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不老不死の女性に恋をした。  作者: 子桜優華
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お餅とお団子


 ―1613年12月25日 15:30―


 「さあ、遠慮せずたべて」

女性がそういうと智樹は、持ってきてもらったお餅の一口目を小さくかじった。

そのあとの二口目からはガツガツとお餅を頬張った。

「そんなに勢いよく食べたら、のどに詰まるで。それにしても、三郎さんのお餅、おいしいやろ?」

女性はそういうと、智樹の食べる姿を柔らかな笑顔で見つめた。

「お、おいしい・・・こんなおいしいお餅久々に食べた・・・」

次は三食団子も餅と同じように大きな口で食べた。

「このお団子もやわらかくておいしい!」

「せやろ?ここの食べ物はなんでも絶品なんやで」

頬張る智樹の姿を見て、女性もなんだか嬉しそうだ。

「せや!名前、聞いてへんかったなあ。あんた、名前は?」

女性は智樹に問いかけた。

「智樹です。赤坂智樹」

「へえ、智樹さん。おしゃれな名前やなあ」

そういうと女性も自分の名を名乗った。

「私の名前もいってなかったなあ。私は初。みんなからはおはつさん言われてるんやで」

「初・・・」

名前もなんだか古風だ。智樹はそう思った。

すると初は、さらに智樹に疑問を投げかけた。

「でも、なんであの山におったん?遭難いうても、何しにあの山へ?」

その瞬間、智樹の口が止まった。無理もない。だって、智樹本人もなぜあそこにいたのか謎なままだ。しかも、タイムスリップしました!とも馬鹿らしくてとてもじゃないが言えない。

しかし、そう説明するしか選択肢がない。智樹はそう思った。

(この服装だし、もしかしたら信じてもらえるかもしれない。)

そう考えた智樹は、正直に話した。

「じ、実は、信じられないかもしれないんですけど、山で遭難していた理由は僕にもわからないんです。僕、この時代の人間じゃないんです。なぜ今江戸時代にいるのか謎なんです」

そういうと、初はケラケラ笑い始めた。

「時間移動、ていうやつかあ?ほんとどこまでも面白い人やなあ」

智樹もやっぱり信じてもらえなかったと、顔が赤くなった。

しかし初は、徐々に真剣な表情に変化していった。

「・・・でも、嘘じゃなさそうやな。私が生きてきた中でも、そんな格好しとる人見たこと無い。身振りもこの時代とは大違いや」

初は少し考えこみ、”あっ”となにかひらめいた様子を見せた。

「んー、わかった!その話信じたる!あんたが元の時代に戻れる方法、一緒に考えたる!」

初は、妙にワクワクしていた。そして予想外の展開に、智樹も驚いた。

しかし、ここにきて初めていま置かれている状況を理解してくれる人があらわれ、智樹も

なんだか嬉しくなった。

「あ、ありがとう!そういってもらえるとありがたいよ!」

そしてまた智樹は目の前にある食べかけの餅と団子を食べ始めた。


 そしてその瞬間から、智樹は、2020年に戻るまでの江戸時代生活が始まった。



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