表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/29

プレコグニション 1、

 新井は瞑想の中で、空に黒く渦巻く無数の雲を見た。その雲から、次々と人が降りてくる。


 雲から降りてきた人々は、手から火球を放ち、商店や民家を次々と燃やしていく。燃え広がる街中で、人々は逃げ惑い、黒焦げになって倒れ伏す。火球は直接逃げ惑う人々にも襲いかかり、街中は阿鼻叫喚の巷と化していた。


(見ていられない……。気分は最悪だ)


 新井はそう思い、目を開いた。目を開くと同時に、神山明衣が尋ねてきた。


「どうだった?」


 新井は見たものを伝えた。その光景は近い将来起きる可能性が高い。しかし、ちょっとしたことで未来は変わる。あくまで現時点での未来予知に過ぎない。


 新井が瞑想を始めた時、石田はすでに太刀を抜き、「何だこれは!」と叫びながらサイコバリアを斬りつけていた。目に見えない壁の存在は彼にとって初めての経験であり、混乱しているようだった。


 太刀を収めた石田は、次に神術を使うことにした。風刃を連続で放ち、兵士たちにも同じ場所を同時に攻撃するよう命じた。しかし、見えない壁は微動だにしない。


 さらに強い攻撃力が必要だと判断した石田は、衝撃波を兵士たちと同時に放とうとしたが、周囲の商店に被害が及ぶ可能性があったため、ためらいを見せた。だが、その時、サイコバリアに守られた神山明衣が話しかけてきた。


「荒っぽい歓迎だなぁ」


「何だこの見えない壁は!」


 石田は怒気を含んだ声で問い詰める。


「それがサイコバリアだよ」


「いろいろ尋ねたいことがあるから同行しろ」


「嫌だと言っても無理やり連れていく? できないと思うけど」


 明衣が挑発的に言うと、石田は諦めたように言った。


「仕方ない。運ぶか」


 石田は同行していた地軍兵士の方を振り向き、同意を求めるような言い方をした。


「そうだな。賛成だ」


 同行している地軍兵士は、石田と防衛専門学校の基礎課程で2年間一緒だった。軍は違うが、今でも気の合う仲間の一人だ。


 神山明衣は、同行しても良いとは思ったが、彼らがどうやって自分たちを運ぶのかという好奇心に駆られ、そのまま待つことにした。


 石田の号令が発せられた。風軍兵士に囲まれた神山明衣たち、それに地軍兵士。一瞬、強い風が吹き荒れた。ふわりと宙に浮き上がり、風に運ばれて舞い上がり、彼らは空中を飛翔し始めた。









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ