モンブランクリーム
栗の皮。あの硬いやつ。
あの硬い皮は鬼皮と呼ばれるけど、確かにあいつはマジ鬼です。
私は栗の皮を剥くのに、圧力鍋で一分加熱します。
一分加熱で、柔らかすぎず使いやすい栗の硬さに茹で上がるし、鬼皮も簡単に剥けちゃうんですけど。
剥きやすいのは皮が熱いうちだけです。
熱いうちは皮が柔らかいので、それほど力なく皮を剥けるんですよね。スルッと気持ちいいくらいに。
だけど栗が熱い。熱すぎる。
左手だけは軍手して栗を掴むから、左手は守られてるけど、
包丁を持った右手の親指の腹は、熱い栗に添えるからマジ熱い。親指だけ軍手したい。
親指部分だけ軍手カットしちゃえば解決かもしれないけど、指が動かしづらくて怪我に繋がったら嫌なので、栗のあっつい攻撃にひたすら耐えるのです。
そんな熱さとの戦いの後は、冷え出した栗の皮の、硬さとの戦いになります。
ちょっと冷え出すと、途端に強気に出てくるヤツなんですよ。栗ってヤツは。
大量の栗と戦うと、どうしても少しずつ冷めていっちゃうので、しょうがないんですけどね。
ちょっと物申したくなります。
「お前。本当に鬼だな。鬼皮だけあるよ」って。
柔らかいけど熱い。
冷めてるけど硬い。
どんな時も優しくしてくれない鬼の栗皮なんです。
しかし今日の戦いは終わりました。
片付けも終わったし、朝から栗の皮の悪口を言ってみました。
あなたもこの秋、栗を食べる機会はあるでしょう。
栗ご飯とか手作り渋皮煮とか、なんか栗の入った料理。
その秋の味覚は、鬼との戦いに勝った勝者の味なんですよ。
ちょっと縁起が良い感じ風に言ってみました。
栗か〜。栗といえばモンブランですよね。
カボチャのモンブランとか、紫芋のモンブランとか、抹茶のモンブランとか。
色んな種類があるけど、私は栗のモンブラン派です。
映えを目指さない普通のヤツが好き。
でも家でモンブランを作ろうとはあまり思えないですよね。
「ちょっと甘いの食べたいな。そうだ!モンブラン作ろう」
という手軽さはないものだと思うのです。
「ちゃんと作るのは面倒くさい。でも思いっきりモンブラン食べたい。なんなら栗のクリームだけでいい。カレーのスプーンでガッツリ食べたいんだよ」
そのくらいにモンブランへの情熱があれば、モンブランクリームは手作りしてもいいと思います。
冷凍できるしね。
栗のクリーム限定ならわりとお手軽です。
ハンドミキサーを使わなくても、少し頑張ればヘラ一本で作れるはず。
マロンペーストをほぐして、ペーストの1/10量くらいの室温バターを馴染ませて、ペーストの1/4量くらいの生クリームを液体のまま馴染ませて、ラム酒もついでに加え混ぜて完成です。
ラム酒好きの私としては、そこに加えるラム酒は必須ですが。
色んなレシピがあると思うけど、多分ごくごく普通のマロンクリームは出来るはず。
さあこれで「モンブランのクリームだけ」は食べ放題ですよ。
ひとつ注意する事があるとすれば。
「いやもうコレ、好きすぎ。コレはどれだけでも食べれるし」
そんな風に強気で思っていても、同じ物を食べ続けると、「もう一生分食べた……」と限界はくるものです。
一般的サイズのマロンペースト一缶分の「マロンクリームだけ」はきっと、あなたに限界を見せるような気がするのです。
限界を超えてからモンブランを目の前に出されると、
「これ、上のクリームだけ取ってくれない?」と、発言しちゃうかもしれないですからね。
わりとお手軽に作れるよ、と話しても。
決してお勧めしているわけではないのです。
「じゃあ何故そんな話をしたのだ?」
そう思いますよね。
私も書きながらそう思いました。
朝から話さなくてもいい話をしてみました。
ごめんね。せっかくの土曜日なのに。
今から美味しいもの食べて気分を変えてみるのはどうでしょう。




