表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
125/148

閑話:部屋にて

 ちょっと詰まったので一旦閑話。


 ――寮の自室にて。


「ゆーはにぃ、みて。おぼえた」


「おぉ! やるなぁ、ルー」


 俺達の部屋に遊びに来ていた、妖狐の幼女ルーが、ミアラちゃんに教えてもらった魔法を披露する。


 学院に来てからルーはどんどん魔法を覚えていき、つか今ではもう、俺より使える魔法が多いのではなかろうか。


 ミアラちゃん曰く、まずは簡単なものから教えているようなのだが、それでもまだこの子が、教わった魔法が使えなかったところを俺は見たことが無い。


 教われば、もう、使えるようになっているのだ。


 妖狐は元々魔法が得意な種族らしく、加えてルーが持つ特殊な性質もあるのだろうが、この子は単純に物覚えが良いのだろう。


 ホント、スポンジが如く教わったことを瞬く間に吸収していくからな。ミアラちゃんも教え甲斐があることだろう。


 ちょっと羨ましいくらいである。この学院、普通に筆記でも覚えること多いし……。


「俺も、ルーに負けないよう頑張らないとだな」


「そうじゃな。姫様、ギンラ、ルーと比べて、お前様はちと……凡庸じゃからのー」


「凡庸言うな」


 いや、実際そうなんだけどさ。


 俺、ただ属性が珍しいだけの一般人だし。


 なお、現在ギンラは若干ルーを警戒しており、いつもより距離を取るためか、俺の肩ではなく頭に乗っかっている。ちょっと重い。


 やはりギンラは、ルーに対し少し苦手意識があるらしい。


 シイカや華焔には逆らえず、ルーは苦手で、もう女性陣の大体が天敵って感じだな、お前。


 そう言えばコイツが今付けてる首輪も、ミアラちゃんに逆らえずに付けたものだったか。


「大丈夫よ、ユウハ! ユウハは、珍しくて美味しいお肉としては、一級品だから!」


「おう、全然嬉しくないフォローをありがとう」


 一つ教えてやるが、『肉として一級品』だという褒め方は、ヒトには全く相応しくないものだからな。


「餌としては確かにものすごく優秀じゃな。魔力美味しいし」


「まりょく、おいしい?」


「我が主様の魔力は、すごく美味いぞ。一回舐めてみると良い」


「変なこと教えないでください華焔さんよ」


「ユウハの美味しい食べ方はきっと、ゆっくりと舌を這わせて、いっぱいしゃぶることね」


「なんかエロく聞こえるからやめろ」


 ウチには小さな子がいるんです。やめなさい。


 あと、ナチュラルに俺の食べ方について話すな。


 と、そういつもの感じでやっていると、どことなく、ルーが楽しそうな様子で小さく笑みを浮かべていた。


 あまり表情を変えないこの子の、レアな笑顔である。


「? どうした、ルー?」


「ゆーはにぃたち、いつもたのしそう」


「ん、まあ……楽しくはやってるかな」


「ユウハは愉快な人だから」


「ね」


「愉快なのは俺よりもお前らだが」


 するとルーは、ベッドに腰掛けていた俺とシイカの間にぽすっと座る。


 特に何も言わないが、やはり機嫌良さそうに、そのモフモフの狐尻尾を揺らしている。


「んふふ」


 何だかご機嫌らしいルーを少し不思議に思いながら、そうして俺達は、一日を共に過ごす。

 

 よくわからないが……この子が楽しそうなので、何よりだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 幼女の扱いが本当にお上手、いやらしわね
[良い点] 久しぶりにルーが見れて嬉しいです。 [一言] 執筆お疲れ様です! 次回の投稿も楽しみに待っています。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ