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YAMAGUCHI DEAD END  作者: 遠藤信彦
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激突3

徳島からの本隊は約2000人であった。逃げも隠れもせず、国道の真ん中を大名行列でやってくる。望遠カメラを使っていたミノルは汗をかいている。最悪だ、多すぎる。しかし、これだけの人数の水や食料を調達し続けるのは困難だろうとも思った。略奪が前提で進軍している。仮に食糧や水が調達できなかった場合はどうするのだろう?お互いを、身内で喰い合うつもりだろうか?

『うちの伊予軍も、命張って戦えるけんど、あっちも同じくらい覚悟しとるみたいやねぇ。』

『そうですね、奪わないと死んでしまう、身内に食われるかもしれないという恐怖心があの表情をつくっているんでしょうね。』

『こりゃあ手強いねぇ。強いんは間違いないわい。どうしたらこの2000人をここで食い止めて、高松を守れるんじゃろか…。』

レイジの横で真之介が唸った。

『やっぱり兵糧攻めがええと思うんよ。がっちり守りを固めて、相手を止めることに集中するんがええわい。時間が経ちゃあ、向こうは中から崩れてくるけん。食べもんが少ないんやけん、間違いなくそうなるわい。』

好和の言うことに皆賛成した。ではどうやって食い止め、足止めさせるか。レイジは左手の親指を噛みながら考えている。高松まで道なりで50km。ここ大坂峠で食い止める。相手は2000人。こちらは400。ここを要塞化する時間はない。

『ほんまはなぁ、籠城とか守りっちゅうんは、攻めてくる相手と同じくらいは兵が要るもんよ。けんど、こっちには“城”も要塞もあるわけやないけんねぇ。もっとおってもええんやけど……今あるんは400だけよ。これじゃあ、どうにもならんわい。あと600でええけん、高松に兵を送ってくれって頼んどるんやけどなぁ……。』

好和と真之介の議論をレイジは俯瞰して聞いている。二人は天才だからこそ見落としや穴があったりするものだ。

『相手の騎馬隊が我々にしたように、少人数に火器を持たせ、突撃と退却を繰り返しましょう。相手本体の前衛が怯めば全体の前進を少しでも遅らせることができる。高松からの援軍は1日はかかるでしょう。』

レイジは基本防御線を張ることにしたが、相手が5倍の人数なのでどれだけ持ち堪えれるかは疑問だった。

『時間稼ぎをやろうや。それにはワシがちょうどええと思うんよ。大型のダンプを3台借りてな、その荷台に銃持たせた者を5人ずつ乗せて、相手の前線を威嚇してくるんよ。燃料は満タンにしとってほしいけんね。』

好和が自ら赴くと進み出た。


好和には不思議な能力があった。感が鋭いというか、とにかく予見が当たるのだ、それも悪いことが起きる事に対して特出している。

先ずは若い時に受けた脇腹の傷がチリチリと疼き出す。これで好和の脳に不安がよぎり始める。その後に右のこめかみ付近が鈍痛を持ち始める。”悪いことが起きますよ””危険が迫ってますよ”と信号を送ってくる。そしてそれは高い確率で当たる。鈍痛は意識の内側に鮮明な映像となって現れることもある。その映像を見た時は100%の確率でそのようになる。そして今さっきその映像を見たのだ。首のない好和の姿を見た。

『自分が死ぬ映像を見た。』

そのように報告しようとしたがやめた。レイジを無駄に不安にさせることは必要でない。レイジは戦闘中であれば自分の死を簡単に受け止めるであろうが、今はそうではない。この若い少将は伊予の宝であり、あと3年もすれば大将にもなれる器である。自分のように代替の効く器では決してない。

レイジの横にいる真之介を見る。顔が青ざめている。目にはうっすらと涙が滲んでいるようにも見えた。きっと何かを感じ取ったのかもしれない。

『ワシ一人で1000人はヤレる。弾を1001発ほど用意して欲しい。』

好和は胸を張り、真之介を元気付けるように言った。

『1000人に対して1001発なんですね、1発は試し撃ちですか?』

『号砲にきまっちょわい!』

がっはっはっはと笑って好和は準備に去っていった。















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