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優しいおばあちゃんの徘徊

 夜、自宅に戻っていた少女とゾンビ老婆は食卓についていた。

「今日はママが遅いから、先に食べちゃおうね」

「brrrruooooooo」

 ゾンビ老婆はうなりながらテーブルに両手を突くと、少女は鍋から何かの塊をすくって皿に乗せた。

「はいおばあちゃんはこれね」

 何かの塊が乗った皿が目の前に置かれると、ゾンビ老婆は何も言わずにそれにむしゃぶりついた。ずるずるぐちゃぐちゃ音をたてながらあっという間にたいらげてしまう。

「gyoooooooo」

 ゾンビ老婆は頭を皿に小刻みに打ちつける。

「おばあちゃん、食べすぎは駄目だよ」

 少女は素早く皿を取り上げてしまった。ゾンビ老婆はそれでもテーブルに頭を打ちつけるのをやめない。

「めっ! おばあちゃん」

 少女は精一杯怖い顔をしてみせた。ゾンビ老婆はなんとなくがっかりしたような雰囲気になったが、次の瞬間には勢いよく体を起こした。

「Juyubooooooaaaaa!」

 そしてゾンビ老婆は走り出し、窓を突き破って外に飛び出していった。

「おばあちゃん!」

 少女はとりあえず玄関から靴を取ってきてその後を追った。

「poryoooooooooooo!」

 ゾンビ老婆は叫びながら走り、犬を散歩させている中年の男に飛びかかった。

「うわ、な、なんだ!」

 男はゾンビ老婆に気づいて叫び、犬はおびえて後ろに下がる。もちろんそんなことは何の意味もなく、ゾンビ老婆の手が中年の男の首を捉える。

「Vryuuroooo!」

 ゾンビ老婆は中年の男の首を握る手に力を込めた。その首は嫌な音をたて始め、無理矢理右回りに回転させられていく。

「う! ぎゃやめ! ぎぎぎぎぎぎ!」

 断末魔の叫びと共に、中年の男の首が鈍い音を出して回転した。一瞬でその顔は真っ青になり、膝からその場に崩れ落ちる。

 ゾンビ老婆はさらに首を回し始めたが、犬はキャンキャン言いながらその場から逃げていった。後に残ったのは、首がねじ切られる音と、血と肉をすする音だった。

 それから数分後、少女は中年の男だった残骸を発見していた。

「おばあちゃんったら、拾い食いは駄目だって言ったのに」

 少女は大人びた雰囲気でため息をつき、その場を後にした。

 そしてゾンビ老婆は夜の町を徘徊していた。夜なので人通りが少ないのが幸いして、今のところ犠牲者はさっきの中年の男一人だけだった。

「ooooooooooooooooo」

 ゾンビ老婆は叫び、全力疾走を始めた。そして、公園に到着すると手近な木に突進する。頭から激突したが、さすがに木を倒すほどの力はない。

「kyugyoooouuoooo」

 ゾンビ老婆が雄叫びを上げると、それに驚いたアベックやらなんやらが顔を上げ、ゾンビ老婆の姿を見て勢いよく逃げ出していく。

 ゾンビ老婆はそれらを追うことをせず、ただ周囲を見回している。

「おばあちゃん!」

 そこに少女が走ってきた。

「musyuryuuuuuu」

 ゾンビ老婆はおとなしくなり、その場で立ち尽くした。少女はそんなゾンビ老婆の手をとる。

「おばあちゃん、帰ろう。お夜食も用意してあげるからね」

「gyouwawawauioyoyo!」

 ゾンビ老婆は歓喜の雄叫びのようなものを上げて、少女に従った。

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