第十三プラン ゴブリン退治
*前回のあらすじ*
新たなる知識は新たなる冒険を呼ぶ。
***
「はい、依頼完了ですね!お疲れ様でした。こちらが報酬です」
受付さんからそんな言葉をもらった。そうたった今俺は冒険者として初めて依頼を達成した日である。報酬を受け取り、受付から離れる。
ちなみにこの依頼の報酬は武器と防具だ。冒険者ギルドに頼んであるのでそれを受け取るのである。
俺が頼んだ武器と防具は武器は短剣。防具は革鎧とガントレットだ。革鎧を選んだのは動きやすいからだ。短剣は少しは使える。もしもの時は雲を出して、剣を作るための持ち手的な役割になる。ガントレットは拳で戦うために頼んだのだ。
もらった防具達を着込み、クエストボードに向かった。
「さぁーて、依頼でも受けましょうかね」
一応金は少なからずあるが……心もとない。
クエストボードを見ていると、糸が肩に乗って来た。
糸を辿っていくとそこにはレルがいた。
レルは黒色のローブを来ていた。確かレルも武器は短剣だったかな?
「ねぇ、クモ。一緒に依頼を受けない?」
「つまりはパーティーを組みたいってこと?」
冒険者は基本的にソロではなく、パーティーを組んで依頼に向かう。
「その通り、どう?」
「いいよ。なんの依頼を受けるの?」
「それはねぇー」
彼女は後ろから紙を出てきた。俺に話しかける前に依頼を取っていたらしい。
「じゃじゃーん!ゴブリン退治よ!」
ゴブリン。それは最弱の魔物として有名な魔物だ。稼ぎは低いが、初めてなのだ。ゴブリンでもいいだろう。
「わかった。それを受けるか」
「うん。受付に行ってくるね」
そう言いつつ彼女は受け付けに向かった。
***
ゴブリン。それはさっきも言ったが最弱の魔物だ。緑色の皮膚、子供と同じくらいの力と身長。数の多さ。武器などを持っている奴もいる。そしてゴブリンは派生型が多いことでも知られる。
ホブゴブリン。ゴブリンシャーマン等など。しかしそれでも最弱の魔物と言われる。
ゴブリンの情報と作戦を頭の中で整理していたら目的地に着いた。
ゴブリンの巣の前に来た。ゴブリンの巣は洞窟のようになっていて、入口は狭かった。まぁ、前と言っても見張りに見つからない位置だけどね。
「ここが、依頼のゴブリンの巣だね。にしても……」
レルが地図を見て確認する。
「あぁ、すげぇくせぇ」
とんでもない程のいや〜な臭いがするのだ。これ、巣の前だよ?なのにこの臭いって…………中に入ったらとんでもないんじゃあ……
「とりあえず、見張りを倒すよ。どうする?」
見張りは2体いた。
「どうするって、お前の糸で口を閉じてから止めさせばいいじゃん。巣に入ったら俺に作戦があるからそれを試す」
「その作戦大丈夫なの?まぁわかった。行くよ?「糸」
レルの糸は勢いよく飛んで行き、ゴブリンの近くまで行った。そのままゴブリンに気づかずに、口を縫いつけた。
ゴブリンは驚き、隣のヤツに伝えようとするも、口が開かないことに驚いている。その間に隣のヤツも口を縫い付けられた。
「とりあえず、口は封じたよ」
「そのまま音もなく殺して」
レルは俺の言葉を聞き、頷く。ゴブリンの口を縫った糸は形を少し変えて、より鋭くなった。鋭くなった糸はそのままゴブリンの喉を突き刺した。その痛みでゴブリンは震えている。
ゴブリンの喉から血が溢れ出てくる。口から血を吐き出そうとしても口が開かない。そのまま自分の血でゴブリンは溺れて行った。そのままゴブリンは息を二度としなかった。
そしてもう一体…………。
「二体とも倒したよ。後のは任せたよ」
「おう任せとけ」
俺は手から雲を出し、ゴブリンの巣を雲で埋めた。硬い雲で……するとどうだろう?ゴブリン達は息が出来ないだろう。
しばらくしてから雲は雲を出すのを止めた。雲が洞窟の奥まで行き、近くまで雲が溜まった。
「はぁーー、疲れた。めちゃくちゃマナを使った。割に会ってないな。レル、中を確認するぞ。まだ生きてる可能性があるからな」
「はいよ、今行く」
この後ゴブリンの巣を確認したが、生きているゴブリンに会うことは無かった。
ゴブリン共は巣の中で何も出来ずに、誰がこんなことをしたのかさえも知らずに命を散らして行った。
この後、ゴブリンの死体を回収して、俺達はナンセの街に帰還して依頼を達成した。