なぜ大丈夫だと思ったのですか?
実家が太い婚約者を蔑ろにしたある王子の話
―――バイオレット・リベルタ公爵令嬢が婚約破棄されたらしい
件の公爵令嬢の婚約者と言えば第2王子ロベール・ブレッソン殿下。
噂では、『聖女』として神殿が担ぎ上げた元平民のアリシア・キーズ男爵令嬢に恋情を抱いていると聞いてはいた。
生まれた時から婚約者がいる王侯貴族は卒業パーティー後に正式に婚姻が結ばれるまでの学園内で気に入った相手と自由恋愛をする事は良くある事だ。
ただ、卒業までには関係を清算するもの。
王族ともあろう御方がその暗黙の了解を知らない訳でもないだろう。
「…戦争になるな」
上司が頭を抱えている。
リベルタ公爵令嬢の母君はスピネル国の元王女カールミルラである。
3人の兄王子と2人の姉王女から年を開けて生まれた末娘であり、長子に王位を譲って以降離宮で仲睦まじく隠居生活をしている元国王夫妻は勿論の事、5人のきょうだい達から娘である公爵令嬢もろとも溺愛されている。
リベルタ公爵令嬢との婚約を破棄、或いは婚約解消となると、―――スピネルの王族が黙ってはいないだろう。
リベルタ公爵令嬢との婚約は、国同士の良好な関係が末永く続くように取り決められたもの。
「―――あちらの動向は?」
「卒業パーティーの場には、スピネル国は国王代理の名代を仰せつかったあちらの王族4名が参加していたので、
―――時間の問題か、と…」
―――盲目的に恋する王子は
『バイオレット・リベルタに対する不当な扱いについて遺憾の意を表し、強く抗議する。
そして、創世の女神と御使いの名のもとに、直ちに制裁を加えるであろう』
と言う、スピネルからの事実上の宣戦布告に対し、
「此方には聖女がいるのだから、仮に戦争になったとしても問題は無いだろう」
とタカを括って、―――僅か9日となる聖女との蜜月を過ごすのであった。
攻め込んだ経験はあれど攻め込まれた経験の無い阿呆王子の国は9日で首都まで制圧されて大騒ぎに。
バイオレットの「いのちまでは奪わなくても良い」と言う意向に従い、スピネル国は王子と聖女に対して「もう、死なせてくれ…」と懇願する程の生き地獄を味わってもらう事にしたそうですよ(*^^*)




