第十五プラン 次の舞台
〜祝十五話〜
*前回のあらすじ*
エレンと戦い、勝利した。
***
「はぁー凹む」
「しょうがないでしょう?あれはやばいわ」
凹んだ俺をレルが慰める。
俺は凹んでいた。理由?理由は前に戦ったエレンが原因だ。
あの後、エレンは直ぐに復活し、いろいろ話していた。その中で分かったことがある。それはエレンがマナ武装を知っていなかった事だ。そしてエレンはマナ武装を使っていなかった。つまりはエレンはマナ武装を使わずにあれだけのパワーを出していたわけだ。
確かに俺のマナ武装は未熟も未熟だが、しかしそれでも使ってない攻撃だと、確実に軽減される。なのにあのダメージ。バケモノだ。
まぁ、その力も分かった。エレンの魔力は「強打」能力としてはマナを使う事でパワーを上げる能力だ。しかしその上がりようがヤバイ。
そんなとんでもない程のパワーを発揮する「強打」だが弱点がある。それは一度使うと少しの間「強打」が使えなくなる事だ。
使えない時間はせいぜい二秒くらいだ。しかし「強打」が本領発揮するのはやはり直接攻撃するのが一番だ。エレンは「強打」で全身の身体能力を上げているため隙が大きくなる。
それを克服するためにエレンは頑張っているそうだ。
「たとえ魔力でもあのパワーはすげぇよ」
「まぁね、けどあの魔力。「強打」だっけ?それしか出来ないじゃない」
それは「強打」の二つ目の弱点かもしれない。
単純な身体能力の向上しか出来ない。他の例えば俺のように雲で鎧を作り出すとかは一切できない。そういった工夫ができる事が少ないのだ。あるとしても力の調節や力を使う場所を決めるぐらいだろうか?
しかしそれだけの力の分、力の上昇が大きいのかもな。
「でもよ、「巨大な雲の拳」を弾かれるのはショックだぜ」
「あれはアンタの一番強い一撃だもんね」
俺の最強の一撃を弾かれたのだ。これからはもっと強くならないといけないな。
「どうしようかな?何か無いかな。強くなる方法」
「簡単に強くなるだったら誰も苦労しないよ」
「いい所を紹介しようか?坊主達」
俺達の会話に入ってきたのはゴーゴさんだ。また何かを飲んでいる。にしても聞き捨てならない言葉を聞いた。
「強くなれる方法あるんですか!?」
「あるにはある。危険だけどな。場所は、ここから南西にある街に"ヒバナ"と呼ばれる街がある。その街にはダンジョンがあってそこならお前らの修行には丁度いいだろうよ」
ダンジョン。それは冒険者達が幾度となく挑み、死者を出し続けた場所。しかしそれでも行く者が後を絶たないのは宝があるからだろう。ダンジョンは魔道具が見つかったりするらしい。それを狙う人が多いとか何とか。
「ダンジョン都市、ヒバナね。確かにいいかもね。クモ、行きましょう!ヒバナへ!!!」
「行くか!!!」
「待ってくれ!!!」
声を出したのは前に戦ったエレンだった。
「エレンも行きたいのか?」
「あぁ、そこでマナ武装の修行をするにはちょうどいいだろう?仕方はクモや、レルがいるしな。頼む、教えてくれ!!!マナ武装を!!!」
エレンは俺に土下座をした。……この世界にも土下座は存在するんだな。教えるのは……まぁいいか。マナ武装は強くなる為には必要な技術だし。
「分かったよを恥ずかしいから止めろ。教えるのは上手くないかもしれないがそれでもいいならな」
俺の言葉に顔を上げるエレン。エレンに手を伸ばし、引き上げる。
「あぁ、頼む」
「あの〜〜〜、クモ?勝手に決めないでくれる?」
レルがジト目で睨んでくる。
「いいじゃん!ダンジョンは初めてなんだから戦力はあった方がいいだろう!?」
「確かにそうだけど……まぁいいよ。その代わり私は教えないからね」
「ハイハイ、分かりましたよ。じゃあ準備して行くか」
「おう!」
俺達はダンジョンがある街"ヒバナ"を目指して準備を始めた。