主上の記憶 3、
中原、青島、関森由紀、関森リコの4人は、神山明衣たちが待つ部屋に戻ってきた。部屋に戻るとすぐに、渡辺中佐に「一旦、自分たちの世界に戻り報告が必要だ」と伝え、1週間以内にこちらの世界に戻ってくると約束し、次元転送装置を使って関森由紀の治療院へと跳んだ。
翌日の午後、特殊捜査室の会議室には、室長の神山一輝の他、8名が席を埋めていた。その8名とは、神山明衣、中原諒二、宮本綱紀、新井澪、藤井真宙、関森リコ、青島孝、関森由紀である。
「今朝、主上に謁見したと報告を受けた。集まってもらったのは、中原君が確認した主上の神石に関する記憶を皆と共有し、今後についてどうするかを決めるためだ」
神山一輝はそう言うと全員を見回し、中原に向かって「始めてくれ」と言って着席した。
中原は指示を受けると立ち上がり、
「今から私が見た、主上の記憶を皆さんの意識に投影します。刺激が強すぎて気分が悪くなることがあるかもしれません。その時は手を挙げてください。その方への投影を止めます」
全員の顔つきを見た後、
「投影したものと、今見えているものが重なって見えてしまいますので、目を閉じてください」
皆が目を閉じるのを確認後、
「それでは始めます」
中原はそう言うと着席し、主上の記憶を投影し始めた。投影を受けた8人の眼前には、主上の記憶が浮かび上がってきた。
会議室内は静かな時が流れる。結局、途中で手を挙げる者は無く、主上の記憶は全員で共有することができた。
投影が終わると中原は立ち上がり、
「ゆっくりと目を開けてください」
全員が目を開けると中原は着席し、神山一輝が立ち上がった。
「今後どうするかを決めたい。主上から依頼された件について、関森リコさんに尋ねるが、過去に確認しに行くのは可能だろうか?」
「漠然と過去に戻っても目的は達成できないと思います。場所と年月日時間の特定が必要です」
関森リコが答えた。
「それについては、試してみたいことがあります」
と中原。
「試す?」
と神山一輝。
「四石に刻まれている残留思念を探り、目的としている相手の残留思念があるかどうか。あれば、その思念を探ります」
「青島君は、過去に戻って確認することについて、どう思っていますか?」
神山一輝が尋ねると、青島は答えた。
「主上の慧眼により、四石は四神石ということでしたが、もう一つ何か欲しいところです。過去に戻って確認できれば一番良いと思います。そのためなら残留思念を探ってもらって構いません」




