第百十二プラン 船旅その二
遅くなりました
*前回のあらすじ*
船酔いに耐えきれず、無事吐きました。
***
トレーニングの日々が続く。
トレーニングしている時は酔わないからそれ以外は悲しい程酔って吐く。
どんな体質だとツッコミたいが飲み込み、トレーニングばかりして一週間続けていると……
トレーニング中に、魚が船を襲ってきた。
見た目はトビウオで一メートルを超える魚が甲板に飛び乗ってきた。
飛び乗るのもいるが中には船に突っ込み、ダメージを与えるやつもいる。
油断していると目の前を魚が通り過ぎ、背をそらせてなんとか避ける。
魚は勢いそのまま船を通り過ぎ、海に落ちた。
「うおぉ!なんだよこいつらは!」
「こいつらはフライングって言うらしいよ、早くしないと船が危ない!クモ、こいつらから船を守れ!」
「分かった、任せろ!」
雲を出し、船に装甲みたいに纏わせて、船のダメージを少しでも軽減する。
その間に船員たちが対処し、フライング達を仕留めている。
「反転」
「闇太刀四の型、闇車!」
「強打!」
「網!」
「雷雲の網!」
フライングが突っ込んできてから約五分後、フライング達の突撃は無くなった。
五分間、ひたすらにフライングが飛んできてそれを切ったり、殴ったり、反射したり、捕まえたりして仕留めて行った。
フライングは美味しいらしく、捕まえたのは食料にするらしい。
にしてもこんなのがいつ来るか分からないのが怖いな……
***
船の生活が二週間経とうとしていた。
フライング達が何度か突っ込んできており、慣れてきた。
しかし未だに船酔いは治らない。
トレーニングしている時間以外も何とかしたい。
そう考えているとあることを思いついた。
「レル〜思いついたことがあるんだよ」
「何を思いついたんだい、クモ」
「それはね、船酔いしない方法さ!」
「本当に!?どうやってやるの!?」
レルは俺の言葉に驚きを隠せないようだ。
「今から話すよ。船や馬車ってなんで酔うと思う?」
「なんでって……揺れるからでしょ?揺れて気持ち悪くなる」
「そう、揺れるから。なら揺れない場所に避難すれば、いくら酔いやすくても酔わないはず!いくら酔いやすくても地上では酔わないからね」
「確かにそうだけど……揺れない場所なんてあるの?」
レルの疑問も当然だ。
「ふっふっふっ、無いなら作ればいい!我が魔力、『雲』によってな!」
「それ大丈夫なの?」
おいコラ、そんなに心配してる目で見ないでくれ。
「雲によって空を飛ぶ船を作る。どっちかって言うと空に浮く船だな。そうすれば揺れないから酔わないはず!」
「それって船の上を飛ぶんでしょ?コードさんや船長に許可は貰ったの?」
確かに……許可を貰った方がいいだろう。
「まだだ……よし、一緒に行こう!」
「はいはい」
渋々と言った感じだかレルは来てくれるようだ。
俺達は船長とコードに許可を貰いに行く。
***
「準備出来た?」
「そろそろだ……」
ある条件と共に許可が降り、今は甲板にいる。
甲板にて雲で船を作っている。
船は屋根がある、小さな船だ。変わっているところは船のあらゆる所に、ジェット機みたいな噴出口があるところだ。
しかし……
「許可を得るために仕方ないが、これいるか?」
それはコードと船長が許可をくれる代わりにある条件を出したのだ。
それは船との間にロープを繋ぐこと。
雲が風で飛ばされないようにとの事。
船長もこれを条件に許可をくれた。
「仕方ないよ、ほらさっさと準備して」
甲板には船酔いしている人と、甲板で仕事がある船員、トレーニングをしている、エレン、リバー、トウカ。
パーティーメンバーがいるが俺のやってる事は一ミリも見てない。
トレーニングに集中している。
俺も集中して準備する。さっさと船酔いとはおさらばしたいのだ。
「準備完了だ、行くぞ」
雲を出し、船を浮かせる。
徐々に上がっていき、船の見張り台の高さまで上がった。
これぐらいがちょうどいいだろう。
船酔いするかしばらく様子を見てみようか……
***
「ウップ……気持ち悪い……吐きそう……」
「そこで吐くなよ、クモ!!今降ろすから!「糸」!」
酔いました……
吐きそうなのを口に手を当てて抑えてる。
おそらくロープで繋がっていることが原因だ。
だって船に繋がっていたら揺れが来るじゃないか。
浮かせた意味無いじゃないか……
レルは糸を出し、少しずつ雲を引き寄せている。
「クモ、耐えてよ?あと少しだからね?」
「ウップ……」
口を全力で抑える。
少しずつだが、船がレルの所に寄せられていく。
あと少しのところでその時、強風が吹いた。
浮いている船はモロにそれを受け、大きく揺れる。
揺れる。
大きく揺れたせいで俺の口のダムは決壊した。
そう……いつも通り吐いたのだ。
しかし今回は最悪だ。
断言出来る。
なぜなら俺が吐いた吐瀉物がレルにかかってしまったのだ……
レルはとてもテレビとかに写せる絵面では無くなった。
モザイクをかけなければならない程だ。
すまない……本当にすいませんでした。
その後レルが船から降ろしてくれて、レルは風呂に入った。
レルには感謝しても仕切れない……
風呂から出たレルに感謝を伝え、酔わないようにトレーニングに勤しんだ。