第十四プラン 『強打《スマッシュ》』VS『雲』
*前回のあらすじ*
ゴブリンぶっ殺したった。
***
今は元の世界だと五月ぐらいだろうか?そんな春と言って過言ではない中。冒険者は依頼が大量に来るのでそれを対処するのだが、一部では違うらしい。
「元Sランク冒険者、ナンセの街のギルドマスターゴーゴの弟子がいると聞いた!!!そいつはいるかぁーーー!!!」
そう、こんな奴みたいに。
***
事が起きたのは朝早く、ギルドに入りいきなり叫んだのだ。ゴーゴの弟子がいると聞いた。そいつはいるか?と。
まず俺が思ったのは弟子って誰だ?てかゴーゴさん、ギルドマスターだったの!?Sランク冒険者だったの!?
ゴーゴさんはギルド公認のバケモノでした。
叫んだ奴は青い瞳に金髪で短髪だった。顔立ちは整っている。身長は俺と一緒ぐらいだろうか?服装は篭手に革鎧を着ている。
「おぉーおー金髪坊主、どうした?」
ギルドの奥から出てきたのはゴーゴさんだ。何か飲み物を飲んでいる。
「アンタの弟子がいると聞いた。そいつと戦いたい!!!」
「ほう、お前の名は?」
「俺の名はエレン。冒険者ランクはDだ」
俺よりも一つランクが上だった。
「そうか、いいぜ。俺の弟子と戦わせてやる。いるだろ?坊主!!!レル!!!」
何故俺の名が呼ばれるんだ?俺いつの間にか弟子になっていたんだが?
「ゴーゴさん、なんで俺が弟子なんですかーーー!!!」
ゴーゴさんは俺の言葉にはぁーとため息を吐き、一言。
「坊主よ、一年間修行を教えてたら弟子だろ?」
ゴーゴさんの言葉に思わず頷く。
「てなワケでまずは坊主戦ってこい!何、死にはしない」
「まぁいいですよ。戦ってやりますよ!!!」
戦いを挑まれたのだ。やるしかないだろう。
ゴーゴさんは俺とエレンを連れて訓練場を目指した。
***
訓練場には人が沢山見えた。恐らく、いや、確実に俺とエレンの模擬戦を見るために来たのだろう。
模擬戦をするのだ。エレンと俺の間は十メートル位空いている。
「じゃあさっさと始めるか。武器は使用禁止。魔法もな。魔力と己の体のみ使える。勝敗は俺が決める。わかったか?二人共」
ゴーゴさんは確認するように俺達の顔を見てきた。それに頷く。
ゴーゴさんは腕を上げ、準備する。
「両者いいな?では試合開始!!!」
ゴーゴさんが手を振り下ろした瞬間エレンが動き出した。
エレンは高速で動き、俺との距離を潰した。
あっという間にエレンの射程距離に入ってしまった俺は背中が"ゾクッ"とした。
体が、本能が危険を知らせてくる。
俺は腕をマナ武装してガードの体制に入る。
エレンの体を見ると全身が血管のような赤い線が見えた。その線は全身の隅々まで行っている。そして右腕は最も線が多かった。
「早速行くぜ!!!「強打」!!!」
彼が放った右ストレートは周りにある空気を押しのけ、風を起こす。その腕は俺の顔面に飛んでくる所を腕でガード出来たが、余りの衝撃に体が吹っ飛ばされた。
吹っ飛ばされた体はギルドに突っ込んで行った。ギルドの壁にめり込んだ体を起こしながら考えをまとめる。
なんて一撃だ。まさか体を吹っ飛ばされるとは思ってなかった。しかも腕が痺れる。マナ武装をしてこのダメージ。してなかったらゾッとするぜ。まともにくらえる攻撃じゃあ無い。くらって一撃耐えれるかどうかだな。ならばどうする?攻撃をくらいたくないなら早く倒すのが一番だろ!
「シャレになってない攻撃してくんなぁ。けどこれからだ!「雲」」
体から雲を放ち、その雲を体に纏う。
「雲の鎧」
「おぉ、白い鎧だ!」
エレンが言った通り、「雲の鎧」は雲を纏い、鎧にする。見た目は白い鎧だ。これはこれまでの「雲の拳」や「雲の蹴り」なども放てる上に雲で防御力も上がるのだ。
「最初にぶっぱなして来たんだ!!!こっちも行かせてもらうぜ!!!「雲」からの「巨大な雲の拳」」
雲を腕に纏い、巨大な雲の拳を作り出し、マナ武装をする。巨大な雲の拳は振るわれ、エレンに向かっていく。
「いいねぇ!!!そう来なくっちゃ!!!行くぜぇ!!!「強打」!!!」
エレンは向かってくる黒い巨大な雲の拳を真正面から打ち合った。
お互いの拳がぶつかり合う。
ぶつかり合う拳は余りにも大きさが違う。方や普通の拳。方や人ひとつ分の大きさ。しかしそんなの関係ないと言わんばかりの結果だった。
ぶつかり合う拳はお互い弾かれた。弾かれた拳は宙に浮く。片方は普通の拳。片方は人一つ分の大きさ。隙が大きいのはどちらか。語るまでもない。
弾かれたことに驚きつつ、彼は準備した。
「まだまだ行くぞ!!!「強打」!!!」
彼のが叫ぶと体に血管のような模様が浮かび上がる。右腕にまたも線が集中していた。彼は飛翔と言うべき速度で突っ込んで来た。
体勢が立て直せてない。また来るぞ!どうする?………………一撃で決めるか。
「かかってこいや!!!」
「「強打」!!!」
彼の右ストレートはとても見切れるものでは無かった。だから食らうことにした!!がタダで食らう訳には行かない。左腕でガードを試みる。
「ゴフッ!!!」
左腕でガードは出来なかった。彼の右ストレートは腹を殴打した。マナ武装と「雲の鎧」を並行して使ってもダメージは消さない。むしろこれをしなければ耐えれなかった。
彼は会心の一撃を決めて、喜んでいるだろう。けど勝利する時が一番危険。
「雲の手」
「何ッ!!!」
左手で彼を掴む。と彼も抵抗するがその前に決める。
「加速する雲の拳」
俺の渾身の一撃は彼の顔を見事に捉えた。
彼はそのまま気を失い、模擬戦は俺の勝利で終わった。