表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

告白@彼

  告白@彼


 俺があいつと付き合い始めて一ヶ月が経つ。

 告白の言葉には驚いたが、自分の言葉にはもっと驚いた。

 人間、うろたえるととんでもないことが言えるようになるようだ。

 いや、考えただけで寒気がするようなことを言った。間違いないだろう。


  七月十八日 雨。

 今日、告白された。嬉しい。死にそうだ。叫びながら町内一周したい気分だ。

 しかも、告白の言葉が『大嫌い』なんて。

 うおお、なんてかわいいんだ!

 ああ、死ぬ。もう死ぬ。

 返事は恥ずかしくて書けない。いや、やっぱ書いちゃえ。

『それが好きな人なら、尚更ね』


  ***


 なんだってこんなに嬉しそうなんだろう。いつも、いつも。

 勘違いしたって文句は言えないだろ。


 ほら、今も。

 まっすぐにこっちを見て、嬉々として話しかけてくる。


『ねえ、ねえ。』


 目なんか合わせられない。

 惚れてしまいそうだから。

 仕方なしに本やら何やらに目を落として、全身を耳にして。


『ねえ、聞いてる?』

 きいてるよ。

 一言だって聞き漏らしたくない。



 机に浅く腰掛けて、片手には携帯。

 アドレスが聞きたいけど、そんな度胸なんて無い。


 暗く靄がかる、早朝の教室。

 早起きなんて嫌いだ。

 それでもなんとか起きるのは、彼女と話すため。

 それを知ったら彼女はどう思うだろう?

 きっと気味悪く思うんだろうな。


『ねぇ聞いて、こないだの模試悪くてね。久々にミサに抜かされたんだ。笑って、平均六十点くらいだったんだ・・・笑えるでしょ?・・・ねぇ、聞いてる?』


 きいてるよ。

 知ってる。


 雨の日は血圧が下がっていつも貧血気味な事。

 あの日寝不足だった事。

 頭痛薬飲んでたこと。


 これじゃ変態プロファイルだ。

 でも、言いたくて。

『・・・あの日は雨だったしな。しかもあんまり寝てなかっただろ?頭痛薬も飲んでたし。ま、次、しくじるなよな。』


 と。

 彼女が不意に立ち上がった。

 飽きられたのか。

 彼女は気まぐれだから。



 その時。

 後ろから、不意に。

 全く不意に。


 柔らかい感触。

 暖かい体温。

 優しい息づかい。

 視界の端に、彼女の長い髪。


 高まる鼓動が、呼吸に連動して、早く、早く。


『あなた、大キライ。』

『ほら。なんでもないふりして。そんなの無駄だよ。』

『だって、ほら。』


 胸に置かれた手。


 高鳴る鼓動。


 理性があるのが不思議な。否。

 自我ごと崩壊したのかも、知れない。



『当たり前だろ。女の子に抱きつかれてドキドキしない奴なんていねえだろ』


 抱きついたまま、彼女が覗き込む。


『特に、それが好きな相手なら、尚更ね。』


 ・・・ついでにキスを、いただいた。



読んで頂き、誠にありがとうございました。

気に入って頂けたようでしたら@彼女もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ