第3章 過去
第3章まで来ました!もしかしたら思ってたより少なく終わるかも?
佐久「あれは、俺が部活を辞める前。彰人には相談に乗ってもらってたんだ。」
佐久「俺、部活辞めようと思う。」
彰人「そうか...ちなみになんで辞めようとおもったんだ?」
佐久「何か...楽しくないんだ。最初はまだ何も知らない初心者だったけど、がむしゃらに練習して何とか形になってきた。先輩も優しかったし、やりがいもあった。ただな...」
彰人「....先輩のあの言葉か?」
俺が言う前に彰人は何が原因かわかっていた。内心、彰人にも思うところがあったのだろう。
佐久「あぁ。先輩に『 部活なんて入れたもん勝ち。入れたらあとはどうとにでもなる。 だから無理やりにでも部員を集めろ!』と言われた時は、確かにとも思ったけど、やっぱり辛かった」
この言葉が出た時に俺は、俺のこともそういう風に思いながら入れたのか...と思った。そりゃそうだろう。
こんなこと言われたら俺のことも数合わせだったのかなんて思うに決まっている。
佐久「そこからは本当に何もかも楽しくないんだ。もう嫌なんだ。違うかもしれないけど、自分のために無理やり部員を集めて、自分が楽しければそれでいいなんて考えてるのかもしれないと疑いながら楽器を吹くのは!」
彰人そんな俺の愚痴を静かに聞いて少し考えてからこう言った。
彰人「いいんじゃないか?辞めても。それはお前が自由に決める権利がある。」
佐久「でも、そんなの相談して聞き入れてくれる訳ないだろ?」
彰人「そうだな。うちの先生や先輩はそういう人だな。でも、俺はお前の意見を尊重するよ。1人で言いにくいなら俺も一緒に言うからさ。」
佐久「ありがとう。優しいな。」
彰人「いや、そんなことはないよ。」
そんな会話をしていた時、俺はふと聞きたくなったんだ。
佐久「なあ、お前の中学の頃の部活ってどんな感じだったんだ?」
彰人「そうだな...」
少し悩みながら彰人は言った。
彰人「今の俺が作られたところだな。」
佐久「どういうことだ?」
彰人「あの時に色々あってな。良くも悪くも忘れられない出来事が起きたんだ。あれがなかったらきっと今の俺はない。」
その出来事については追求しなかった。きっとあいつは聞いて欲しくなかったと思ったからだ。
その後、俺と彰人は先輩や、先生へ自身の考えを述べて説得を試みた。だが、
顧問「そんなのは理想論だ。いつまでもそんなものを抱いてるんじゃない。」
先生の答えはこうだった。現実は非情だと感じた。
結局先輩達の考えは変わることはなく、俺は勇気をだして辞めることを伝えた。最初こそ止めて来たが、何度も辞めたいと言うやつとは、もう共にやりたくないのか、意外とあっさり辞めることを認めた。その日の別れ際に彰人から
彰人「ごめん...」
と言われた。それが俺と彰人の最後の会話だ。
私と桜はその話を黙って聞いていた。佐久のやめた理由がそんなに辛く、重い気持ちを抱えていたなんて知らなかった。
佐久「今でもあのころのことを思い出すだけで、胸が締め付けられるような感じになるんだ。」
廻「だから、あまり振り返りたくなかったのね。無理させてごめん。」
佐久「気にすんな。俺が選んだことだ。それより、何か分かりそうか?」
桜「うん。今の会話からして、多分中学時代の出来事に何かあるんだよ。」
廻「それはそうだけど、言いたくなさそうだったんでしょ?勝手に知ろうとしていいのかな?それに、まだ中学時代の出来事が原因という確信もないし。」
人の過去に勝手に足を踏み込んではいけない。逆にそのせいで彰人がもっと深く傷つくことになるかもしれない。私たちはどうすればいいか分からなくなってきた。
桜「どうすればいいんだろう?」
桜が不安げに言う。その問いに私達は答えを出せなかった。というより、答えを出す前に私達に声をかけたものがいた。
担任「お前ら、ちょっとこい。」
私と桜の担任だ。何故か佐久も呼ばれ、私たちは生徒指導室に入った。
担任「廊下を歩いてる途中で聞こえてしまったんだが、お前ら彰人について調べてるのか。関係ないと言ったはずだが?」
廻「関係あります。同じ吹奏楽部ですし、友達です。何が起きてるかくらいは聞く権利はあるはずです。」
少しの沈黙が続き、重い空気が流れる。すると先生は、ため息を着きながらまるで重い荷物を下ろすように話し始めた。
担任「俺だって、担任としてお前ら生徒に正しい情報を伝えるべきだと思ってる。でも、俺たちにも分からないんだ。なぜ彰人が来なくなったのか。」
桜「先生も知らないって、じゃあ一体誰なら...」
担任「.....教頭や校長にならわかるかもしれない。だが、聞いても無駄だ。あの二人は『詳しいことを知ろうとするなら、どうなるか分からんぞ。 』と言っていた。」
佐久「ならどうしたら....」
廻「.....聞きに行こう。澪に」
桜「え?!でも廻、さっき...」
廻「わかってる。でも先生まで知らないなんて絶対何かあったに決まってる。それに、このまま黙って引き下がりたくない!」
佐久「...俺も、あいつには恩がある。迷惑だったとしても力になりたい。」
桜「わ、私も!」
担任「お前ら...」
少し考え先生は、
担任「何かわかったら俺に伝えること。俺も担任として、あいつについてしる権利がある。それさえ守るなら、お前たちの行動は見なかったことにする。」
廻「わかりました。ありがとうございます!」
先生との交渉が成立した私達は、明日、澪と会い中学時代に何があったか聞けるようになった。
桜「これさえ分かれば解決に大きく繋がるはず!」
廻「うん、希望が見えてきた。」
澪「中学時代のことか...思い出したくもないな。でも彰人は助けたいし、どうすればいいんだろう。」
連絡を受けた澪は一人悩んでいた。
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