表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/148

目が覚めたら捕食寸前だった件《1》

 新作始めちまった。どうぞよろしく。


 とりあえず単行本一冊分は書いてあるので、そこまで毎日投稿。



 ――何か、温かいものに触れた気がした。


 温かく、心地の良い、生命力溢れる何か。


 ……いや、その言葉はきっと、相応しくない。


 生も死も、それには関係ないのだ。

 そんな理とは一つ離れた、ただそういうものとして、そこにある。


 と、その『ナニカ』は、俺に向かってソレを渡してくる。


 何なのかは、わからない。

 わからないが……渡されたものがとても大きく、良いものだということだけは、俺は理解していた。


 すると、『ナニカ』は満足そうに、俺から離れていき――。



   *   *   *



 夢現(ゆめうつつ)の意識がだんだんと浮上していき、俺はゆっくりと(まぶた)を開いた。


 青空。

 揺れる緑の木々。

 その間から零れ落ちる、眩しい木漏れ日。


 視界に映ったのは、部屋の天井ではなく、そんな光景だった。


「…………?」


 数度瞬き、眼前の光景をただ眺める。


 頭がボーっとしている。

 よくわからない。


 何で外で寝てんだ、俺は。

 夢か? 夢だな。意味がわからな過ぎる。


 ――いや、本当に夢か、これ?


 思わず、自問自答を繰り返す。


 温かい陽光。

 緑の匂い。

 鳥の囀り。


 吹き抜ける緩やかな風が、寝転がっている俺の意識に覚醒を促す。


 だんだんと、寝惚けていた頭が明瞭になっていき、それにつれて自身の今の状況が相当おかしいことを理解していく。


 この、五感で感じる圧倒的な情報量。

 夢なんて曖昧なものではない、どう見てもここは現実である。


 俺は今、自室ではなく、森の中にいる。

 森の中で寝転がっている。


 何で……こんなところにいるんだ。


 状況を正確に理解したことで、さらに混乱が増した俺は、周囲をもっとしっかりと確認するべく上半身を起こし――という時だった。


 ――視界を占める、()


 鋭い牙が何本も生え、人間のソレとは違う、大きく裂けた悍ましい怪物の口。


 人間一人など、簡単に丸呑み出来てしまいそうな程に開き、唾液が俺の頬へと滴り落ちる。




 俺は、捕食される寸前だった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] こちらの作品にも、俺・参上‼️
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ