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クリスタル・ナノマシン  作者: ほむほむ
プロローグ
1/5

000-プロローグ-機殺の甲冑

 時は、機歴きれき

 鉄屑と呼ぶにふさわしいゴミが大量にある場所で、1人の少女が空を見上げていた。

「ga……人間を発見……削除します」

 赤い目を不気味に輝かせながら近づく機人に気が付かずに

「どんなに世界が汚れていても、星空は綺麗」

 星空を見て少女は呟く。

「範囲……実行」

 少女の後ろには攻撃態勢に入った機人(きじん)が右手を振り下ろしていた。その右手はまるで刀のようだ。

「えっ……?」

 妙な音がしたと思い振り返った少女が視たのは、自分に対して何かを振るう機人の姿だった。


 少女は斬られる。

 左肩と左腕が離れてしまうほどに深く。

「……不思議。以外と痛くない……短い人生だったな……あ、私の左腕が見える……」

 とめどなく溢れる血が、少女の雪のように白い肌と髪を深紅に染めていく。

「存命を確認……人間……削除」

 少女が最後に視たのは自分の頭に向かって刀を振り下ろす機人の姿だった。

「……?」

 いつまでたってもいっこうに斬られる気配がないので目を開けてみるとそこには、黒い甲冑を着た人が機人の刀を太刀で受け止め立っていた。

「……やっと、目を開けたか……娘。その怪我でも走ってここから離れるぐらいは出来るだろう。逃げろ」

 甲冑を被っているせいなのだろうか、甲冑を着た人から聞こえる声は籠っているため、女性なのか男性なのかすら判断がつかない。

「わかりました……痛ッ!」

 先ほどまでは死を覚悟していたから痛みをあまり感じなかったが、今はとても痛い。

 それに、いまだに左肩からは血がとめどなく溢れてきている。

「チッ!仕方ないな……」

 甲冑を着た人は舌打ちをすると、機人に対して小さなボールのようなものを投げる。

「ガァa……アガァ…………」

 小さなボールは機人に着弾すると青白い光を放ちながら爆発する。その、光に触れた機人は動きが鈍くなった。

「……えっ?うわっ!!」

 甲冑を着た人に急に抱えられた私は驚いてしまい、声をあげてしまう。

「うるさいぞ!ガキ!!少し、黙ってやがれ」

「は、はい」

 私はこの甲冑を着た人に抱えられて近くの村まで連れていかれた。村に着くまでの道中、甲冑の人に「肩を治療してやる」と言われて薄く発光した謎の液体が入った注射器を肩に刺された。

 普通に痛い。それも、かなりの痛さ。でも、不思議と左肩の出血は止まっていた。

「あの~」

 恐る恐る甲冑の人に声をかける。

「なんだ、チビ娘」

「ありがとうございます」

「ふん、そんなことか。別に大したことではないから礼などいらん。それに、お前と話したいこともできたしな」

「え?ああ、そうなんですか」

「そう、チッ‼しつこいな‼」

 甲冑の人の横を何かが通り過ぎる。

「なに?あれ」

 と、疑問に思っている間に先ほど通り過ぎたであろう物が着弾した地面から青色のレーザーのようなものが四方八方に飛びちる。

 甲冑の人は飛んでくるレーザーを縦横無尽に動き回り避ける。

「チッ、めんどくせいぜ‼あの個体、戦略兵器系の武器も搭載してやがったか‼」

「くっ、さすがに全てはよけきれないか」

 そういって、レーザー攻撃を避けた甲冑の人は片手で私を支えて、肩口を押さえる。

 その肩口からは、血液が溢れ出していた。

「あの?大丈夫ですか」

「アァ⁉こんな傷、掠り傷にもなんねーよ」

「でも、肩から血が……」

 血が出ていると言おうしたが、甲冑の人の肩から溢れ出していた血はもうすでにとまっていた。それどころか、レーザーによって空いていた傷穴すら塞がりかけている。

 このとき私は、この人は普通の人間じゃないと確信した。

「あ?何見てやがる」

「いや、その」

「ああ、いい。それよりも、少し耳を塞ぎなチビ、少し大きな花火がなる」

「チビじゃないんですけど……」

 小声になってしまう。一応、耳も塞いだ。

「よし、塞いだな。いっちょ派手にいくぜ‼」

 甲冑の人が何をしたのかその時の私には判らなかった。その現象が何かというのが分かったのは少し後のことだ。

「えっ?」

 甲冑の人の右手が輝いたかと思うと、その手は人の手ではなくなっており、鋭い刃となっていた。

機滅太刀(きめつたち)、一ノ機構『居合一閃(いあいいっせん)』」

 甲冑の人がすごい速さで動いたということは分かった。

 ガシャリと鉄屑が落ちる音がした。

 目を開けてみると、甲冑の人の足元には、先ほどまで私たちを殺そうとしていた機人の亡骸が転がっていた。

 胴体を綺麗に真っ二つにされて。

「よし、片付いたな。それじゃ、向かうか」

「……」

「なんだ、しけたつらしてんじゃねーぞ、チビ娘」

「……チビじゃない」

「ほう~言うじゃないか、じゃ、名乗ってみなチビ」

「チビじゃない‼私の名前は、ネーヴェ‼ネーヴェっていう名前がある。お父さんとお母さんがつけてくれた大切な名前がある……」

「……ネーヴェね~。面白い名前だな、そうか、ネーヴェか……」

 甲冑の人は少し間をおいて、私にこう言ってきた。

「それじゃ、ネーヴェ。お前、私の弟子にならないか?」

「え?」

 甲冑の人の急な申し出におかしな声を出してしまったネーヴェ。その顔は、おそらく誰が見ても間抜けに見えたであろう。

「あ?なんだ、その間抜け顔は。弟子だよ、弟子、お前を弟子にするといったんだ」

「え?どうして?」

「どうしてか……ネーヴェ、お前、生きる理由がないだろう」

 私を見下げながら甲冑の人はこちらを見つめてくる。

「それに、さっきの言い方だとお前、両親を亡くしているな?」

「……」

 私は小さく頷く。

「だからだ、お前に生きる理由を作ってやろう。私の弟子になって機人を殺さないか?」

「でも……私、強くないよ?」

「はぁ~‼そんなのわかってる、それはあれだ、修行をさせるから問題はない」

「私、途中で諦めちゃうかもよ?」

「あぁん‼大丈夫だ、お前がさっきみたいに生きるのをやめようとしたときは無理やりにでも連れ戻してやる」

「私、皆に可笑しいって言われてるよ」 

 私は両親が機人に殺されてから感情が希薄になったせいで、同年代の子供から気味悪がられていた。

 人形みたいだと……


「はっ‼今の世の中おかしな奴しかいないから安心しろ」

「でも……」

「あぁ~~‼ネーヴェ‼自分を否定するのはやめろ‼ネーヴェは、ネーヴェだ‼それ以上でもそれ以下でもない、たった一人しかいない存在なんだよ‼ネーヴェは‼他人の視線や意見がなんだ‼私は今‼ネーヴェ自身の意見を聴いている‼それともお前は、本当に他人が言う通りに人形のように意思を持ってないのか‼」

「……」

「なぁ、ネーヴェ。お前はどっちがいい、機人を殺すほどの力を手に入れるのと、何も力を持たず先ほどのように弱く、されるがままに殺される自分。お前は、どっちになりたい?決断しろ‼」

「私……私は、力が欲しいです。あの時、両親を守れなかった弱い自分を変えるために‼」

「よく言った。ネーヴェ。……っと、さすがに疲れたか。今は眠れ、ネーヴェ」

 ネーヴェは疲れがピークにたっした、ためか眠ってしまう。

 地面に倒れ伏す瞬間に甲冑の人が支えてくれたおかげで頭を打つなんていう悲劇、いや、喜劇的な状態には、ならなかった。

 スヤスヤと寝息を立てて眠る姿はまるで小動物のよう。

 

 『まるで、雪の中で眠る雪ウサギの如し』


 この雪ウサギがのちに世界を変えるほどの力を持つことを本人を含め、誰も知らない。

ただ1人だけ、この娘に対して可能性を感じた甲冑の人以外。


自分の胸の中でスヤスヤと眠るネーヴェを優しく撫でる甲冑の人。

「私の全ての技術をお前に教えてやろう。後継者として……はたして、入団試験にネーヴェは耐えられるだろうか?いや、その前の段階を越えられるかも心配だな」

ネーヴェを撫でる甲冑を着た人の手は優しく、慈愛が込もっていた。

「スゥ~スゥー」

 

--現在公開可能な情報--

-主人公名前-

・ネーヴェ

-性別-

・女

-年齢-

・18歳


-外見特徴-

・雪のように白い肌、髪をしており、髪の長さは肩より少し下くらいの長さである。

・目の色は透き通るような白色である。

・表情にはあまりでないが、内心では色々と考えている。


-身長-

・ 160cm


-体重-

・55kg


-趣味-

・夜空を眺めることが好き。


-備考-

・両親は小さいときに機人によって殺されている。

両親が時間を稼いでくれたお陰で通りかかった機殺星団のハンターに助けられる。その後、近くの村にある孤児院に届けられその孤児院で幼少期を過ごすが、しかし、両親を目の前で殺されたショックから、精神が鈍感になり他者とあまり馴染めなかった為、孤児院では基本的に1人で過ごしていた。

・その外見から、人拐いに拐われそうになったことがある。しかし、胸元に常に隠している両親の形見ナイフで容赦なく人拐い(男性)の股間に付いているものを刺し、ショック死させた経験を持つ。

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