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不老不死の女性に恋をした。  作者: 子桜優華
4/9

ここがうちの商店!


 ―1613年12月15日 15:00―


 智樹は、手を引かれながら5分近くあるいた。

その道中は、学校の歴史の教科書や、時代劇なんかでみた風景と全く一緒の物だった。

ちょんまげ姿ではかまを着た商人や、着物をきて町を歩く女性たち、侍のような人、

さらには人力車までも見受けられた。

(本当に江戸時代に来てしまったのか・・・?)

信じられない光景が目の前に広がっているが、信じないほかなかった。

また、回りの人たちも自分のことを不思議そうな目で見ている。

それもそうだ。この世界に、”洋服”なんてきているのは智樹だけだ。

しばらくすると、手を引っ張っていた女性はピタッと止まり、手を放した。

「ここが、うちの働いてる商店やねん。さ、お腹いっぱい食べていき!」

智樹は首を縦に振ると、女性は中に入って行った。

「ただいま戻りましたよ!三郎さん!」

「おお、戻ったか。随分時間かかったなあ。」

中にいたのはすこしふっくらした50歳くらいのおやじだった。

「ん?その男は・・・?」

そう言って三郎という男は、智樹を見た。

すると女性は三郎に説明し始めた。

「あのなあ、江戸に帰るところで、そこの山で遭難してたんや。やから一緒連れてきたんよ。お腹すいてるみたいやから、ほっとけんくてなあ」

そういうと三郎はがっはっはと大きな声で笑った。

「それは大変だったな。しかし初めて見る格好してるな。宇宙人じゃねえか?」

「んなわけないやろう?ちゃんと人間やで。失礼にもほどがあるなぁ?」

女性はそういいながら智樹の方を見た。智樹は知らない環境で急に話を振られて、なんて言っていいかわからなかった。智樹は黙っていた。すると

「あ、そうやったお腹すいてたんよね。三郎さん!お餅とお団子、いくつか作ってくれへんか?」

「ああ!もちろんいいとも。たっぷり食べていきな!」

そういうと三郎は、お餅を作り始めた。

「さ!入って入って!階段つこうて上の階で食べ。それなら周りにも見えへんし」

「あ、ありがとう・・・」

ギクシャクしながらも、智樹は二階へ上がった。

この商店の一階は、三郎の台所と、餅や団子を食べているお客さんがいて、

二階は食糧庫のようになっていた。

「ずいぶん暗い部屋やな・・・」

きっと物置用に作った部屋だろう。窓もなく、昼なのに薄暗い雰囲気だ。

しかし智樹は落ち着くことができた。昨日の帰り道の出来事から考えると、やっとゆっくり座って休憩できる時間だ。しかしなぜ、自分がこの時代にいるのか?あのタイムスリップのようなものはなんだったのか?2020年に戻れるのか?いくつもの心配ごとがある。

「ほんと・・・どうしよう・・・帰れなかったら、この町で暮らしていかないといけないのかなあ・・・」

そんなことを考えていると、誰かが階段を上ってくる音がした。

「おまたせ!お餅とお団子、もってきたから、遠慮せずたべてやあ」

その女性がもってきたのは、ほかほかのお餅と、色とりどりの三色団子だった。



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