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YAMAGUCHI DEAD END  作者: 遠藤信彦
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激突5

「ひい〜!」

「助けてくれぇ!」


3台のダンプが徳島人の集団に突っ込む。縦横無尽に人を跳ねながら進んでいく。何度も何度も突っ込んで折り返しては何人をも同時に轢き殺していく。

好和は運転を本職の大型トラック運転手に任せ、自らは荷台の上に陣取り、ライフルを照射している。照射ではなく、マシンガンのように連射していると描写しても良いくらい の早撃ちをしている。彼が打った弾は必ずと言っていいほど、徳島人の顔に命中している。

『くそが!!四国もんの恥さらいやぞ!』

元来口の悪い方であったが、今日は悪口が止まらないみたいだ。

『たいした数もおらん広島もんに、好き勝手されよって……ぶち殺しちゃるけん。先に地獄で待っとれや。』

1番のお気に入りのライフルの持ち手が熱くなり、持てなくなるほど撃ちまくっている。今28人目を仕留めた。一発必中である。自分がもう直ぐ死ぬという予感、いや、確信があるからこそ後悔したくないのだろう。好和は自分の死場所を探しながら徳島人を仕留めている。

『誰か強いんはおらんのかい?戦国武将みたいに、一騎打ちでもしてやろかのう?』

ガッハッハと大きく笑いながら徳島人を煽っている。相手に聞こえるとは思えないが、好和のその風貌とトラックの迫力とが相まって相手に十分な恐怖を与えている。

小一時間ほどの一方的な攻撃の後、好和は3台のトラックを一旦下がらせ、休憩と燃料補給を取らせた。

2度目の攻撃も同じようであり、徳島人の行進を阻むのに十分であった。そして3度目の攻撃を仕掛けた時、相手陣地から自分たちと同じようにダンプが走ってきた。数は一台だけだった。

そのトラックは砂塵を巻き上げ突き進んでくる。荷台に人は乗っていなく、運転手ただ一人であった。窓ガラスが反射してよく見えないが、恰幅の良さそうな中年が運転していた。その運転は絶妙で、混乱している戦場でも伊予人だけを見つけ、跳ね殺している。大型ダンプなのにも関わらず、前後のタイヤを絶妙にロッ

クさせ、ドリフトの状態で3人を轢き殺したりもみせた。徐々に徐々に好和のトラックに近づいてくる。

『まずは腕を見せたいんやな。』

好和はライフルのスコープを当てた。恰幅のいい中年が運転しているのが見えた。なぜかヘルメットをかぶっている。

『レーサー気取りか?』

笑いを我慢できずに大きな声を出す。距離がありすぎるのもそうだが、相手の運転が上手で左右に蛇行しているので、照準を当てれない。好和は運転手に近づかないように命令をし、右隣りにいた別のトラックを近づかせた。相手の出方を見るためである。

片道3車線で計6車線、それに対して計4車線が交わる大きな交差点で2台のダンプが向かい合った。Wi-Fiがなくなった今、ダンプは自動運転ではなく、手動運転に切り替えられている。好和の部下の斎藤は上手ではあったが、手動運転なんて過去の異物であり、走らせることで精一杯であった。

斎藤の運転を見て潮田はほくそ笑んだ。チャンスだと思った。レースの世界では最終的な運転、ハンドル捌きなどは運転手がやるものだとされている。自身もレースでハンドルを握っていたため、潮田の運転はハイレベルであり、現代的なコンピューター主導の運転にも引けを取らなかった。

潮田がわざとダンプの後輪をロックさせ、滑らせる。ドリフトの要領で見事に”ケツ”を振ってみせる。荷台が相手のダンプのフロントガラスに上手にあたり、それを粉々に砕いてみせた。

衝撃と窓ガラスにヒビが細かく入り、前が見えない恐怖で斎藤はパニックになった。急激なブレーキによる前後輪ロックにより、斎藤のダンプが制御不能のまま前方に滑お続け、民家に激突した。シートベルトをしていなかった斎藤の体が粉々に砕けていたフロントガラスを容易に突き破り、前に飛び出した。電線に見事に絡まり、ぶら下がりの状態で吊るされた。意識があるように見えない。

『いっちょ上がり』

ヘルメットの向こう側でほくそ笑みながら潮田は口笛を吹いた。パチンコ屋でお馴染みの軍艦マーチであった。自分のダンプを軍艦に例えたのだろう。確かに塩田の運転するダンプは勇ましく、悠々しく見えた。

『あと2台と構えるか、それともガン無視して相手陣地を端から潰していくか・・・』

潮田はサンドイッチを頬張るためにヘルメットを脱いだ。













秋山好和、真之介


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