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駄菓子屋にて

作者: 海星

 「知ってるか?。

 『ビッグカツ』の肉って、魚の肉らしいぜ?。」

 「マジかよ!?。」

 「知ってるか?。

 『グレートカツ』の肉って、牛の肉でも豚の肉でも魚の肉でもないらしいぜ?。」

 「・・・て言うか『グレートカツ』の存在を今初めて知った。

 旨いのかよ?。」

 「マジで旨いぜ!。

 俺も初めて見た時は半信半疑だったんだけど、そろばんの帰りに駄菓子屋で買ってみたんだけど、あまりの旨さに座り小便もらしたからな!。」

 「そんなに旨いのかよ!。

 俺も今度、公文の帰りに買ってみるわ!。

 でも小さかったら嫌だぜ?。

 俺は育ち盛り、食い盛りなんだからよ。

 いくら旨くても最低でも『ビッグカツ』くらいの大きさがないとな。」

 「そりゃ『グレートカツ』って言うくらいだからな!。

 胃にガツンとくるような大きさだぜ。

 『東京ドーム4個分の大きさ』と『レモン2個分のビタミンC』って謳い文句に偽りはねーよ。」

 「・・・で、結局何の肉なんだよ?。」

 「わからない。

 今度、長さんに聞いておくわ。

 俺は白鵬(はくほう)の千秋楽の取り組み見たいから今日は帰るわ。」


 (ちょう)さんとは昔、藤沢駅周辺を縄張りにしていた、賢者(ホームレス)だ。

 博識(ホラふき)で知らない事はなかった。

 地廻りの極道(ヤクザ)に良いように使われて、警察に逮捕された時に報道で初めて本名を知った。


 「『グレートカツ』はなぁ、・・・誰にも言うなよ?。

 本当は竜の肉なんじゃ。」

 「マジかよ!?。

 世紀の大スクープじゃねーか!?。

 って、どこに竜なんていたんだよ!?。」

 「我々はどこかにいると言われている竜を探したんじゃ。

 そして『華厳の滝』でようやく竜を見つけたんじゃ。

 竜は鯉が滝を昇りきると、竜に姿を変えるんじゃ。」

 「・・・スゲー。

 竜って本当にいたんだ・・・。

 おい、お前も聞いたかよ!?。」

 「あぁ、聞いたとも。

 それ以前に『グレートカツ』があるという話が俺の作り話なんだが。

 俺そろそろ帰るね、今夜のおかず『卵焼き』なんだ。」


 今年10年ぶりに藤沢へ行った。

 変わっている部分と変わってない部分があった。


 しかし長さんはいなかった。

 俺は思う、長さんは本当は賢者じゃなくてただのバカだったんじゃないか・・・と。

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― 新着の感想 ―
[一言] 駄菓子食べたくなりました〜。
[良い点] 長さんはバカだったんじゃないか… (ここは、いい意味での) [一言] その長さんは子供に優しい人だったんですね。子供の驚いた顔やキラキラした瞳を見たかったのかな?なんて思ってしまいました。…
[一言] そういやビッグカツの肉ってピンク色してますね。 魚と言われても納得です。 滝登りに成功した鯉は竜になるっていう話は壮大すぎて逆に笑えます。 どうせなら、どこまで壮大な嘘をつくれるのか、長さん…
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