第三十八プラン 幽霊の守りごと《ゴーストルール》その五
*前回のあらすじ*
ゴースト合体!!!
***
クミは攻撃の準備をしている。仕掛けるなら今!!!
クミに向かって叫ぶ。
「へぇい、クミさんよぉ!!!顔歪めちゃってどうしたの?綺麗な顔が台無しだよ?」
俺の言葉にクミはキレる。
「うるせぇ!!!冒険者が!!!なんのつもりだぁ!!!」
「そんなに怒るなよ、カルシウムが足りてないんじゃない?とりあえず「雲」
クミを挑発しながら、雲を出し、腕に纏う。纏った雲の大きさは巨大な拳。クミにとっては忘れない一撃を放った拳だ。
この拳を見たクミは無視出来ないはず。
「行くぞぉ!!!クミィィィ!!!「長く加速する……」
雲を限界まで、後ろに伸ばす。一撃で仕留めるために……。
その姿を見て嬉しかったのか、クミの顔に笑顔が宿る。
「再装填完了……残念だったね!!!私の勝ちよ!!!「幽霊達の泣き声」!!!」
強力無比な斬撃が、俺一人に向かってくる。これを待っていた。奴が油断して、俺一人を狙うのを、そのための挑発。そのための技。
あとはアイツしだい。
俺は仲間の名前を叫ぶ。
「リバァァァーーーーー!!!」
「反転」!!!」
透明な板が、俺と斬撃の間に出てくる。一点に集中した斬撃を板は全て受け止め、反転する。
つまり、反射。クミが飛びした斬撃はクミ自身に帰って行く。
「何ィィィィィィィっ!!!」
最高の威力、その一撃をクミ自身が受け止める。クミの腹部に斬撃が飛び、ポッカリ穴が空いている。それほど斬撃の密度が高かったのだろう。
そしてトドメの一撃は残っている。
詰みだ。
「……巨大な雲の拳」!!!」
加速した巨大な雲の拳はクミの頭部を捉え、クミを吹き飛ばす。吹き飛ばされたクミは墓標に当たって止まった。
***
皆で集まり、クミの所に向かった。
飛ばされたクミの所まで行くと、たくさんの幽霊達がクミを囲んでいた。合体は無くなったようだ。そしてクミは生きてはいるようだ。しかし消えかけている。
もう長くはないようだ。俺が着たことに気づいたのか、クミが手を目に当てる。
「クソ冒険者め、最後までお前の面を見なちゃならないのか?」
「まぁ、そうだな。俺達はお前らゴーストを退治に来たんだ。そりゃあ最後に見る面だな」
「クソが。せめてほかの者には手を出さないでくれよ。みんな良い奴なんだ」
「断る。全員あの世に旅立ってもらう」
俺の言葉にやっぱりか……とクミは呟いた。
「じゃあ私達の無念を晴らしてよ。そしたらみんな自主的にあの世に向かうよ」
「無念ね。どんな無念なんだ?内容によっては考えないことも無い」
「ここにいる大抵の人はアイツに殺されたんだ」
「アイツって誰だよ。名前を言え」
「アイツの名前は"大罪魔女"の一人、憤怒の魔女、ラミセだ」
まさかの超大物が出てきた。しかし"大罪魔女"ね。確か最低でも街一つは壊滅させている人物が集まる集団。
そのうちの一人だとは。まさかここにいる人達は魔女が名を轟かせた原因の街の可能性があるな。最初に魔女に壊された街……かも知れない。
コイツらの怨みは多分魔女に街ごと殺された事だ。しかし肝心の魔女がどこにいるかも分からない、お手上げだ状態だ。
「お前らの相手はわかった。しかし魔女がどこにいるのかも分からない今、どうすることも出来ないんだ」
「探して!!!」
クミは涙を流しながら、訴える。
「探して……地の果てまで追っかけて……そして、そして殺して!!!お願い……私はアイツを許せない……それはここにいるみんなも……だからみんなで決めたの……ある守りごとを……魔女を殺すまで、みんなで力を合わせて生きようって。だから危険を覚悟して、みんな合体して力を高めた」
それがあの合体か。下手したら死ぬのかな?あれ?
「けどその守りごとも果たせなかった。魔女の前にあなた達にのよって。だから守りごとを壊したあなた達にお願いするの……魔女を……憤怒の魔女、ラミセを殺して……」
その訴えは誰も彼もラミセに殺されたこと、それを防げなかった自分を呪っているように聞こえた。憎悪という呪いに……。
「じゃあ条件を緩くしてくれるなら、いいよ」
「条件?」
「そう、条件だ。俺が最大まで譲れるのは……そうだな。
"大罪魔女"を出来るだけ、探す。もし見つけたら、殺すかどうかは俺に任せるってのはどうだ?」
クミは俺の言葉を聞いて口を開いている。
「は?……何その条件……ふざけてるの!?」
「それはこっちのセリフだ。立場を考えろよ。願いを聞いているのはコッチだ。別にコッチはお前らを退治出来ればいいんだ。願いは聞かなくてもいいんだよ」
俺の言葉に、クミは唇を噛む。
「分かったか?その条件でいいなら受けよう」
クミは苦虫を噛み潰したような表情で言う。
「いいわよ、その条件で受けてもらうわ」
「じゃあ、自主的にあの世に行ってくれ。見てるから」
「あぁ、そう言えば、アンタの名前を聞いていなかった。お名前は?」
答えるか悩むんだが、結果答えた。
「天乃雲だ」
「そう、アマノクモ。いい名前ね。そして守りごとを……ちゃんと守ってね。守るからこそ意味があるのよ。あと気を付けておきなさい。たまに後ろから斬撃が飛んでくるかもね」
そう言いながらクミは天に昇って行った。ほかの幽霊もクミに続いて行くように昇って行った。全員が行く頃には日が傾きかけていた。
……まさかアイツ、俺の背後霊に?怖っ。そんなことを思いながら、その後全員の幽霊が出て行ったか確認した後、墓地を出て行った。
何とか依頼を達成した。そして、無事ギルドに着いて報告した。
"大罪魔女"憤怒の魔女ラミセさんはこんな復習の対象にする気じゃなかったけどいい人が見つからなかったので、役割が与えられました。




