修行前のひととき
「汗ばみ、息が荒いな。悪夢でも見ているのか……」
ルーエルはネーヴェが寝ながらうなされている見てそんな感想を洩らす。
「お母さん!!ハァーハァーハァハァ。また、夢……」
両親が機人に殺された時の夢をまた見ていたようだ。いまだに私は、あの時の両親の表情や声が忘れられない。
「なんだ、起きたか」
「……?」
「あぁ?そうか、ネーヴェ、お前は気を失ったんだよ」
目を覚ましたネーヴェに気づいた甲冑を被った人は、焚き火によって火のついた木をいじりながらネーヴェに今の状況を話す。
パチパチとなる焚き火の音だけがしばらくの間その空間を支配する。
気を失う前のことをネーヴェは思い出す。
「甲冑の人……?」
「甲冑の人か……そう言えば名乗っていなかったな」
甲冑の人はそういって、その堅そうな甲冑を取る。
「……!?」
ネーヴェは驚いていた。
てっきり甲冑の下からは、ゴツゴツな男の顔が出てくるだろう予想していたが、実際に甲冑の下から出てきた顔は美しい女性の顔。目は赤く、右頬には傷が着いていた。
「なんだ、おかしいか?」
「いえ」
甲冑を自分の足元に置き自己紹介を始める。
「私の名前は、ルーエル。機殺星団第一特殊部隊所属単独行動班第6期兵ルーエルという。ネーヴェ、お前を見つけたのはとある任務の途中だった。運が良かったな」
と、私に対してルーエルは説明してくれた。
「そう……なんですか」
こんな言葉しか返せない。
機殺星団があることは有名だが、実際にこうして関わるのは始めてだ。それに少し気になったこともある。
「あの、私の知ってる機殺星団の情報だと、機殺星団の隊員は常に二人一組でうごくと聞いたんですけど?」
「あぁ~そのことか、言っただろ。機殺星団第一特殊部隊所属単独行動班だと、その名の通り私は単独行動を許可されている」
「そう……なんですか」
「それに、お前もこれから機殺星団第一特殊部隊所属単独行動班に入隊するために修行するんだよ」
「え、あの……その話は冗談ではなかったのですか?」
「冗談ではないぞネーヴェ。これからお前には修行をしてもらって機殺星団入隊試験に受かってもらう。そのために、明日から修行だ!!私がじきじきにしごいてやる」
……まあ、いっか。
別に他にやりたいこともないし。
その時、修行を軽く考えてしまった自分をのちに殴りたくなるほどに後悔するのだがこれはまた別のお話。
甲冑の人と呼ばれていた。
ー現在公開可能な情報ー
名前
→ルーエル・メル
性別
→女
使用武器
→太刀
外見特徴
・鈍い黒色の甲冑を常に着ているため暗闇の中ではその姿を視認することすら困難。
・補助武器として小型のナイフを5本程携えている。
・ネーヴェが殺されそうになっていたろ頃を助けた女剣士
・機殺星団第一特殊部隊所属単独行動班第6期兵ルーエル