第十九プラン ダンジョン探索その二
*前回のあらすじ*
ダンジョン探索始めました。
***
オークを倒し、魔石を回収して進んで行く。魔物は階層事に出てくる魔物は決まっている。しかし異常事態が起きる事はあるので確実とは言えないが。
そんなことを思っていると、前から大量の羽音がした。
「この羽音は……」
「ガブトンの群れだ!」
ガブトン。それは簡単に言えばでっかいカブトムシだ。
体長五十センチ位のカブトムシだ。それが群れで突撃してくる。ブゥーンと羽音がダンジョンに木霊する。
「クモ!!!」
「任せとけ!「雲の壁」」
エレンの前に、雲の壁を作り、ガブトンから身を守る。カブトンはそのまま突っ込み、雲の壁を突破出来ずにいる。
ガブトンが突っ込んでいるので、雲が膨らんでいるところがある。にしてもコイツら全力で来ているのか?強い!
「エレン!レル!長くは持たないぞ!」
「おう、任せとけ!「強打!!!」」
「私も行くよ!「糸の拳!!!」」
エレンとレルが魔力を使い、雲が膨らんでいるところを殴って行く。そこにはガブトンがいるため一方的に殴れる。それをしばらく行い、ガブトンを全滅させた。
「はぁ……疲れた。安全だが、マナの消費がヤバイな」
「確かに。とりあえず魔石を回収するぞ。にしても強かったな」
「クモ、そんなに強かったの?とりあえず、私は周りを見張ってるね」
レルが周りを見張ってる間に、俺とエレンが、魔石を回収して行く。
受付さんからのアドバイスで聞いたことを思い出す。魔物と戦う時は複数人で一体の魔物を相手にすること。周りの地形を利用すること。パーティーで連携を取る。無茶はしない。etc.。
受付さんのアドバイスを思い出し、少なからず順調に進んでいると思い、顔に笑みを浮かべるが、異常事態が発生した。
「クモ!エレン!なにか来る!!!」
レルの声で、魔石を拾うのを止め、戦闘態勢に入る。
しばらくするとズシン、ズシンと足音が聞こえる。
それは突然に、あたかも普通であるかのように、平然とそこを歩いていた。ズシン、ズシンと足音が響くが、その音が奴の重さを示している。
そしてその足取りからも自分が強者である事を自覚しているようだった。
自分は死なないと。そう思っているように感じた。
牛の顔、筋骨隆々の人の体を持った魔物。そして第七階層から第十層に出現する魔物。
ミノタウロスがいた。
ミノタウロスは迷宮武器の片手斧を持っていた。斧には赤い血が付着し、ぴちゃんぴちゃんと静寂の中音を立てていた。
さっきのガブトンが強かった理由がわかった気がする。コイツから逃げていたんだ。コイツが居たから、逃げたいから全力で来ていたんだ。
「行くぞ!コイツを倒して、帰るぞ!」
「 「おう!!!」 」
ミノタウロスとの戦いが始まった。
***
先制攻撃を仕掛けたのはこちらだった。ミノタウロスまでの距離は約五メートル。俺が突っ込んで行く。
「「雲の手」とマナ武装!」
前腕の部分に雲を纏い、マナ武装をする。
「モオォォォーーーーー!!!」
ミノタウロスはこちらに気が付いたのか、雄叫びをあげる。そのまま、斧を振るう。
「食らうかよ!!!「加速する雲の拳!!!」」
振るわれた斧と俺の拳がぶつかり合う。俺の拳は斧に切られることなく、斧を弾き飛ばした。ミノタウロスの体は大きくのけ反り、弾き飛ばされた斧はダンジョンの奥に飛んでった。
その隙をレルが逃す訳なく、追撃を叩き込む。
「糸の剣」
短剣に糸を纏わせ、刃が長くなっている。そのまま、ミノタウロスの腹を切るが……。
「なっ!止まった!?」
レルの驚愕する声が聞こえた。剣が途中で止まったのだ。ミノタウロスの防御力が「糸の剣」を上回ったのだ。
ミノタウロスは拳を握り、レルを攻撃しようとするがエレンが突っ込んで来た。
「強打!!!」
エレンはミノタウロスの顔面に蹴りを放ち、その威力にミノタウロスは倒れた。
「レル!今のうちに離れろ!まだ倒した訳じゃねぇ!」
俺達が離れるとミノタウロスは起き上がった。
そのまま距離を取り、俺達とミノタウロスの距離は約二十メートルくらいだ。
ミノタウロスは両手を地面に付け、足を、手で地面を踏み締め、頭を低く構える。臀部の位置が高く上がり、四つん這いになるのは猛牛を思い浮かばせる。
そしてその構えは……。
「来るぞ!ミノタウロスの切り札だ!」
ミノタウロスの切り札である、突進。その巨体と筋肉から出される突進は強力な一撃を叩き出す。
「俺が止める!エレンとレルはトドメをさせ!「雲」」
体から雲を出し、右腕に纏わせる。
「 「おう、任せとけ!!!」 」
「モオォォォォォーーーーー!!!!!」
咆哮と共にミノタウロスが走り出す。全身の筋肉を総動員して、進む力に全てを使う。あっという間に距離が無くなる。
「巨大な雲の拳!!!」
ミノタウロスの角と俺の拳がぶつかり合う。ギチギチと音を立てながらお互いの動きが硬直する。
「今だ!!!」
「強打!!!」
「糸の拳」
レルとエレンの一撃がミノタウロスの腹を抉る。二人の攻撃によって後ろに後退する。エレンはその隙を逃さず、追撃を叩き込む。
「強打!!!」
エレンの一撃はミノタウロスにアッパーカットを顎に決める。
「エレン!俺が決める!」
ミノタウロスの防御力は高い。今の俺達では戦闘中に首を切れない。なら殴って気絶させる!
右腕の雲を動かし、左腕に!
「巨体な雲の拳」
ミノタウロスの体を捉え、ミノタウロスは吹っ飛び、ダンジョンの壁に叩きつけられた。
ミノタウロスはぐだっと倒れ込んだ。気絶したのだ。その後、ミノタウロスを拘束し、首を切って魔石に変えた。
その後無事にダンジョンから帰還した。