決まってンだろ? お前がそんな痛そうな顔してどうすんだよ?」

 一瞬だったが、アーヴィンが生意気そうに笑った様な気がした。が、顔の右半分が血で染まっているので、それも定かではない。

 この人は、本当にカメラマンなのだろうか? 彼には「怖い」とか、「嫌だ」と言う感情が欠如しているのでは無いのか? 死にそうな目に遭っているのに、何故精神的に余裕が持てるのだろう?

 ニアは理解出来なくて背筋が寒くなった。そして自分の腕を抱くようにして腕を擦る。

(何でニアはこんな目に遭っちゃっているの? この人だって……これは映画やTVだけの世界じゃなかったの? 銃で撃ち合って人やサイバノイドを殺して、自分だって怪我して……もしかしたら、此処で二人共死んじゃうのかも。なのに……普通じゃないよ)

 膝がガクガクと戦慄いて鳥肌が立った。

 もしかしたら、この人は見掛けが人間だけれども人間ではないのかも知れない。能力者と呼ばれて異端視されているエレメンタルなのかも……とも思った。

 ニアは怯えた目でアーヴィンを見上げる。実際にエレメンタルに遭遇した記憶は無いし、エレメンタルがどんな形状体なのか、それすらも知らない。

 偶然彼と視線が合い、ニアは思わずビク付いた。

「おい」

 アーヴィンは態と乱暴にニアを呼んだ。ニアが自分をどう思っているかは知らないが、少なくとも我を失ってソワソワしているのは判っている。

「少しの間なら、フィールド・バリアが発生する。これで囮になれ」

 自分のゴツイ腕時計を外して緑のスイッチを指した。

「えっ? 今、何て言ったの?」

「っちいち煩いな。船内での使用可能な銃は限定される。奴等の使用している口径なら大丈夫だ。少しの間だけでいい。バイクの盾になれ」

 アーヴィンは鬱陶しそうに言った。先程とは打って変わって今の彼には余裕など微塵も見られない。

「こ、口径? フィールド・バリア?」聞き慣れない言葉にニアの顔が引き攣る。やっぱり彼がさっき笑った気がしたのは、本当に気のせいだったのだと思う。「俺の盾になれ。って言わないの?」

(どうせ、あたしの事なんか知った事ちゃ無いんでしょ?)

「あぁ? 俺がンな事言うかよっ!」

 ニアの言葉が癪に障ったのか、途端にアーヴィンは輪をかけて不機嫌になった。尤も身長百五十足らずの小柄なニアが、細身とはいえ百九十もある彼の盾にどうすればなれるのか疑問だ。

「オトリ……囮だなんて。しかもバイクの……」

 追詰めたと確証を持ったのか、警備員達は正確に撃って来る。その度に、二人は体を竦めて身構えた。どうやら連中は即、射殺する心算では無いようだ。足元スレスレや、身体のすぐ傍を狙って何発ものエネルギー弾が擦過し、二人は軽い火傷を負う。

 「早くしろっ!」

 動かないニアに業を煮やしたアーヴィンが、苛々しながら一喝する。

 ニアは彼の剣幕に気圧されて、素直に指示に従った。バイクの前に仁王立ちになり、教えられたスイッチを入れると、不快なノイズと共に腕時計から半球型の傘の様なシールド・バリアが発生して、ニアの身体の前半分をすっぽりと覆った。

 立塞がったニアを狙って銃が乱射されるが、シールドに守られている為エネルギー弾は尽く撥ね返される。しかし、受けた時の衝撃は吸収されたり中和されたりはしないようだ。腕から全身に伝わる衝撃は、彼女へのダメージとなる。受け止めるだけで必死だった。

 弾かれたエネルギー弾が兆弾となって、眩しい火花を散らしながら後方へと流されて行く。ニアは顔を背けて萎縮した。

「うーっ、持たないよー」

 いつまでもは持たない。ニアは足元をふらつかせて、泣きべそを掻いた。

「あと少し」

 アーヴィンは素早く粘着テープを引き伸ばすと、慎重に幾つもの手榴弾らしき爆発物をバイクの車体に貼り付けた。そして、もう一度乗ってしっかりと左足でブレーキを踏み込んだ。そして今度は右足側にあるアクセル部分を、上からテープで貼り付けて、しっかりと固定する。

 固定されたアクセルのせいで、エンジンの回転数が高くなった。バイクは制御不能寸前になり、車体が震え出す。

 アーヴィンは、アクセル部のテープがしっかり固定して貼り付いているかをもう一度確認すると、飛び降りざまに爆発物の安全装置を引き抜いた。

 バイクはもと来た方へと勢い良く飛び出し、ニアを狙っていた彼等に向かって行く。

 間髪を容れず、拳銃で一番手前の隔壁スイッチを狙って撃った。一発目は外れたが、勘を取り戻して二発目に当てる。

 隔壁が降りて来るのと、バイクが爆発するのとがほぼ同時だった。

 ニアは、隔壁が完全に閉まる刹那、警備員の何人かが爆発に巻き込まれ、彼等の姿が吹飛ばされる瞬間を目撃し、思わず顔を背ける。

 アーヴィンは、その光景には目もくれず、正面の既に閉まっている隔壁のロック解除に取り掛かっていた。


  *  *


 エルフィンが目を覚ました。殴られた所が裂けたらしく、首筋の辺りまで流血していた。

 尤も、裂けずに頭部に血の塊が出来る方が命取りになる。彼女は痛みに顔を顰めながら、そっと自分の頭を触った。干乾び掛けて硬くなり、違和感を覚える感触が指先に伝わる。どうやら出血は既に止まっているみたいだ。そして、ゆっくりと目を開けて辺りの様子を伺った。

 近くに警備員はいない。いるのは数メートル先の濁った水槽に向かって、何やら作業をしている白衣の医師達だけだ。

 マックはどうなったのだろうか? 実験の妨げになるのか、室内の照明は最低限に絞られていて、彼の姿が見当たらない。

 エルフィンは眼を細め、息を殺して辺りを窺うが、やはりマックの姿は何処にも無い。

 急に胸騒ぎがして、エルフィンはスタッフの動きが妙に気になり始めた。彼等に気付かれない様に、静かに起上ると、物陰に身を潜める。

 靴底(ヒール)に仕組んでおいた小刀を取り出し、腕輪(バングル)から細いワイヤを静かに引き出す。

 エルフィンは室内の照明スイッチ目掛けて小刀を投げた。

 一瞬のうちに、電力が落ちて真っ暗になり、白衣を着たスタッフが慌てる。

 間も無くして、室内は予備電源に切り替えられて再び明かりが灯った。

「これ……は……」

 スタッフの責任者らしき男が辺りの異変に気付き、後退りする。

 不意を喰らった医師達が、右往左往しているほんの僅かな間に、エルフィンは四人を黙らせていた。誰一人悲鳴も上げずに事切れている。

「だ、誰だ! 警備……」

「動かないで!」

 凛とした声が響いた。エルフィンは素早く男の背後に廻り込んでいた。彼の首には、四人の医師の血を吸った細いワイヤが巻き付けられている。

「きっ、貴様、こんな事をしても……」

「お黙り。貴方もああなりたく無かったらおとなしくするのね。男の子は……彼は何処?」

 エルフィンには一分の隙も無い。明らかに手慣れている。男は、エルフィンの外見を侮り、一杯喰わされてしまったのだと後悔した。

 彼女はマックの手掛りを捜そうと、必死に視線を左右に泳がせる。

 彼女の視線が止まった先には、マックが着ていたシャツが落ちていた。

 エルフィンの反応に気付いた男は鼻で笑った。

「私を殺せば奴も戻っては来ないぞ。まあ、無事に戻って来られるとは限らないがな?」

「どういう事?」

 エルフィンは眉を顰めた。

 男は濁った水槽へと顎を杓った。

「奴はこの中だ」

 言われるままに視線を向けて水槽を見詰めた。微かに向こう側が透けて見えるが、その中には人影どころかそれらしい物も無い。

「嘘」

「嘘などではない。これから奴の身体を再構築する所だ。だが、先程の停電で何らかの悪影響が出なければ良いのだがな」

 エルフィンは、状況が把握出来ないでいる。

「停電? ……私が遣った?」

 エルフィンの指先の力が緩んだ。

 男は彼女の隙を見逃さない。素早く手を伸ばして警備員の招集スイッチに触れた。

 気が付いた時既に遅く、エルフィンは責任者の男を盾としていながら、警備員達の銃口に取り囲まれてしまった。

「手を離したまえ。私は忙しいので失礼するよ」にやりと笑って首のワイヤを解くと、男はエルフィンから離れた。「社長のお目に留まっていたので生かしておいたが……大切なスタッフを手に掛けてくれるとは。この代償はどうしたものかな?」

 半ば諦めて両手を挙げたエルフィンに、警備員の一人が壁際へ行く様にと銃を薙ぎ払った。

 エルフィンは唇を噛んだ。ゆっくりと警備員の輪から出て、壁際へ近寄る。

 彼等の引金に力が篭った。

「!」

 耳を(つんざ)く銃声に、エルフィンは眼を硬く閉じて顔を背けた。

 止んだ銃声に目を開くと、すぐ傍の壁が数箇所熱を帯びて歪み、蒸気が上がっていた。

「おいおい、ちゃんと狙えよ」

 揶揄った警備員の声がした。

「いやぁ〜、こんな美人すぐに殺すのが勿体なくって」

 引金を引いた一人がふざけて答える。

 彼等から馬鹿にされたのだと思った瞬間、彼女の頭にカッと血が昇り全身が戦慄いた。

「戴いてから、殺ってしまうか?」

 薄気味悪い下衆な笑いがエルフィンを取り囲む。

「殺るのなら、一思いに殺れば? それとも出来ないの?」

 エルフィンが噛み付いた。過度の緊張で先に気を失いそうだ。

「言ってくれるな……よおぉし。次は外さねえ」

 舌舐擦りをして、一人が銃を向けた。彼に従い、全員がエルフィンに向かって再び銃を構える。


 突然、警備員の背後で医師達が騒ぎ出した。

 警備員達は何事かと振り向き、エルフィンから注意が逸れる。

 彼女はその隙を見逃さなかった。一番手近に居た警備員の鳩尾(みぞおち)を蹴り上げ、男の体勢を崩すと、素早く自分の足を一歩前に交差させて身体を翻し、顎に強烈な廻し蹴りを一閃させた。

 男は白目を剥いて倒れる。

 すかさず彼から銃をもぎ取ると、素早く連射モードに切り替えて盲滅法に撃った。悲鳴と血飛沫が上がる。だが、彼等もミユーズ社の警備員だ。銃弾を受けていながら、応戦しようとする。

 引き金に手応えが無くなって弾切れになった。

「もう、ダメ!」

 エルフィンの悲鳴が銃声と被った。

 彼女は銃を投げ出し、両手で耳を塞いだまま顔を背けて座り込む。

 彼女を仕留めようと躍起になっていた警備員達の後方で、別の新たな動きがあった。水槽の水面を大きく膨らませて人工重力を無視して出て来たソレは、彼等の銃弾を阻止するように素早くエルフィンの前に廻り込むと、水状のカーテンとなって立ち塞がった。銃弾はその水の壁に尽く喰い止められ、金属特有の乾いた音を立てて不自然に彼女の足元に転がる。

 そしてソレは、なおも銃撃して来る警備員達に襲い掛かった。今度は形状を変え、大波となって押し寄せる。

「はっ、所詮水だろう?」

 軽口を叩いた一人の上半身がソレに触れた。彼の体は、鋭利な刃物で切られたようにスッパリと両断されていた。ワンテンポ遅れて多量の血飛沫が勢い良く噴出する。

 あっという間に警備員達は沈黙した。

 何が起こったのか判らなかったエルフィンは、肩で息をしながら訝しみ、恐る々顔を上げた。

 目の前に痩せこけた裸の子供の背中が見える。背骨と肋骨が青白い肌から痛々しく浮き出し、乱れがちな呼吸をする度に大きく上下している。両手を広げて立って居るには居るのだが、それでもう限界という感じだ。

「ばっ、馬鹿な! 早過ぎる!」

 水槽の陰に身を潜めて難を逃れていた責任者の男が、目を見張って口走る。

「マック……なの?」

「や、エルフィ……間に合ったみた……うぐっ!」

 言い掛けたマックは強烈な吐き気に襲われ、両手で口元を押さえた。苦しさに体が大きく折れ曲がり、辺りの床に鮮血が散った。両膝を突いて崩れ掛かる。耳障りな呼吸音が大きく聞こえ、苦しそうに喘いでいる。

「折角、あと少しで回復させて遣れたと言うのに。愚か者が……お前は力を行使することで、不調になる因果関係がまだ解らんのか?」

 騒ぎを聞きつけた社長が、何人もの警備員を従えてドアの外に立っていた。そしてフロア内に倒れている警備員や医療スタッフの遺体を見廻した。

 社長は至って平静であった。まるで、こうなる事を予測していたかのようだ。

「お前には、元々特殊な能力が備わっていたのだよ。双子の娘との、精神共鳴などという生易しいものではない力が。医局長の山崎に処分せずに預けたのもその為だ」

 エルフィンは、自分の腕でマックをしっかりと抱き留めた。そして、多量の吐血で顔面蒼白になっている彼を気遣い視線を落とす。

 マックの表情を窺ったエルフィンが息を呑んだ。

 顔色とは対照的に、社長を見据えている彼の眼には、獣の様な一種狂気に似た光を放っていたからだ。


  *  *


 僕は、あの液体の中で、何人もの僕やニアと出会っていた。それは怨念と言うか、残留思念の様なものだと思う。

《戻ッテ来イ! オ前モコノ中ニ来ルンダ》

《還ッテ来イ!》

《此処ガ、オ前ノ戻ルベキ処ダ》

 何処からか、何人もの僕の声が聞こえた。その声は生きている者の総てを妬み、憎んでいる様に思えた。

『誰?』

《僕ハ僕ダヨ》

 クスクスと何人もの僕と同じ声が笑う。

『……嘘だ!』

 此処には僕だけしか居ないのに。そう思った瞬間、腐敗した何本もの手が現れて、僕の身体や手足を捕まえ、深い闇に引き摺り込もうとする。在る筈の無いイメージが、恐怖に捕らえられている僕には現実であるかのような錯覚を起こす。

『君達は……?』

 過剰の遺伝子操作や、何らかのミスによって植物状態になった彼等は、そのまま何年もかけて体を培養されていた。自分の為ではなく、一人の男の為に。でも、まともに育つことは叶わない。彼等は本来あった姿を失い、エレメンタルと呼ばれている「ヒトではないモノ」に変貌して行く。それでも猶、亡骸になっても別の目的で新しい実験体となって……

《タスケテ……》

《コンナニナッテマデ生キタクハ無イ》

《何故オ前ハ生キテイル?》

《タスケテ……》

『嫌だ!』

 彼等の叫びが頭の中で何度も響いた。僕は耳を塞いで硬く眼を閉じ、何度も何度も頭を振った。それでも声が聞こえて来る。

『何故こんな実験を? ……こんな事って……』

(許セ……ナイ……)


 全身が軽く麻痺した。

 僕を抱き留めるエルフィンの力が強くなる。

「ううう……」

 荒い息をして唸りながら、僕はエルフィンの腕を振り解こうともがいた。

『気』が昂った。駄目だ。この感覚には覚えがある。

 僕は自分を抑えようとして頭を抱えた。

 幻覚が見える。夢の中で見た何人ものエレメンタル達が、いつの間にか僕を取り囲んでいる。そして、彼等の顔が恐怖に歪む。

《化物ハオ前ダ!》

 口々にそう言って、僕を指差す。

(違う! 違う! チガウ!)

「チガウ!」

 僕はエルフィンの腕から逃れようと暴れだした。

「どうしたの? マック?」

 驚いたエルフィンが、髪を振り乱して僕をきつく抱締める。けれど、僕は彼女の想像していた以上の力で大声で喚きながら必死にもがいた。まるで錯乱状態だ。


 社長の目が細くなった。手には拳銃が握られている。

「気でも触れて言葉を忘れたか? どうした、私が憎いのではないのか」

「きゃっ!」

 エルフィンが僕に突き飛ばされた。力で振り解かれた訳じゃない。『気』によって撥ね飛ばされたんだ。

 実験プラントを制御していたコントロールパネルが、僕の『気』に反応してショートした。あちこちで火花が激しく飛散する。傍にいた医療スタッフが、慌てて避難した。

 彼等が避難するのを待ち受けて居たかのように強度の弱い水槽から、片っ端に亀裂が入って壊れて行く。

「何? どうしたの?」

 頭を抱えたまま蹲って動かなくなった僕と、次々に壊れて行く水槽を交互に見て、エルフィンは動揺を隠せない。

 僕が顔を上げて社長を見詰めた途端、社長の指が動いた。

「!」

 僕の体が一瞬、感電したように仰け反る。

「マック!」

 崩れ掛かった僕の体を支えようとしたエルフィンの顔に僕の血が散り、彼女が悲鳴を上げる。


 僕は最期の力で目の前にいるサイバノイドの社長の『気』をトレースした。

 幾らサイバノイドだって、I・Dをダビングしなければこの短時間で此処に遣って来られる筈は無い。この船の何処かに、I・Dの持ち(オリジナル)が居るんだ。

(……居る。この船の中に、彼のオリジナルが)

(ヤバイ、ヤメロ。ヤツニ喰ワレル)

 気のせいかも知れないけれど、頭の何処かでもう一人の僕の声が聞こえた。深追いするのがとても危険だという事くらい、何となく解る。でも構うもんか。僕にはもう与えられた時間は残っていないんだ。

 社長はしまったという表情で僕を見た。僕が何か危害を加えるかも知れないと、咄嗟に危険を感じたからだろう。

「社長、本社から……」

 彼の背後から、秘書らしき女性が小声で耳元へ囁いた。報告を聞くと、再び忌々しそうに僕達を見下ろす。

「私はそいつを評価していた心算だった。が、言いなりにならぬと言うのなら止むを得ん。能力は惜しいが、利用価値が無い。諦めよう。そいつの意識があるうちに別れを惜しんでおくのだな」

 そう言い棄てると、フロアを見廻して声を張り上げた。

「生き残った者は、各自退出だ。フロアR‐3Cは、準備が整い次第廃棄する」


 室内は僕とエルフィンの二人っきり。そして、既に廃棄されるこのフロアは、総ての電源が落されて真っ暗だった。

「エル……フィン……」

 僕は倒れ伏したまま力無く彼女の名を呼んだ。暗闇の中、手探りで彼女の気配を辿って見る。もう、僕には体を起こす余裕さえ残っていなかった。

 床が一面に濡れて生暖かかった。それが僕自身の血で出来ている事ぐらい判っている。

「……寒い」

 体温の低下と一緒に、血圧もどんどん下がって行くのが自分でも解る。撃たれた痛みや手足の感覚はもうとっくに感じられなくなっていた。

「マック、マック?」

 エルフィンも、僕の気配を捜している。

 お互いの指先が触れ、エルフィンは僕の腕を手繰り寄せる。

 エルフィンが手探りで僕を抱き起こし、ヘアピンに内蔵されていた小型灯を点けた。真っ暗だった辺りがほんのりと色を取り戻す。

 僕の血を浴びた彼女の顔が目の前にある。それでも彼女は綺麗だと思った。

「良かっ……無事、だった……ね」

「黙って。貴方撃たれて……」

 エルフィンが言葉を呑んだ。そして僕から視線を外す。

「う……」

 彼女の微かな啜り泣きが耳に届いた。

「泣、いて……いる、の?」

「ち、違うわ。な、何言ってるのよ。そんなのじゃ……うっ……」

 気遣って必死に涙を堪えている彼女の姿に、僕は呑気に心を奪われてしまった。僕はもうすぐ死んでしまうし、此処は間も無く船から切り離される。一刻でも早く彼女を此処から脱出させないと……彼女を僕と一緒に死なせる訳にはいかない。

 生きていて欲しい。

 そう思った時、それまで重く苦しかった身体が嘘の様にすうっと楽になった。

「今度こそ……ダメ……かな? でも中々、死ねない……ものだね」軽口を叩いてみたけれど、それが空元気だって事くらいお互いに解っている。「ちぇ……ちっとも、カッコ……つか、ない……や」

 少しでも彼女を安心させようと作り笑いをしてみるけど、顔の筋肉が全く言う事を聞いてくれない。

「何言ってるの。此処から出て行くの。一緒に……行くのよ」

 エルフィンは、僕の血で染まった震える両手で、僕の手をしっかりと握った。異様に冷たくなった僕の手に、驚きを隠せないでいる。

「早……く、此処から、逃げて……ニア、生きてた。生きて……るよ。解るんだ……双子、だ……から。エルフィ、ニア……お願……」

 僕は彼女に出逢えて嬉しかった。そして同じくらいに悔しかった。

 こんな……こんな処でエルフィンを残したまま別れるだなんて……それに……脳裏に今までのクラスメイトや葵さん。ニア……そしてエルフィンの顔が次々と浮かんだ。

(……もっと皆の優しさに触れていたかったよ)

 急速に視界が狭くなる。

 不意にエルフィンの手から、僕の手が滑り落ちた。


  *  *


「?」

 アーヴィンの後姿を追い駆けながら、ニアは何かを感じて振り返り、足を止めた。

 ニアの様子にアーヴィンは気付いて振り返る。

 彼の右目はバンダナで覆われていた。ニアの強い要望だったからだ。

 アーヴィンは立ち止まって時計を見た。頻繁に見る回数が多くなったのは、潜入してからの時間が予定よりも長くなってしまったからだ。そして、通信機機能も付いているらしい腕時計に、首を傾げて耳を寄せている。

「どうした? ニア?」

「う……ん」上の空の生返事。「何だろう? 胸がドキドキする……」

 それが悪い予感なのだから、猶のこと気に掛かった。


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