再会 2、
神山明衣たち一行と、渡辺中佐、林田、そして7人の兵士たちが自己紹介を終えた。
明衣は、自分たちが完全に警戒されていることを承知していた。周囲は石田を含め24人の兵士に囲まれている。この警戒を解かせなければ、調査活動どころか、元の世界へ引き返さなければならない可能性すらあった。明衣は声を和らげ、努めて穏やかな口調で語りかけた。
「警戒しないでください。そちらから仕掛けてこない限り、私たちは何もいたしません」
石田は、確かに防御はしていたものの、攻撃はしてこなかったことを渡辺に報告した。
明衣は、相手の懐に入り込むきっかけが欲しかった。
「先ほど話が出たように、私たちはそれぞれ特殊な能力を持っています。中にはプレコグニションができる者もいます。そこで、その能力を使ってこの国の未来を見てもらった結果、最悪の事態が起きることが判明しました。場合によっては、その事態を回避することが可能かもしれません」
渡辺が訝しげに尋ねる。
「何が起きるというのか?」
明衣は新井が見た未来予知の内容を伝えた。さらに付け加える。
「未来予知ができるとは信じがたいことかもしれませんが、新井は過去に何度も未来予知を的中させています」
渡辺は林田の方を向いた。
「どうだ。信用できるか?」
「彼女の顔を見たことはありますが、能力については今日初めて聞きました」
「そうか」
渡辺は少し考え込み、そして言った。
「未来予知の話は別として、ここに来た目的を話してもらいたい」
神山明衣は、四石のことを知っている林田がいるため、嘘をついても後でバレれば身動きが取れなくなることを悟った。正直に、四石との関係性を調査に来たことを話した。
「分かった。移動してもらう」
渡辺はそう言い、石田を呼んで指示を出した。
石田は風通信で渡辺から受けた指示通りに情報局へ伝え、その返事を再び渡辺に報告した。
「我々は先に移動する。後で連絡する。20分ほどかかると思う。それまでここで待機していてくれ」
渡辺は石田にそう話し、神山明衣に向かって言った。
「落ち着いた場所で話を伺いたい。準備が必要なので、しばらく待っていてください」
神山明衣が了承した旨を返答すると、渡辺と同行してきた兵士、そして林田は馬車に乗り込み、戻っていった。
明衣は新井の方を向いて尋ねた。
「未来予知の中で、雲から人が降りてきていたと言ってたね」
「はい」
「どんな人だった?」
「どんな人と言いますと?」
「見た目がどうだったかということだけど」
新井は瞼を閉じ、思い出そうとした。
「遠くに見えていたので、はっきりとは分かりませんが、肌の色が私たちより白く見えました」
「白人ということ?」
「おそらくそうだと思います」
「もう一度、能力を使ってくれる?」
「同じ場面が見られるとは限りませんが」
「構わないよ」
「それでは始めます」
新井は再度瞑想に入った。