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第7話 医者と看護師は割と仲が悪い

偏見題名すみません。

評価とブクマ、ありがとうございます。

コンコン


「リリィです。シャーロット様。失礼します。」


「あ〜、おはようリリィ。」


私はベッドの上で片手を挙げる。


ーー結局一睡も出来なかった。慣れればいつかは眠れるだろうか。それか睡魔が耐えきれなくなれば眠れるだろう。


「シャーロット様? 昨晩はお休みになられましたか?」


リリィからは昨日までのような萎縮している様子は消えている。


「ええ。寝たわよ。しっかりとね。今日は学園の日だから、制服の着替え、手伝ってくれるかしら。」


「あ、はい! 勿論です。」


リリィは衣装部屋から学園の制服を丁寧に持ってきて着せてくれる。髪はお任せしたが、結わえることもなく丁寧に綺麗に梳かして終わった。私が不思議そうに見つめると、恥ずかしそうな顔をして、お嬢様のフワフワの髪が好きなので、といいものだから今日も撫でておいた。


顔を洗って広間に行き、母に挨拶を済ませる。今日も兄と妹と父は先に食べたようだ。兄はせっかちな性格で父は忙しいから兎も角、妹のミラは何も無いなにも関わず、私と意地でも顔を合わせないつもりだ。


「あら?」


私は料理を持ってきてくれているのが、いつもの使用人では無いことに気付いた。あれは、シェフのギルガレッドだ。26歳という若さで料理長を任された才のある人。無精髭を生やし、茶髪の髪は短く剃りあげている。噂ではヘビースモーカーだと言う。味覚が狂うため料理人は煙草を嫌うと言うが。


ーーなぜ、ギルガレッドが配膳を?


私がギルガレッドの顔を見ていると、ふと目が合った。向こうは驚いた顔をしていたが、何も言う様子はない。


ーーまぁ、シェフから令嬢に声をかけることは無いか。


だが、目が合ったまま何も言わないのは何なので、いただきますね。と言うとまた驚いた顔をして、何も言わず後ろに下がってしまった。


ーーなんだっていうだよ。……まさか、鉄仮面ぶりを見に来た!? しかも噂通りで驚いて引いた!?


私の鉄仮面ぶりは一日で館中に噂が回ったらしい。それをわざわざシェフが見にきたのだろうか。


ーー暇人め。


私は朝食を口に運ぶ。


ーーだがやはり、うっっっまい!


「おいしい……。」


この美味さには思わず感嘆のため息が漏れる。食べ終わると、下膳をしてくれる使用人を待ったが、どうやら下膳をするのもギルガレッドらしい。


「美味しかったわ。ご馳走様。」


私が声をかけると、皿を持っていたギルガレッドの動きが一瞬停止し、皿の上のナイフとフォークがカチャと音を出した。


ーーお昼も学園の食堂ではなく、ギルガレッドの料理が食べたいくらいだな。


学園の料理人も名のある人らしいが、家のこの味に慣れると舌がどうも肥えてしまい、物足りなさを感じる。


ーーいっそのこと、弁当にしてもらうか? いや仕事を増やすのも可哀想か。



私はごちゃごちゃと考え事をしていたため、ギルガレッドの顔が真っ赤に染まっていた事に気付か無かった。




****


やはり金持ちは贅沢というかなんというか、学園まで態々馬車を使うらしい。徒歩25分も無い距離なのにだ。私は凪雲凜々の時、仕事場まで毎日40分は歩いていた。


ーー看護も体力勝負なところあるしなぁ。


「お嬢様。馬車の用意ができました。」


執事のセバスが声をかけてくれる。


「ありがとう。行ってくるわ。」


「お気を付けて。」


セバスは経験がものを言うのか、年の功か、私の態度の変わりようにも眉一つ動かさない。



馬車で揺れること10分弱。

学園の前の門に着く。御者が家の紋章を見せると、門番はお辞儀をし開門する。

門から学園の入口も長い。歩けないことは無いが、何故そこまで長くする?と言うほどの距離はある。セキュリティの関係だろうか。馬車には私の家紋が入っているからか、大抵の馬車が道を譲るように端に避けスピードを落とす。


ーー煽り運転をしているみたいな気分になるから嫌だな、これ。


いろんな馬車に、あれは要注意人物だ!道を開けろ!と叫ばれているかのように感じる。



ーー貴族の縦社会はすごいな。


感心しながら馬車に揺られていると、御者が着きました、と声をかけ扉を開け、手を差し出してくれるので、優雅に手を添え馬車を降りる。こちらを見ていた他の生徒から、うっとりとしたような溜め息が漏れる。


ーーそう言えば、


私は他の馬車に目をやると、大抵の人間が従者を連れている。手を引くのも従者だ。位の高い者は、位の高い護衛騎士を連れているようだ。


ーー私にはなんで居ないんだっけ?



別に居なくてもいいが、シャーロットの性格からして、欲しがりそうなものだが、と不思議に思う。


ーー何となく、昔に、何かあったよう、な?


これ以上思い出そうとすると頭がズキリと痛んだため、やめにした。無理に思い出すほどのことでもないだろう。


御者にお礼を言ったあと、学園に入る途中何人もの取り巻きに声を掛けられたが、そつなく会話をし、自分のクラスルームを目指す。


席に着いてから、何かを忘れているような気持ちに駆られる。


ーー何だっけ。何か、あったような? 忘れてるということは大したことでは無いのだろうけど。


私の頭の片隅に栗色の毛の少年が過ぎる。


「あ。」


ーー婚約者の第3王子ルーメルドのこと忘れてた。


ルーメルドには毎朝、迎えに来させるようにしていたのだった。私が馬車から降りて学園に入るまでの間に、ルーメルドが迎えに来ないと、ダムが決壊した如く罵倒していたような。それから毎日ルーメルドは嫌々迎えに来ていたような。


ーーそのルーメルドが今日来なかったということは。単純な遅刻か。……ヒロイン関係か。


もう出会い、恋に落ちているのかもしれない。優しいヒロインと我儘令嬢を比べて嫌気が差したのだろうか。


ーーそれにしても、早い気がするな。ルーメルドがシャーロットを見放すのは、昼食イベが起きたずっと後だったはず。終盤の方だ。


ーーまさか。もう国外追放が迫ってきている? いや、それにしてはフラグが少なすぎる。待てよ、そうか。マリア・キョーダか。


やはりマリア・キョーダは転生者と見て間違いないようだ。


ーーシナリオが狂ってきている。


私の国外追放ルートはそう簡単にはいかないかもしれない。

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