第十六プラン ヒバナの街、到着
*前回のあらすじ*
ダンジョンに行くぞオラァ!!!
***
ガタガタ揺れに揺れる。俺は今、馬車に乗っていた。
「ウプっ……気持ち悪い……」
そして吐きそうになっていた。
「クモって馬車に弱いのね。あと膝の上で吐いたら許さないからね」
俺はレルに膝枕をしてもらっていた。酔いを少しでも和らげる為に…………別にやましい気持ちはない。
「クモは馬車に初めて乗るんだな。俺は結構乗ったぜ。てか冒険者の基本の移動は馬車だぞ?これからが心配だな」
俺はエレンの言葉に顔を青ざめる。
「お、青くなってやがる。馬車嫌いかよ」
エレンの言葉に頷く。
「まぁ慣れるしかないね」
そう言いながらも馬車はガタガタと進んで行った。
俺達は商人の馬車の護衛で雇われている。商人の名はドア。俺達は新米も新米だか、ここら辺は強い魔物は出ないらしく、俺らぐらいでいいらしい。
ガタガタ馬車が進んでいると商人が声を張り上げて言った。
「冒険者さん、魔物が近づいてきましたよ!倒して下さい」
商人はそう言って馬車を止めた。
「分かりました。ほら、魔物倒しに行くよ、クモ退いて」
レルが膝枕から退くように言われたので退いた。
「じゃあ行ってくるね」
「クモはお留守番だな。行ってくるぜ」
そう言ってエレン達はは馬車から飛び出して行った。
***
「いや〜、余裕だったぜ」
エレンは魔物の素材を持って来た。服には魔物の返り血と思えるものが着いていた。
「ねぇークモ聞いて、エレンがほとんどの魔物を倒しちゃたんだよ?酷くない?」
何が酷いのか知らないが頷いた。ここで機嫌を損ねると膝枕をしてくれないかもしれない。
「じゃあ行きますか」
商人はエレン達が乗ったのを確認してから馬車を進めた。
***
馬車に乗り、一日過ぎた。思ってたよりも時間がかかった。しかしその間、魔物に襲われたのは二回だけだった。
ほんとに魔物が少ないんだな。そんな事を思っていると、デカい塔が見えた。
「冒険者さん、見えました。"ヒバナ"の街です」
ヒバナの街は十メートルはあるだろう壁に囲まれていた。しかしそんな壁に囲まれていても見える物があった。それは塔だった。一本、天まで届きそうな程デカい塔がそびえ立っていた。
「あのクソでけぇ、塔が噂のダンジョンか」
「そうだけど少し違うよ。ダンジョンは地下にあって、上の部分はダンジョンの"蓋"の役目を持っているらしい」
そう言ったのはレルだった。
「"蓋"?」
「そう、ダンジョンは魔物が生み出される場所だからね。その"蓋"なんだよ」
「にしてもダンジョンはいつからあるんだ?」
エレンがレルに疑問をぶつける。
「知らない。けどダンジョンは生きていると言われているそうだよ」
「生きている?」
「そう、自然発生したのか知らないけどね。そしてダンジョンに人々が困っていると精霊が助けてくれたらしいよ。その助け、それが"蓋"。"蓋"は精霊によってされたらしい。街の名前のヒバナは"蓋"をした精霊の名前から来ているらしい」
物知りなレルに俺はさらに質問する。
「へぇー、ダンジョンはいくつあるの?」
「今あるのは五つ。人類国家のヒバナ、魔王国のアース、獣王国のゲイル、仏の国のディープスィー、和の国のシュテンの五つだよ」
「冒険者さん、もうヒバナの門に着きますぜ?」
俺達が話していると、商人が声を掛けてきた。商人が言った通り門は目と鼻の先だった。
「あぁ、済まない。では門に入ってから依頼達成書を貰おう」
商人の言葉にレルが返事をする。
「わかりました」
商人もその言葉に頷く。
しばらくして、ヒバナに入り、依頼達成書を貰ったのだった。