陽光族 2、
「私も林も陽光族です」
渡辺は一旦言葉を切ると、一気に話し始めた。
「この国には八百万の神々がいらっしゃいます。その中の七柱の神々が、『この国の守りを固めよ』と、その御業を我々にお与えくださいました。そのいただいた能力を持つ者からの志願者が軍に入っています。軍は七つあり、月光軍、火軍、水軍、風軍、雷軍、地軍、陽光軍です。それぞれ、月光の一族、火の一族、水の一族、風の一族、雷の一族、地の一族、陽光の一族の出身者となっています。月光の一族を月光族とか、火の一族を火族などと呼び、我々陽光の一族のことは陽光族と呼んだりします」
神山明衣が尋ねた。
「陽光族の神はどなたですか?」
「天照大神です。八百万の神の最高神であることから、陽光族は他の一族のまとめ役となることがしばしばあります」
「なるほど。天照大神ですか。太陽の神ですね」
神山明衣は納得した。自分は太陽からのエネルギーを蓄積し、そのエネルギーを利用して様々な能力を使っている。目の前にいる渡辺と林も、それに近い存在に違いない。
「私も太陽から力をもらっています。その点では、あなた方と近い存在ですね」
「実は、あなたは天照大神ではないかと一瞬思いました。天照大神を直接見たことはなく、想像上での存在でしたが」
渡辺がそう言うと、林も同調するように頷いた。
神山明衣は微かな笑みを浮かべた。
「私がですか?」
「はい、輝いて見えました」
林の言葉に、渡辺も頷いて見せた。
やはり、似た者同士なのか。能力を警戒モードにしていたことで、オーラが輝きを放ち、目の前の二人にはそう見えていたのかもしれない。神山明衣はそう思うと、すぐに本題の確認をした。
「ところで、ここに呼ばれた用件はそれだけですか?」
「いや、今までのは私達の個人的な話です」
渡辺はそう言うと、林に部屋からの退出を命じた。
林が「失礼します」と言って部屋を出ていくと、渡辺は今までより声を落とし、話し始めた。
「我が国は古来より、主上が治めてきました。現在の政治は内閣が中心となっていますが、国家に危急の案件があるときは、主上にお伺いを立てます。それは、主上は慧眼の能力をお持ちだからです。そして、私は主上から勅命を賜りました」
「その勅命とは何ですか?」