1章 突然
はじめまして!匿さんという名前で活動をさせていただきます。至らぬ点も多々あると思いますが、暖かい目で見守ってください。
この世の中は腐敗してきている。
物価の上昇、地球温暖化、自然破壊。上げ出したらキリがない。その度に聞こえる環境保護のための政策や対策。そこに力を入れなきゃいけない人たちが何もせずただ何もせず生きていき、たまにやらかした有名人が逮捕されてニュースに載って。そんな現状に何の感情も抱かなくなったのは、一体何時からだろう。
日曜日の午前10時。休みの日は何時もこれくらいに起きる。ベットが出そうとしてくれないが、流石に起きなきゃと思いイヤイヤ布団から出る。シャワーを浴びて、朝食をたべて、適当にぐうたらして。そんな何の意味もない休日を過ごすのもいつも通りだ。その度に、平日が怖くなっていっそ夢であってほしいなんて思って、幾度となく思った。
月曜日、学校に行く支度をする。身だしなみを整えて、荷物を確認して、暑い中自転車を漕ぎ続ける。学校は嫌いだ。綺麗事を並べて説教をする先生たち。三年ほどしか関わりのないクラスメイト。そんな環境で、面白くもない授業を受けて。これが退屈じゃなくてなんだというのか。放課後は部活。吹奏楽部のみんなは割と仲がいい。ほとんどは女子だが、男の俺にも優しくしてくれる。だが、やることは大変だ。先生に怒られないためにする部活ほど面白くないものはない。
「よっ!」
背中から声が聞こえる。部員の廻だ。
「なんか元気なさそうじゃん?なんかあった?」
「別に何も」
普段からあまり明るいタイプじゃない俺はこんなふうに心配されることが多い。
「....まだ引きずってるの?佐久くんが辞めてからずっと...」
佐久。同じ吹部で、数少ない男子の一人だった。誰にでも優しく、明るい。そんなどこにでもいそうないいやつだった。俺はあいつと仲が良かった。男繋がりで気軽に話せて、愚痴も言い合った。でも、あいつは部活に縛られることに耐えられず、結局辞めてしまった。
「男同士だったから、気が合ったんだろうけど、今更どうしようもないじゃん。いい加減切り替えなよ。」
そんな冷たくも正論である言葉を言い残して、廻は戻って行った。佐久が辞めてもう3ヶ月は経っている。確かに引きずりすぎだ。でも、俺にはどうしても受け入れられなかった。いや、受け入れたくなかったのかもしれない。
帰り道、外はとっくに暗くなっている。各々帰る準備をしながら楽器を片付ける。
「このあとどっか寄らない?」
「いいねー。カラオケとか行っちゃう?」
そんな会話が聞こえる中、俺は黙々と片付けを進めていた。
「ねぇ、今日ずっと元気なかったよね?どうしたの?」
またこの類の質問だ。声から察するに部員の桜だな。
「別になんともないよ。というか、そんなに元気なさそうなのか?俺は。」
「うん。だって」
「あ、桜もそう思う?」
と、廻も入ってきた。
「いやなんか今日のこいつ変だよねー。まぁ何時も暗いんだけどね。」
「失礼だな。」
「事実だよーだ。」
「うん、なんか今日は何時にも増して暗かった。何かあったんじゃって思うくらいには。」
「桜まで...」
部活で特に仲のいい女子はこの二人だ。廻は、佐久と同じ楽器で、桜は一時期俺と同じ楽器だった。二人とも優秀で、先生にもよく褒められていた。
「多分佐久くんのことでまだ気が重いんだろうなーって思ってるんだけどな」
「そうなの?まぁ確かに同じ男としては辛いだろうね。」
「いや別に、」
「ほらみんなー早く帰ってー」
先輩が急かすように帰らそうとする。
「ほら、言われてるぞ」
「しょうがないなー。あ、先帰んないでね!まだ話は終わってないんだから」
「私も一緒にいい?色々聞きたいし」
俺の意見を聞く前に二人は片付けに戻って行った。
「はぁ。なんでこんなことに」
帰り道、僕らはカフェに入っていた。
「なんでこんなことに」
「こんなことにとはなんだ。真剣に悩みを聞いてやろうというのに」
廻のこういう態度はいかがなものかと思いながらとりあえずこの場をどうにかしようとする僕。絶対に、あのことだけは知られてはならない。
「ねえ、本当に佐久くんのことで悩んでないならなんでそんなに暗いの?」
「別に俺がくらいのは今に始まったことじゃないでしょ」
「にしても今日はおかしいくらいには変だよ。正直に言って!」
桜が珍しく強い眼差しを向ける。普段大人しい人ほど怒らせては行けないものだな。
「さっきから言ってるだろ。僕は何も」
「僕?珍しい口調してるじゃん」
廻がつっかかる。
「さては、なにか隠してるな?」
「......」
「図星だね。あんたは何かあると口調が変わるのは知ってるんだから。」
どこでそんな知識を身につけたんだ?と思いながら僕はどうしようかと悩んでいると、
「あれ、こんなところで会うなんて奇遇だね。」
俺は懐かしい顔をみた。そこには、小中同じ学校だった、澪がいたんだ。
「あ、澪!お久ー!」
「久しぶり、桜ちゃんも元気?」
「うん。まあ何とか」
この3人は俺が繋がりで仲良くなった。澪と僕はだいぶ仲が良く付き合ってるという噂か出るほどだった。最もそんな事実はなく、ただ本当に仲のいい友達というだけだ。そんな話を2人にしたら
「へー、会ってみたい!」
と言い出したので何とか都合を合わせて、何度かあって話をしていくうちに仲良くなったという感じだ。
「で、何について話してたの?」
「いや、こいつが今日めっちゃ暗くて、その原因を吐かせようとしてたんです。」
「澪さんからも言ってやってください。」
少し考えたあと澪が
「少し席を外してくれる?」
2人が席を外してから澪が言う
「何かあったの?その感じはいつものやつよりよっぽど重そうだけど。」
「久しぶりだな、お前とこうして話すのは」
「そうだね。お互い忙しかったからね。」
「と言っても、言うことなんてない。日頃の疲れが溜まった結果だろう。」
「そう?まあ言いたくないなら追求はしないけどね」
「そうしてくれると助かる。2人への説得は任せた。」
そう言ってから僕らはカフェを出た。
「じゃ、またねー」
「.....ああ、またな。」
別れたあと、肩の荷が軽くなった。
家に帰り、自室にこもって僕は考えた。
「なんでああいう時だけみんな感がいいんだろ?まあいいや、今日を乗り越えたならあとはなるようになるしな。」
今日も今日とて学校に向かってる。私は廻。吹奏楽部をしていて、トランペットを吹いている。同じクラスに吹部が二人いて、その2人とはよく一緒にいる。最近そのうちのひとりが元気なくてどうしたんだろうと思い聞いてみたけど、結局疲労がたまっているだけと澪に言われてしまった。まあ、澪には正直だから澪が言うならそうなんだろうね。おっと、そろそろホームルームが始まるな。
「えー本日から彰人くんは欠席です。」
え?どういうこと?と思った。もちろん疲労が溜まってたんだったら、何日か休むこともあるだろう。でも、先生は風邪や熱といった、休んだ理由を言わなかった。それを知られたくないかのようだった。それに、いつ頃戻るのかも一切教えてくれなかった。まるで、もう二度と来ないかのように。
「やっぱり昨日何かあったんだ。一体何が...」
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