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第8話 小児科の医者はイケメンが多い

なんとなーく簡単な授業を聞いて、休み時間には取り巻きの相手をして、また授業を受けて、と繰り返していると、昼食の時間がやって来た。


昨夜の記憶が蘇ってくる。


ーー昼食と言えば、昨日思い出したあのイベントだけど……。別に今日あるか明日あるかいつあるかなんて分からないんだし、気軽にご飯に行きますか。それにこちらから動かなければ何も起きないはず。


私は取り巻きに囲まれながら食堂に向かう。



食堂と言えども、流石に広い。無駄に煌びやかだし、無駄に豪華である。


ーーひぇ〜。


「シャーロット様! 本日は高級肉が入荷されているらしいですわ! シャーロット様のような高貴な御方に相応しいいいお肉だとか!」


取り巻き令嬢Aのお言葉を適当に流す。


「いえいえ、やはりシャーロット様ほど美しいお方なら美容にも気にかけていらっしゃるはず! あちらの高級野菜のカルパッチョなんてどうでしょう!?」


取り巻きB。なんかそれ失礼だぞ。


「あの料理人は、私の家の専属でして! お魚料理が絶品ですわ! ぜひ!」


取り巻きB。なんで専属が学園の料理人してるんだよ。それ専属じゃねえじゃん。


ーー今日なんだかお米食べたい気分なんだよなぁ。こう、がっつり! 丼系が。ギルガレッドのご飯なら何でも良いんだけど、外で食べるとなると自分の気分が出てくるの何でなんだろう。


私は、高級レストランのメニューかのような献立表を眺めながら思案する。


ーー今日は眠れてないし、エネルギーも取りたい。なら肉か魚か。いや、うーん。


顎に手をあて長考する。どうせなら満足するものを食べたい貧乏人の性だろうか。結局は何食べても満足するのに、今の自分の気分に近いものを探り当てようとする。


つい、考えすぎてしまい一歩よろける様に後ろにさがってしまった。公爵令嬢がみっともない、と思い、立て直そうとした時には遅く後ろに居た男性にぶつかってしまう。


「あっ、申し訳ありません。」


反射的に謝ると、取り巻き達が驚いた顔をしているのが目に入った。


ーー私だってぶつかれば謝るわい。てか、それにしても、ぶつかった相手相当鍛えているのか、かっっっったかったなぁ。


丁度頭が相手の胸あたりにぶつかったのだろうが、柔らかさから程遠い鍛え上げられた筋肉がそこにある事が服の上からでも分かった。


「……。」


ぶつかった男は、私をちらりと一瞥し無言で料理人にオーダーをしに行ってしまった。


「なっ、あの方!シャーロット様が謝られたと言うのに!失礼ですわ!」

「そうですわ! そもそも、あんな男に謝ることなんかなかったですのに!」


「いえ、ぶつかったのは私ですから。皆さんはお気になさらず。お昼決められました?」


私がこう言うと、取り巻きの方々は口々に褒め称えてくれたが、少し煩かった。周りの視線が痛い。

先程ぶつかった男性の方を見る。肩に星の紋章が3つ付いているのが見えた。


ーー星マークといえば、王族お抱えの騎士だ。しかも三ツ星とは。あの筋肉は伊達では無いんだな。



一ツ星は王国騎士の証。二ツ星になれば王国騎士団副団長の証。三ツ星は団長の証。

確か王国騎士団は三つしかないはず。即ち、団長もこの国では3人しか存在しない。


ーーどこの王族の騎士だろう。団長を護衛騎士にしているなんて。


無意識に目で追っていると彼が頼んだものが見えた。


ーーっっあれは!!!?


「皆さん。私決まりました。」


「お肉ですか!?」

「お野菜ですか!?」

「魚でしょう!?」


私は料理人に向かって、オーダーをお願いする。


「すみません! カレーひとつ!」


スタミナもつく、米も食べれる、ガッツリ系!私が望んでいたのはこれだ!


ーーこの世界にもカレーがあったんだ。考えてみればそうか、異世界って言っても日本のゲームだ。日本の食事はまだまだありそうだな。



私はカレーをもって席に座る。いつの間にか、私の定位置は決まったようで、どれだけ混雑してもいつもその席は空いている。


ーー有難いけど、恥ずかしいような。


まあいいか、カレーだカレー。とカレーに思いを馳せ、スプーンに手を伸ばす。だが、


「ひどいです!! シャーロットさん!」


「え、」


目の前に突如現れたヒロインことマリア・キョーダによって私の昼食は邪魔されることとなった。


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