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第4話 はぐり巡らせた蜘蛛の糸

「そうか……全面的に協力するぞ」




 私は父にサドラー伯爵宛に手紙を送ってもらった。そこには《これまでの不祥事を不問にするゆえ力を貸して欲しい》と書かれていた。



 かつて貴族院の有力議員であったサドラー伯爵は不祥事がきっかけで没落して領地の三分の二をなくしていた。それを国王が返還して貴族院の役職にも戻れるようにはかるとあったので、サドラー伯爵はすぐさま長女をともなって宮殿に駆けつけた。



 長女のヘイゼルは私と同年代だ。子供の頃に何度か会っている。気の強さと私にいくぶん似ている容姿は申し分なかった。


 宮廷画家のもとでヘイゼルは絵のモデルをつとめた。完成した絵は立ち姿の国王と椅子に座った王女そのものだった。



 そしてチームを作った。


 父に私直属の親衛隊50人を要請した。いずれも私の信奉者たちだ。彼らは手足のように私のために働いてくれた。



 人しれぬ山奥で馬車を襲撃する役割と襲われる側との芝居を何度もリハーサルした。その中に人質役のヘイゼルもいた。大事な役割をになう猟師や村長もこちらの手の内にあった。



 工作によって、アルゴ王国の王女アリーヤが結婚相手を探しているという情報がドガーラ王国の王室に流れた。北方地域で一番の大国アルゴ王国と縁戚になれるということで、グレム王太子に白羽の矢がたった。私の思惑通りの結果だった。



 引きこもりで知られている私はグレム王太子と手紙のやりとりを続けた。そしてお互いの気持ちが盛り上がりのピークに達したとき、ドガーラ王国に会いに行くと連絡した。



 もちろん婚約のためだ。




 ドガーラ王国で私は大歓迎された。北方随一の美姫との噂に国中の人々は興味津々だった。


 グレム王太子は私にプロポーズをした。私はそれを受け入れた。




 ──婚約パーティーが宮殿の大宴会場で開かれた。会場の主役は私だった。ドガーラ王国の有力者がこぞって私に挨拶をしに列を作った。グレム王太子の姿はなかった。


 しばらくして顔を真っ赤にしたラモス国王がやって来た。



 私の姿を見つけると、烈火のごとく激しい言葉を投げつけた。




「アリーヤ、お前と我が国王太子グレムとの婚約は破棄だ! 破棄する!!」





※明日20:10に最終話(完結)を投稿します。

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