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7にゃす「にゃすにゃすQ便のルール」

 ここはアウトの理由を素直に聞いて見るしかない。このチャンスを逃して、この子たちに会えなくなるのはなんとしてでも回避しなければ。


「何がいけないの?」

「なかみみるにゃす」


 紙袋から取り出し、テープで止めてある箇所をはがして、そっと包み紙を開けた。中には


 ・北海道産昆布

 ・鹿児島産鰹節

 ・液体ブイヨン

 ・固形コンソメ

 ・顆粒チキンスープ


 が入っている。賞味期限は問題ないし軽量だ。もしかして食品全般がNGなのかもしれない。

 すると白にゃすが鰹節を指差すと


「あぶないにゃ」

「あぶない?」

「にゃす、おとどけちゅう、ほかのにゃすがふくろあけるにゃ」

「たべちゃうにゃす、おとどけものなくなっちゃうにゃ」


 思わず吹き出し爆笑してしまった!

 その風を受け、にゃすの目がバッテンになったように、見えた。

 お腹を押さえ、ひいひいとみっともなく息を吸った。


 人間ではありえないというか、法で縛られているのでそんなことは今の世の中起こないが、にゃすの世界では違うらしい。依頼する側がちゃんと見極めてあげないといけない、ということか。

 話を聞くと、他にも音が過度に鳴る物、ひらひらしてるもの、生物、またたび、火器、現金、危険なものはお断りらしい。

 とにかく、にゃすが安全に、欲望に駆られないように運んでもらえるものをお願いする、ということのようだ。


 真剣にお断りされたから何かと思った。

 とっても可愛い理由でほっこりしたし、久しぶりにこんなに笑ったかもしれない。


 その他は大丈夫とのことなので、鰹節を物資のビニール袋に移し、包み紙を再度ラッピング、紙袋にいれた。紙袋だと引きずってしまうらしいので、持ち手を切って、ガムテープでまとめる作業をぱっと行う。


「「「ハンコにゃすにゃす」」」


 ああ、配送時も押すのね、と三枚のカードを受け取ってハンコを快く押した。


「おとどけするにゃ」


 そう言って一匹は物資を大事に抱え、一匹は荷物を引きずり気味に、一匹は駆け足ですぐにいなくなった。

 あの子たちの後ろ姿が見えなくなるまで見送り、ドアに貼った付箋を回収して家の中に入った。



 肩と腹筋の代償を払ってでも、また会いたい。

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