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竜たちの回復状況

 ベノムウルフ達を片付けた二人の竜の少女に、俺は声をかけた。


「体調が戻ってきたことで、大分、力を出せるようになったみたいだね」


「これでも竜ですから。病み上がりでも、狼を相手にするくらいは出来ますので」


「まあね。私も体の動きが、ちょっとぎこちないけど。昨日よりずっとマシよ」


 スノウもリリスも、二人とも顔色は良い。


 人の身体になっていても、彼女たちは竜であり、相応の力を持つ。

 

 診断の段階でも、相当な魔力量をしているのは分かっていたし、万全ならば、かなり戦えるほうだとも見て取れた。それに、


 ……先日、飛竜が来た時だって、スノウは『一人で逃げる』と言ったけれど。『一人で犠牲になる』とは言わなかったしなあ。そんな気は毛頭ない素振りだったし。

 

 リリスも同じだ。飛竜を前に怯えることもなく、手伝いを申し出ていたくらいだから、そもそも強者であったのだろう。

 

 恐らく、二人とも、昨日の時点でも無理をすれば、飛竜と戦えるくらいではあったのだ。体調さえ悪くなければ、それこそ問題ないくらい。

 

 ……どんな強者も病気になれば、そこいらの魔獣にも負けるのは、当然だからなあ。

 

 薬師としては明らかな無理をさせる訳にはいかないので、昨日は出張った。

 

 最初に拾った時、満足に動けないほど弱っていたけれど。この二日で大分回復したようだし。

 

 そうなると適度な運動も必要なので、今回は見守ることにしたのだけど、正解だったようだ。そんなふうに思っていると、


「迷惑かけてすまねえ先生」


 ベノムウルフ達の状態を確かめていた剣士が戻ってきた。

 剣を収めていることから、戦闘終了という事で良いようだ。


「いやいや。突然来たのに守ってくれてありがたかったよ」


「ほとんどお嬢ちゃんたちに助けられたけどな。お陰で無傷だ。とりあえず俺はこいつらを運んで、中の魔石なりをとっていくから。……あと、先生のために、毒の爪も何本か、取っておくよ」


「いいのかい!?」


「さっきから先生の視線が毒の爪に物凄い回数いってたし、気になってるのは分かってたからな。ただ、時間はかかりそうだから、先生は向こうの地主さんの家に行っておいてくれ。迷惑かけた分も含めて、色付けて渡すよ」


 魔獣から取り出すことのできる魔石は薬の材料にもなる。

 それ自体が有益なものであるし、毒の爪という研究材料も増えるのは非常に助かる。

 

「いやあ、嬉しいねえ! それじゃあ地主さんの診察をしながら、待ってるよ」


「ああ、よろしく頼んだ」



「ふう……いやはや、毒が厄介な魔獣を倒せて良かったぜ」


 リリスの聴力は、竜であるが故、人のそれより高い。


 人の姿になっていても、それは同じ事だ。


 だから地主の家と呼ばれた屋敷に向かう中、後方で空気に溶け込むように呟かれた剣士の言葉も耳に入る。


 リリスは口の中で小さく、誰にも聞こえないような声をこぼす。

 

「毒は厄介……。そうよね……」


【お読み頂いた御礼とお願い】


 本作品をここまでお読み頂き、有り難うございます。

「面白かった」

「この先が気になる」

「竜の子達可愛い! 続きが読みたい!」


 少しでもそう思って頂けましたら、広告の下にある☆☆☆☆☆のポイント評価、そしてブックマークの登録をして頂けますと、作者のモチベーションになります!


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― 新着の感想 ―
まだ若いから言葉をそのまま受けとってしまうよね 微笑ましい 『敵だったら』やっかい 『味方なら』?
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