第二十三プラン 冒険者
*前回のあらすじ*
ダンジョン行くぞ!後アイツはちゃんと反省した方がいい。
***
朝目を覚まし、ダンジョンに行く用意をする。宿を出る前に最終確認。忘れ物をしたら下手したら命に関わる。
出かける前に少なくとも三回は確認する。
「よし、行くか」
俺達はダンジョンに向けて歩を進めた。
***
現在第七階層。
ダンジョンの第七階層にはミノタウロス他、強力な魔物が出てくるが、なんとかなっていた。
しかし第七階層の魔物は強い。それよりも強くなるのを考えると……とても第八階層には行けない。
そこで俺は提案した。
「そろそろ第七階層が終わって第八階層だな。どうする?そろそろ帰るか?」
「あぁ、もう帰ってもいいかもしれない。しばらくは第七階層で戦って少しでも強くなってから第八階層に向かうのがいいと思う」
「私も賛成」
そうして俺達は帰ろうとしたら……ビキビキと絶望を呼ぶ音が聞こえてきた。
ビキビキと音が聞こえたのは俺達が行こうとする反対の道。つまり、帰り道の逆の道だ。
壁から出てきたのは体中にブツブツした青い痣?模様?があるミノタウロスだった。
ミノタウロスは俺達を見るとすぐに……
「モオォォォォォーーーーー!!!」
と咆哮をした。そのままミノタウロスはこちらに歩き始めた。
「来るぞ!ミノタウロスだ!どうする!?」
迎撃する!?それとも……。
そう考えているとエレンとレルが口を開いた。
「ここは……」
「あぁ……」
「 「逃げる!」 」
二人共ハモって答えた。その答えを自信満々に答えて欲しくないんだけど……。
俺達は帰りの道を走って行く。ミノタウロスに追いつかれないように。逃げれるように。しかし現実は理不尽だった。
帰りの道、その先に……二体のミノタウロスがいた。曲がり道はない一本道。逃げ場は無い。三体のミノタウロスに囲まれたのだ。
一人一体のミノタウロスを撃破しなくてはならない。戦わないにしても少なくとも三体のミノタウロスの隙を見て逃げ出さなくてはならない。
絶望的と言ってもいい状況の戦いが始まる。
***
前にいるミノタウロスを見て直ぐに次をどうするか話し合う。
前のミノタウロスはこちらにまだ気づいてないようだったが、気づくのも時間の問題だろう。このまま通り過ぎるのは無理だなと悟る。
「クソッ!!!なんで二体のミノタウロスが前にいるんだよ!!!」
「嘆いている場合じゃないよエレン。どうする!?」
「戦うしかねぇ!!!しかし肝心なのは誰が後ろの奴を引き受けるかだ。後ろで奴からの攻撃を止めなきゃならねぇ」
「…俺が後ろの奴と戦うよ」
俺が手を挙げた。
「……分かった。今は時間がねぇ。クモ、頼んだぞ」
「私とエレンが前のミノタウロスをどうにかして倒す、倒したらクモに合図を送る。そしたら後ろのミノタウロスにクモが足止めをさせてから皆で逃げる。例えば「巨大な雲の拳」とか。これでいい?」
穴だらけだろう。ミノタウロスを一人で足止めするという無茶な事が前提の作戦。
しかしこれが冒険か。成功するか分からない。道を進んだ先は絶望か希望か。進んでみるまで分からない。コレが冒険か!
「俺達の初めての冒険だな。生きて帰るぞ!!!」
「 「おう!!!」 」
声を出し、士気を高める。ミノタウロスは戦闘態勢を取っている。前のミノタウロスもこちらに気づいた。
「 「 「モオォォォォォーーーーー!!!!!」 」 」
三体のミノタウロスの咆哮が試合開始の合図だった。
***
作戦通り、俺は青い模様を持ったのミノタウロスを相手にする。青い痣を持ったミノタウロスだ。マナ武装をして、構える。
ミノタウロスは斧を振り上げ、構える。しかし隙だらけのその動作を見逃しはしない。
「隙だらけだぜ!「加速する雲の拳」」
俺の拳はミノタウロスの腹に食い込み、ダメージを与え、ミノタウロスはそのダメージに怯む。怯んだ隙に、さらに追撃を加える。
「まだまだぁ!!!「加速する雲の蹴り!!!」」
ミノタウロスの横腹に蹴りはヒットし、ミノタウロスは攻撃を当たるのを避け、距離を取る。
距離を取ったミノタウロスに追撃を与えるため構える。手を地面に付け、クラウチングスタートの如く構えを取る。頭には雲の鎧を纏い、準備する。
「ビビってんのか?ならこっちから行くぜ!「加速する雲」」
クラウチングスタートの体制から足を踏み出す瞬間に『雲』を使い、思いっきり加速する。加速した体はまるでロケットの如くミノタウロスに突っ込んだ。
ミノタウロスの腹に頭突きを食らわせ、ミノタウロスの胴を掴み、自分の体を縦回転させる。そのままサマーソルトみたいに回転してミノタウロスの顎に蹴りを食らわせる。顎に急な衝撃を受けたミノタウロスは脳が揺れたのかゆらゆらと隙を晒している。
その隙を有難く利用させてもらい、更なる追撃をする。
「加速する雲の拳!!!」
ミノタウロスの芯を捉えた感触が拳から脳に伝わってくる。
「モオォォォォォーーーーー!!!!!」
ミノタウロスは怒ったのかそれとも俺を脅威と認めたのか。どちらかはともかく、咆哮を上げた。そのまま、ミノタウロスは斧を振るった、振るいまくった。ミノタウロスの猛攻が始まったのだ。
振るわれた斧は速く、必殺の威力を持ってる。なんとか回避が出来るがこれよりも速くなったら……。そう思っているとミノタウロスの斧のスピードが急に上がった。スピードが急に上がった斧を少しは避けたが完全に避けきれず斧の一撃は俺の右横腹を深く切り裂いた。
ブシュウと血がドバドバと出てくる。切られた部分が熱い。しかし痛みを我慢しなければミノタウロスの斧を更にくらい、全身が切り刻まれる。
「クソッ!痛てぇ!!!」
痛みから少しでも逃げようと、叫ぶが、効果は薄い。傷口がドンドン熱くなる。もしかして痛みが熱さに変わっているのか?
「モオォォォォォーーーーー!!!!!」
ミノタウロスは俺の血を見て興奮したのか咆哮を上げる。
「クソがァァァ!!!まだ死んでたまるか!!!」
ミノタウロスは獰猛な笑みを浮かべる。その笑顔に恐怖を得るが、そんなものは捨て置け!!!とりあえず治療して、闘志を引き出して、目の前の的に集中する。
傷口に雲で被せて、血を止血する。しないよりはマシだろう。しかしミノタウロスの猛攻は止まらない。全力で避けるのでポーションを使う暇が無い!!!
ミノタウロスの攻撃を避けていると顔に水が当たった。
何故水が!?
驚いていると、ミノタウロスの体から水が出ていたのだ。
その事に驚きながらもこのミノタウロスは少し特殊な存在。魔力を持つ魔物を確かマナモンスターだったか。
コイツは魔力を持っていて、それが水なのか。そして加速したってことはもしかして…………そうして観察すると斧を振るう時、水を出して加速している。
恐らくコイツは俺の真似事をしているんだ。『雲』を出して加速する俺と同じように、水を出して加速させているんだ!
マジかよ。強くなったのは俺のせいかよ。厄介だな。しかし死ぬつもりは毛頭ない。
しかしどうする。攻撃を避けれてはいるが、体力の限界が来るし、その前に倒す方法は…………。出し惜しみをしている場合じゃあ無い。
反撃だ!!!
「クソ牛が!!!「雲」」
体全体から雲を発生させて、ミノタウロスの視界を奪う。
ミノタウロスは斧を振るい、雲を切り払う。
その間に、また「雲」をする。そして腕に纏わせて、巨大な拳が出来上がる。その拳にマナ武装する。
「くらえ牛!!!「巨大な雲の拳」」
その巨大な拳はミノタウロスを捉え、殴り飛ばす。ミノタウロスはダンジョンの壁に激突する。ダンジョンの壁が少し崩れ、ガラガラと音を立てながら落ちていった。その音と共にミノタウロスは地面に落ちた。
「よし、今のうちにレル達の援護を……」
ミノタウロスを視界から外すと、後ろからガラガラと音がなった。振り向くと青い痣を持ったミノタウロスが立っていた。
「モオォォォォォーーーーー!!!!!」
まだ俺は生きているぞ!!!そう言いたそうな咆哮だった。俺の切り札と言える技をくらい、立っているミノタウロスに少し戦慄しながら構えた。
俺とミノタウロスの戦いは第二ラウンドに入った。




