表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/14

第6話 何よりも怖いのは患者の転倒

夜勤中に転倒されると、ああ〜!、って思います。

私はその後美味しい昼食を食べて、今度、と言ったのに今日お茶を約束したことになっていた兄に追いかけられ、今後の事を少し考え、また、美味しい夕食をたべて、リリィがお風呂で背中を流してくれ、ベッドに入った。


妹であるミラには嫌われているため顔を合わせることは少ない。父は忙しい身だ。同じく顔を合わせることはなかった。


ーーふぅ。転生1日目にして濃かったなぁ。


記憶が有るためそこまでの問題は無く一日を終えることができた。だが、明日からはまた違う大変さが待っているだろう。


ーー明日は学園に行く日。第3王子にも、その他の嫌われている方々にも、今になっては鬱陶しい取り巻きにも会わなくちゃいけない。


私の通う学園は、表面上では剣と魔法を学ぶ学園だが、内情はそうではない。ほとんどの有力貴族が通うため、コネ作りがメインだ。たまに奨学制度を使い通う平民もいるが、虐げられる対象に見られるのは目に見えているため、通うものはごく一部の変わり者だ。そして、『暁夜のシンデレラ』のヒロインもその1人である。


ーーヒロインね。


この世界でヒロインにあたる人物に、シャーロットの記憶の中に1人心当たりがあった。


ーーあの子は確か先月から通い始めたはず。


下町生まれの平民で魔力も低レベル。なぜ学園に入ったのかも分からない、明るいだけが取り柄の女の子。顔は美人系ではなく可愛い癒し系。名前は確か……マリア・キョーダ。


「いや、まんま日本名じゃん。」


きょうだ まりあ か。名前から察するに転生者と見ても、おかしくない。


「先月入学してきたということは、どこまで進んでる?」


頭を捻らせ、ストーリーを思い出す。


「いや、間のストーリーはこの際どうでもいいか。大事なのは、あとどれくらいで国外追放を言い渡されるか。」


ライバル兼邪魔者である悪役令嬢が物語から退場するのは終盤あたり。


「くそ、時期は分からんな。何ヶ月後、とかいう時間の描写は無かった。やっぱり、大まかなストーリーで掴むしか無いか。」


ーーまず初めに悪役令嬢絡みのイベントは……食堂だ!


初めて声を掛けてくれた女子生徒に誘われ、食堂でお昼を取ろうとするヒロイン。女子生徒に導かれるままに席に着こうとすると目の前に悪役令嬢が。女子生徒は悪役令嬢の手先だったのだ。

貧乏な為、手製で作った弁当を馬鹿にされ床にぶちまけられる。

そこに通りがかったのが、攻略対象その1学園の生徒会長兼第一王子コーラッド・モンタリウス。

コーラッドは以前からひたむきに頑張ろうとするヒロインに好意を寄せていた為、床に落ちた弁当を摘み上げ口に。

そしてひとこと「うまいな。これ、お前が作ったのか。そこらの令嬢には出来ない事だ。」と。

そして、悪役令嬢に「飯を粗末にする奴にこの学園は似合わない。」と喝を入れる。王族に悪役令嬢は歯向かう訳にはいかず


「ぐぬぬぬ〜ってなるシーンのはず。」


私は冷静に考える。これでも看護学校は主席で卒業をした。頭はいい方だ。


「いや、無理だな。食べ物を粗末にはできない。気持ちを込めて作った食べ物を悪くも言えない。」


ーーこのシーンはパスするか? いやでも、国外追放はされたい。どんなことが影響するかは分からんぞ。でもやりすぎて、処刑ルートにはいるかも。


「結構大変だな、これ。」


ーーパス、するか。女子生徒も私の手先だったし、こちらから何もアクションを起こさなければ、何も起きないはず。これはパース。


「ふあ……。」


ーー今日は疲れたなぁ。眠くなってきた。寝れるかなぁ。


凪雲凜々は自宅以外の布団では寝れないタイプの人間だった。シャーロットにとっては、ここは自宅だ。寝れると信じて目を閉じる。




「しまったなぁ。寝れない。」


私のつぶやきは闇に溶け、ただ、消えていく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ