第五十プラン ディスコード
*前回のあらすじ*
刀を回収された。
***
「リバー、ここに「反転」の板を貼って」
「うん、「反転」」
壊された壁は『雲』と『糸』で作り、そのカバーとして反転の板を貼る。
…………前の壁よりも耐久度は上がったかもしれない。
日が落ちてからしばらく時間が経つ。この闇の世界ではアイツらを探すことなんて出来ないし、拠点も分からなければ攻めることも出来ない。明日あさイチで探すためもうそろそろ寝ようとしているのだが……
「ほら、そろそろ寝るよトウカちゃん」
「やだゾ!!!夜刀を取り戻さないと、二度と会えなくなっちゃうんだゾ!!!」
トウカの言うことはもっともだ。ここで逃がしたら二度と会えることは無いだろう。
売られたりしたら取り返しがつかない。何としてもその前に刀を取り戻さないといけないし、壁の修繕費も出してもらわないと困る。
魔力で治ったが、目立ちすぎだ!!!もっと普通の壁がいい!!!
━━━━━トントントンと━━━━━━━
ドアがノックされた。
警戒しながらドアを開けると、ちょび髭を生やしてシルクハットを被ったオッサンがいた。後ろには護衛か、剣を、武装した人が何人かいた。
オッサンは一歩前に出てこう言った。
「夜分遅くに申し訳ない。……私の名前はコード。ディスコード商会の商人です」
「………………なんでここに来た?ディスコード商会の奴がここに来るには何か理由が無ければ来ない。何故なら攻撃されるかもしれないからだ」
そう言いながら手に雲を纏わせる。いつでも戦闘に移行できるように。
「理由はですね、私に利益があると思ったからですよ」
「え?」
━━━━━━と間抜けな声を出した俺を見てコードはニヤと笑った気がした。
「少し部屋の中で話したいのですが、いいですかな?」
「……入るなら荷物をこちらで預からせてもらうし、護衛は違う部屋にいてもらう」
「……いいですよ」
と彼は手に持った鞄を出てきた。護衛は違う部屋に進んだ。
「お前ら……大事な客だ。気をつけろよ」
「え?」
「は?」
「え?」
「え?」
部屋に居た人達が全員間抜けな声を上げた。
***
「どうぞ、粗茶ですが」
「ありがとうございます……うん、美味しいですね」
「そうですか?ありがとうございます」
とレルはお盆などを片付け席に座る。
主要メンバーが揃った。
コードと俺、レル、エレン、リバー、トウカ。その五人が一つの机を囲む。
皆、ディスコード商会のことがあってか少しピリピリしてる気がする。
「夜分遅くに申し訳ない。私はディスコード商会の商人、コードと言います。よろしくお願いします」
「!!!」
ディスコード商会と言ったところで皆が反応した。
が何とかみんな抑えたようだ。
「どうして来た?なんのためにわざわざ」
「それは依頼を受けてもらうためですよ」
「依頼」
「はい、依頼の前に少しお話を。
私は今の環境に不満を感じているんです。
今の環境は簡単に言えば…………そうですね、私は会長に不満を感じているんです。
だから会長をどうにかして、無力化して、会のテッペンになりたいんです。そのチャンスが今だと思い動いたんです」
「なんで今だと?」
「あなた達だからですよ。もしかしたら会長の手先を倒せるかもしれない。それが可能と思ったからです」
「理由は?」
「商人としての"カン"ですよ。ハズレたら私はまずいかもしれないですね」
「ハズレてバレたらまずいのレベルですまねぇよ。商会に追われるだろうな」
「さて、目的は話しました。私は会長の座を取りたいんです。そして私はあなた達に依頼を出したいんです。会長の手先の冒険者を倒す。それが依頼の内容です」
「報酬は?」
「報酬は、そうですねぇ……壁の修繕費を全部に大工の手配です。あと報酬金も出します」
……いい依頼では?壁の修繕費はどれぐらいか分からないが、安くは無いだろう。少なくとも俺達新人冒険者に取っては。それプラス報酬金。
「報酬金はいくらぐらいで?」
「今の所、十万マリモです」
「十万マリモ!!!」
日本円だと十万円だと……。けどなんでこんなに高いんだ?
「相手の冒険者のランクはどれぐらいだ?」
「最高ランクが、Aです」
マジかよ……そりゃあ十万にもなるぜ。
「他にもランクBの冒険者が一人ほど……」
「え?他にもいるのか?俺達が倒す敵は何人だ?」
「ランクAが一人、ランクBが一人、ランクCが一人です。合計三人です」
な!?多いな。ランクAだけでもやばいのに他にも全員が俺達よりもランクが高いなんて……。
「この依頼は受けれない。受けても失敗するだけだ」
「いいんですか?受けなければ刀の在処が分かりませんよ?」
「!?」
マジかよ、刀の位置を知っているのか?
どうする?ヤトを……トウカを見捨てれば俺達は壁を我慢するだけで済む話だ。
刀がどうなろうと関係ない。
関係………………ない………………
無い訳ないだろう!!!
クソが、コイツそれを分かってて言ったんだ。
良心に漬け込むために……トウカの大切な刀を……トウカを見捨てれるのかを!!!
俺達が見捨てて、トウカは一人だろうと探すだろう。しかし一人で見つかるか?一人で取り返せるか?答えは否だ!!!絶対に無理だ。
「いいぜぇ、受けてやるよその依頼。しかし報酬はこちらで決める。
まず、壁の修繕費、大工の手配。これは変わらない。
そして二つ目報酬金は百万マリモだ。これなら受けてやる」
大きく、百万マリモ。どうする?
コードは少し考えて、口を開く。
「いいでしょう、しかし条件があります」
「なんだ、条件による」
「条件は、依頼を達成した後、トウカさんを商会の護衛をして欲しい事です」
「どういうことだ?なんでトウカを?」
「実は私、ドラゴンハートウェポンの話を聞いていまして、そしてトウカさんの刀が珍しいことを知りましたが……トウカさんが居なければ力が出ない刀は無価値です」
「だから力を出せるトウカを護衛にしたいと……」
「ご名答」
とコードはニヤリと言う。
「刀はどうする?」
「刀の場所はディスコード商会の拠点、つまりは敵がいる所にあります。依頼の時に取ってもいいですし、そのままでも構いません。どうするかは任せます」
「成程ね。拠点の場所は?」
「依頼を受けるならば教えますよ。拠点の地図も」
「て言うか、トウカはウチのパーティーメンバーじゃないぞ」
「えぇ、知ってますよ。しかし彼女には選択肢は無いですから」
「そうかい。どうする、トウカ。この条件で依頼を受けるか?受けるなら一緒にやるな」
「私はある条件が良ければ受けるんだゾ」
「ほほう、その条件とは?」
「商会の護衛は世界中を歩けるか?」
「歩けますよ」
「なら受けるんだゾ。刀が今無いのは私の力不足なんだゾ。だからみんなの力を借りて取り返すんだゾ」
「そうですか、ではクモさんのパーティーとトウカさんは依頼を受けてくれますか?」
「 「 「 「 「おう!!!」 」 」 」 」
俺達は依頼を受けることになった。




