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第1話 衝撃の告発

「アリーヤ、お前と我が国王太子グレムとの婚約は破棄だ! 破棄する!!」




 ドガーラ王国の華やかな大宴会場でラモス国王は、人々の輪の中心にいる令嬢を指差しながら声を張り上げた。会場の人々から驚きと戸惑いの声があがった。



「なぜですか。いったいどうなされたのです?」



「この女狐め、尻尾を隠したつもりだろうがすでにあきらかだ。お前はアルゴ王国の王女アリーヤというのは真っ赤な嘘、何を企んでこのような陰謀に加担したのか正直にのべよ。さすれば命だけは助けてやらんでもないぞ」



「何だって! 国王陛下、今のお言葉本当ですか?」



「あの方、アルゴ王国の王女じゃなかったの?」



「まぁ、きれいな薔薇には棘があるけど、まさにあの女のことね」



「どこぞの国の謀略か。ヘタをしたら戦争になるぞ」



「国王陛下、何を根拠に偽者だと言うのですか、私は本物のアリーヤです!」



「片腹痛い。その美貌を武器にこれまでさんざん人を騙してきたのだろうが、お前の仮面はもう剥がれた。どこの馬の骨か分からん悪女と我が愛息グレムは釣り合うわけなかろうが!」



「信じてください。私は本物です!」



「まだ抜かすか。そこまで言うのなら証拠を見せてやる」



 国王の合図とともにパーティー会場の大扉が開いて、車椅子に乗った女性が入って来た。



「誰だあの女性は? 痛々しいな、顔と手足に包帯を巻いてる……」



「あら、車椅子を押してるのはグレム王太子よ」



 車椅子が国王の側に来た。車椅子の女性が立ち上がろうとしたが、できなかった。



「無理をなさらないでください」


 グレム王太子がやさしく言った。



「……すみません。このようなぶざまな姿でラモス国王陛下にご拝謁するのは本意ではありませんが、なにぶん体の自由が利かぬゆえお許しください」


 車椅子の女性は国王に深々と頭を下げた。



「かまわぬ。そなたの窮状を知らないでいたことを悔いておる」



「では彼女は本当にアリーヤ王女の偽者なのか?」



「あっ、車椅子の女性が顔の包帯に手を……」



 ──かけた。



 そしてゆっくり顔の包帯をほどいた。



 おおおお──っ!!



 大宴会場の人々がどよめいた。



 車椅子の女性が素顔をさらした。


 


 額と左の頬にあざがあったが、それをのぞけばきれいな顔だった。背後に立っていた近衛兵が、背中に隠れていた肖像画を会場の人々に見えるように掲げた。



「この方こそ、アルゴ王国のアリーヤ王女様でございます!」



 肖像画には立ち姿のアルゴ王国の国王と椅子に座った王女の姿が描かれていた。会場の人々の視線が、肖像画と車椅子に向けられた。



「……肖像画の王女様と瓜二つじゃないか」



「ほんとだわ」



「車椅子の方が本物のアリーヤ王女様なのね!」



 大宴会場が騒然となった。



「──私は拉致監禁されていたのです」


 車椅子の女が言った。




      ◇




 わずかな騎兵を連れた馬車が峠を越えようとしたさなか、突如山奥の森林から男が馬車の前に飛び出した。両手を広げた。


 御者は慌ててブレーキレバーと手綱を同時に引いた。



「何だ、何があった」


 馬車の背後にいた騎兵が前に出た。



「ウッ!」



 騎兵の首に矢が刺さって馬上から落下した。隠れていた集団が武器を手に襲いかかった。


 双方の激しい闘いでアリーヤ王女陣営は敗北した。




 馬車は襲撃者に囲まれた。アリーヤ王女は引きずり出されて目隠しとさるぐつわをされた。




 その一部始終を隠れながら見ていた男がいた。近くの村の猟師であった。



 猟師は拉致された女が気になって後をつけた。山奥の猟師も知らない小屋に女は監禁された。



「こいつは大変だ!」



 猟師は一部始終を村の村長に話した。




     ◇     




「──そして国境警備隊の騎馬隊に救助されました。その後、村で治療を受けて体が動かせるようになったのは一週間前でした。一刻も早くラモス国王陛下とグレム王太子に会わなければとの一心でした」


 


「アリーヤ王女、酷い目にあわせた犯人は必ずやとらえてその報いを受けさせるゆえ、お許しあれ」


 ラモス国王はアリーヤ王女の右手を両手で包むように握った。



「陛下……」



「その偽者の女を連行しろ!」



 近衛兵二人が女の脇に立って腕をつかんだ。



「国王陛下、私は本物のアリーヤ王女です!! 信じてください」



「まだ言うか、失せろ!」




※本日20:20に第2話、20:30に第3話も投稿します。

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