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YAMAGUCHI DEAD END  作者: 遠藤信彦
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『やまぐち弁も忘れたのね?』

彼女は笑っていた。私も引きずられて標準語になっちゃう、とはにかんだ。

『アメリカか中国が山口に核爆弾を落とした。もしくは双方が対抗し合って爆弾を落としたのかもしれない。複数発落とした可能性もある。それまでも日本各地で1発づつを交互に打ち合って、兵器ショーみたいだったから。』

9歳だった僕はそこで死んだんだと思う。ケンヂは頭を抱え込んで告白している。それからの記憶がないことが何よりの証拠だと。

『藩の命令で山口に召集され入塾が決まった。リカちゃんと会って、みんなとも会って、これからっていう時だったと思う。トンボに似た飛行機を見た。そのトンボが爆弾を落としたんだと思う。』

ケンヂが項垂れている。リカが優しく背中を摩っている。

『あなたの世界では大変だったのね。』

リカが悲しそうな顔でケンヂを見た。

『でも、いい?君は今、異世界にいるのかもしれないけれど、今を生きて。私と生きてほしい。』

ケンヂの涙を指で掬う。

『私たちの世界では2044年にアメリカが東京に核爆弾を落とした。それに対抗して中国が爆弾を落とした。そして最後に岡山、京都と続いた。合計でアメリカが7発、中国は8発の核爆弾を落とした。生物兵器や化学兵器は双方とも数えきれないほど打ってきている。一度ロシアも便乗して函館に打ち込んだ。核ではなかったけれど。』

藩にとっての直接的な被害はなかったと説明した。

『避難民からの略奪や攻撃などの二次被害は絶え間なく

今も続いている。』

リカが腕を組み、記憶を辿っていた。

『山口が戦争が始まってすぐに廃県置藩を行ったことはあなたがいた世界と同じ。藩は優秀な人材を召集し、塾を運営した。私とあなたがそこで出会ったのも同じ。』

共通点と、非共通点を時系列で並べて比較している。

『戦争が始まった年も一緒だけれど・・・。決定的に違うのは私たちが生まれた年か・・・』

何の意味があるのだろう?少しだけ何かが違うパラレルワールドがあり、ケンヂはそこから意識だけ転生してきたのか?それとも単なる事故による記憶障害か?

『あなたが嘘を言っているようには見えない・・・。』

右手で顎を支えながらリカが思慮深く言う。ケンヂの反応の見たさにあえて時間をおいてリカは続けた。

「あなたにとって良い事を教えてあげる。みんな生きているわ。」

「え?」

ベッドに腰掛けているケンヂに対して目線が合うように自身が膝を床に着いた。

「あなたにとって大切な人たち。あなたの家族はみんな生きている。」

「本当に?」

目を見開き、信じられないという思いと嬉しさの混じった顔をリカに向ける。リカは頷き、

「今夜会えるはずよ。みんなあなたが倒れて心配していたのよ。山口までいらっしゃってる。私にとっても大切な家族よ。今夜会えるように段取りしましょうね。」

ケンヂが目が覚めた事に喜びを抑えきれなくなったリカがケンヂを押し倒した。



























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