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陽光族 1、

 渡辺中佐は足早に主上のもとへ向かっていた。主上への報告のため、彼は「臨時会議」と偽って席を立ったのだ。主上は渡辺中佐の目を通して、神山明衣たちの姿を見ていた。渡辺中佐は、今後どのように動くべきか、その指示を仰ぎに行くのだった。


 渡辺中佐が去った後、神山明衣は部屋の隅々を透視によって調べていた。窓には鉄格子。ドアの外には見張りの警備兵と7人の兵士が立っている。自分達は完全に軟禁状態にあると見て間違いない。


 神山明衣は藤井にサイコバリアを止めさせた。現時点ではサイコバリアを張り続ける必要性はないと判断したからだ。さらに、この世界には電気がないようなので、盗聴器や監視カメラの心配もないことを青島と関森由紀、そして部下たちに伝えた。今後の対応については、しばらく様子を見ることにする。


 四石には何の変化も起きておらず、青島は四石の能力を失ったままだった。


 やがて、日が傾き、窓から斜めに太陽光が差し込んできた。渡辺中佐が立ち去ってから2時間ほど経っただろうか、ドアがノックされ、渡辺中佐が再び現れた。


 渡辺中佐は、神山明衣と話がしたいので、一人で別室に移動してほしいと言ってきた。


 神山明衣はしばらく考えた後、その申し出を受けることにした。自分が不在の間は宮本がリーダーを務めることになっていたため、念のためその点を皆に伝え、渡辺に続いて部屋を出た。


 部屋を出て、長い廊下を歩いていく。同行しているのは林中尉だ。


 案内された部屋は、先ほどの部屋に比べて狭い。およそ3分の1ほどの広さだろうか。入ってすぐ右側には机と椅子が1脚。部屋の中央にはテーブルがあり、その周りに椅子が4脚置かれていた。


 テーブルに案内され、渡辺と林が並んで腰掛けた。向かい側に神山明衣が腰掛ける。渡辺は、神山明衣が背中のバックパックを下ろさずに浅く腰掛けているのを見て、なぜ下ろさないのかと思ったが、林田が話していた「機械」が入っているのではないかと思い直し、「背中の物を下ろして楽に腰かけてください」と言うのをやめた。バックパックに注意が向いていることに気づかれたくなかったからだ。


「あなたとゆっくり話がしたいと思い、こちらに来ていただきました」

 渡辺は丁寧な口調で話し始めた。


「私も話したいことがありました」

 神山明衣もまた丁寧な口調で応じる。


「それはちょうどよかった。横にいる林も同意見なのですが、私と林、そしてあなたは同じ匂いを感じます。匂いといっても嗅覚からくるものではありませんよ」


 林も同感だとばかりに頷いた。


「私も気になっていました。広場でヨウコウゾクという言葉を聞きました。何のことだか教えてもらえませんか」










 



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